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心・恋姫†無双 第二十一話

南風さん

お久しぶりです。
この作品はキャラ崩壊およびオリジナル要素が強い作品となっています。苦手な方は申し訳ありません。駄文で誤字脱字等もあると思いますがよろしくお願いします。
感想を待ってます

次回は5月17日前後に!!

2010-05-10 22:46:39 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:9175   閲覧ユーザー数:6950

 

次回 心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第二十一話 ~荊州の戦い 決戦と舌戦~

 

キャラ説明

 

主人公

北郷一刀・・・・・・・女心に鈍感な反乱軍君主。先生(=千里)の教えのおかげか知略や政はそれなりに出来る。馬術・武術もそれなりにはできるらしい。

 

反乱軍

厳顔・・・・・・真名を桔梗(キキョウ)。酒と喧嘩を愛する武人。義と情にあつく、兵だけでなく民からも慕われる人物。一刀の事は将として女として認め好いている。

 

徐庶・・・・・・真名を千里(センリ)。反乱軍が誇る軍師。その才は右に出るものはいない。恋愛に対して初心で、また時たま不可思議な声を発する。「ほぉー」「あぅあ~」等・・・・・・。

一刀の事を好いている。

 

法正・・・・・・真名を嵐(ラン)男のような口調で話す女の子。元気があり常日頃から笑顔を絶やさない。一刀には女として見てほしく、何かのはずみで暴走する場合が多い。一見、生粋の武人にも見えるが実は智も並々ならない物を有しているらしい。

 

張松・・・・・・真名を白(ハク)。仮面で顔を隠してはいるがれっきとした女性。間諜仕事を主とし変装と一目見たものは忘れないという特技も持つ。嵐とは付き合いが長く、素顔を知っているのも嵐のみである。一刀の事を好いている。

 

黄忠・・・・・・真名を紫苑(シオン)。桔梗とは昔からの戦友であり、飲み仲間。未亡人で一人娘(=璃々)がいる。皆を優しく導くお姉さん的な存在であり、また弓の腕は弓神と言っても過言ではない。一刀の事を好いている。

 

魏延・・・・・・真名を焔耶(エンヤ)。嵐と同じく男っぽいところがあるが、心根が素直な女性。一刀の事を余り認めていなく、そのため一刀の扱いが酷い。しかし、嵐と白曰く一刀と出会って丸くなったらしい。

 

馬騰・・・・・・真名を翡翠(ヒスイ)。馬家三姉妹の母親であるが、まったくもってそのような事は感じさせない若さの持ち主。武に関しては桔梗に引けをとらない。一刀を、娘たちの婿にしようとしているとかしてないとか。実は酒に弱い。

 

馬超・・・・・・真名を翠(スイ)。馬家三姉妹の長女。武人として腕は馬騰にも負けない程の持ち主。綺麗な顔をしているのだが、女としての自分には魅力がないと自信を持てないでいる。一刀に一目惚れした。

 

馬休・・・・・・真名を雛菊(ヒナギク)。語尾に「~よ」とつく馬家三姉妹の次女。元気いっぱい突進少女で、馬岱とは一番仲が良い。一刀に一目惚れした。

 

馬鉄・・・・・・真名は姫百合(ヒメユリ)。馬家三姉妹の末っ子で、上二人+馬岱を止める役目をしている。どこか素っ気ないが、心の奥そこでは恥ずかしがっていたりする。顔にはでにくい。一刀に一目惚れした。

 

馬岱・・・・・・真名を蒲公英(タンポポ)。とても元気で真っ直ぐな少女で、趣味は悪戯や罠を設営設置すること。年の割にはませていて、馬家三姉妹の従姉妹である。一刀に一目惚れした。

 

龐徳・・・・・・真名を蒼(アオ)。翠の親友で、忠義の人。古風な話し方をする。恋愛などに対してはお堅い考えを持つ。一刀に一目惚れ。

 

以上が反乱軍のキャラです。他にもオリジナルキャラいますが、それはそのつど説明をいれていきたいと思います。では、二十一話をどうぞ。

 

 

 

 

前回のあらすじ

荊州の民を救うため進軍した北郷一刀。北荊州を無事に平定したが、残る南荊州は袁術の客将である孫策により陥落。北郷一刀率いる反乱軍と孫伯符率いる孫策軍。今、両軍の命運をかけた戦いが始まる・・・・・・・。

 

 

 

「起きんか!!この馬鹿者どもーーー!!」

今朝、桔梗に寝床ごと卓袱台返しで起こされたのは置いておくとして・・・・・・・。

 

 

 

 

 

俺は今、城壁の上にいる。

 

俺の隣には千里。

 

桔梗と紫苑は兵に指示を出している。

 

兵の一人一人が真剣で・・・・・

 

その瞳には闘志がやどっている・・・・・

 

臨戦態勢というのはこういう事を言うのだろう・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――今、霧が晴れる―――

 

 

 

 

 

 

 

 

対岸に広がるは、赤を基調とした無数の旗。

 

 

 

 

 

 

三国志を知っている人ならば、誰もが一度は耳にしたことのある歴戦の勇士。

 

 

 

 

 

 

歴史に名を残す智謀の士。

 

 

 

 

 

そして、そんなの旗の後ろ・・・・・

 

 

 

大きくなびく旗が四つ・・・・・

 

 

 

一つは孫策軍の中で、孫策から最も信頼を得て・・・・・

 

 

 

最も策略にたけ・・・・・

 

 

 

最も智謀に優れる・・・・・

 

 

 

 

 

―――真紅の周旗 周公瑾―――

 

 

 

 

 

孫家の血の証・・・・・・

 

 

 

孫家三姉妹が三女 ――桃色の孫旗 孫尚香――

 

 

 

次女 ――紅の孫旗 孫仲謀――

 

 

 

そして・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――孫家牙門旗 孫伯符―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孫策軍全軍である。

 

 

 

 

 

「壮観だな。」

 

予想していたとはいえ冷や汗が止まらない。

 

心臓の鼓動は速くなるばかり。

 

・・・・・今まで数多の戦を経験してきた・・・・・・・・・・けど、この感覚は初めてだ。

 

俺は・・・・相手に恐怖している・・・・・・・・・・・・・。

 

今までは戦に恐怖した。

 

命を奪うこと、奪われることに恐怖した。

 

それとは違う・・・・・・・・・・俺は今、単純に相手の存在に恐怖している。

 

 

 

「大丈夫ですか?ご主人様。」

「・・・正直言うと怖いかな。」

千里の質問に苦笑いで答えるしかできない。

「私もです。」

「二人そろって武者震いか。頼もしいの。」

 

俺や千里とは違い、笑みを浮かべ闘志を纏う桔梗。

「桔梗は嬉しそうだね。」

「強者と戦うのは武士として最高の喜びですからなぁ。」

「確かにね。でも、目的を忘れないでくれよ?・・・・・・・・・・紫苑はいる?」

「はい、こちらに。」

「例の物を用意して、千里に渡してくれ。」

「御意。」

 

「千里は使者として頼む。」

「御意。かならず成功させてきます。」

「・・・・・・無事に帰ってきてくれ。」

「わかりました。」

 

「千里が戻り次第、次の行動に移る。皆、今日が正念場だ!!各自、仕事を忘れないで頑張ってくれ!!」

「「「応!!」」」

 

 

 

――対岸・孫策軍――

「ふむ、思った以上に・・・・・・・・・いや動揺が無さ過ぎるか・・・・・・・・・・。」

対岸の反乱軍を一心に見つめ、思考を巡らせる。

「周瑜将軍!!いつでも進軍できます!!」

「わかった。指示があるまで待機せよと全軍に通達。」

「はっ!」

 

「どうしたの、冥琳?」

「雪蓮、蓮華さま・・・・・・・いや、もしかしたら事態は思ったより良好かもしれないと考えていたところです。」

「・・・・・・・良好?思春が敵軍に捕らえられているのよ。」

「蓮華さま、お気持ちはわかりますが、今はそのような事を考えている時ではありません。」

「蓮華、冥琳の言うとおりよ。」

「それは・・・・・・・わかっていますが・・・・・・・・・・・。」

「それに、もし思春に何か起きた場合は痛手を被るのは反乱軍の方・・・・・・・・そうでしょ?」

「どういう事ですか?」

「蓮華さま、仮にも反乱軍は民の支持を得て発足した軍です。その存在をこの大陸で知らない者はいないでしょう。そのような軍が捕虜を一方的に殺すなどと言う暴挙にでた場合、民からの支持が無くなってしまします。」

「しかし、言い訳など後でいくらでも出来るのでは無いのか?」

「その通りかもしれませんが、それこそ余計に批判の対象になります。民はこの荊州を救ってくれると信じて反乱軍に助勢を求めた。それだけで考えれば侵略しているのはむしろ我々の方なのです。それが何故、我等がこうも簡単に南荊州を平定できたか・・・・・・・わからない訳ではないでしょう?」

「母様のお陰・・・・・・・・。」

「母様の凄さ・・・・・・改めて実感したわ。」

「姉様・・・・。」

「それを説明した上で民がこの戦をどう考えているかわかりますか?」

「・・・・・・・・決戦を期待している。」

「そうです。袁術とではなく我々と正々堂々の決戦を期待しているでしょう。しかし、戦に策はつきもの・・・・・・・勝つための奇襲など、兵数の少ない我々がとっても民も何も言わないでしょう。・・・・・・・まぁ、袁術がいなければ決戦の必要は・・・・・・・・今は無いわけですが・・・・・・・。」

「・・・・・・冥淋?」

「いえ、なんでもありません。とは言え、思春の捕縛・明命の負傷は私の考えのいたらなさです。もし思春に何かあった場合は責をとり私の頸をさしあげましょう。」

「そんな必要は無いわ。思春も武士・・・・・・・なにより孫家に仕えてきた将・・・・・・・ごめんなさい、私もまだまだのようね。」

「そのような事はありませんよ。我が主は我先にと私に文句を言ってきましたから。」

「ちょっと冥琳!?」

「良いではないか。心配だったのだろう?」

「姉様・・・・・・?」

「心配しちゃいけないの!?」

「姉様が・・・・・・・。」

頬が紅い姉を見て、目をまるくする孫権。

 

「それより、蓮華。冥琳と少し話したい事があるから席をはずしてもらって良い?」

「・・・・・・・はい。」

姉の照れ隠しだと思い、孫権はその場を後にする。

「で・・・・・・・実際のところは?」

「言ったとおりだ。事態は良好かもしれない・・・・・・・・私の憶測の域は出ないがな。」

「冥琳の勘って、良い方向に余り当たらないのよね。」

「雪蓮の勘より現実的と言ってくれ・・・・・・・あと一手か。」

「私たちの方から使者を送る?」

「そうだな、思春を交渉材料に・・・・・・・・「報告します!」・・・・・・・・どうした!」

「敵軍より船が一艘こちらに近づいてきます!」

「目的は?」

「敵軍よりの使者と思われますが・・・・・・・・・・・。」

「どうした、何か問題でもあるのか?」

「そ、それが使者の船の旗は「徐」・・・・・・・敵軍の軍師かと。」

「何!?」

「へぇ~、大胆ね。」

「どうするのだ、雪蓮。」

「会うに決まってるでしょ♪」

「わかった。使者を丁重にもてなせ!」

「はっ!」

 

 

 

 

 

「軍師ともあろう方がいかがなされた?」

千里を陣地に招き入れ、話を聞く孫策と周瑜。

「我が主、北郷一刀よりこちらを預かっております。まずはこちらをご覧ください。」

千里は手紙を取り出し、孫策に渡す。

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

鋭い瞳で静かに目をとおす。

「へぇ~・・・・・・・・・・冥琳も見てみなさいよ。」

「どれ・・・・・・・・。」

孫策の時よりも長い沈黙。

「ほぉ・・・・・・・・。」

 

「私はこの提案を受けようと思うんだけどどうする?」

「ふむ・・・・・・・・・・確かに悪くは無い、か・・・・・・・。」

「では、こちらを着てきてください。」

手元に置いてある箱を差し出す。

 

そして蓋を開け、中を見る。

「ほぅ、ぬかり無しという事か・・・・・・・・・・・雪蓮。」

「わかってるわよ・・・・・・・・・・・・・すぅ。」

静かに息を大きく吸い込む。

 

 

 

「これがお前たちの望みか!!良いだろう!!直に会って話そうではないか!!」

 

 

 

「わかったなら即刻戻り、お前の主に伝えるがよい!!」

 

 

 

「今夜、楽しみに待っているとな!!」

 

 

 

怒号が空気を切り裂いた。

「・・・・・・・・・・わかりました。」

そして千里は静かに頭を下げ、その場を後にする。

 

 

 

 

 

「誰かおる!!」

「はっ!」

「将を至急ここに呼び出せ!!」

「はっ!」

 

「ふぅ・・・・・・・じゃあ早速着替えましょうか?」

「まだ早いのではないのか?」

「いいの。説明がめんどくさいでしょ?」

「はぁ~・・・・・・・・はいはい。」

 

 

 

 

 

「姉様、いかがなされたの・・・・・・・・っ!?」

「あら、蓮華が一番ね。どう、似合ってるかしら?」

鮮やかな赤。

美しい刺繍に煌びやかな装飾。

軍服を脱ぎ、孫策が着ているのは綺麗な衣装。

「どうしたのですか!?」

「その説明は皆が揃ってからよ。」

「蓮華様・・・・・・・こちらはどうですか?」

綺麗な黒。

装飾が夜空の星のように光る。

孫策の衣装とは違い、一見地味に見えるが妖艶な女性の魅力を引き立てている。

「冥琳も!?」

 

・・・・・・・・・・。

 

・・・・・・・・。

 

・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

「捕虜の交渉が船上での食事とは、なめられておるのではないか?」

「ほんまやね。戦の最中やっていうのに。」

はち切れんばかりの女性の象徴を揺らす妙齢の二人の女性。

白く長い髪、赤い服を身にまとう女性は、孫家を支えてきた宿将。

名を黄蓋 真名を祭(サイ)

 

そして、もう一人。

孫家を支えてきた宿将。

特徴ある話し方に、紫色の長髪に金の髪止め、着ている服は紫の蝶を彷彿とさせる。

そして女性の象徴は黄蓋に負けていない。

名を太史慈 真名を酔(スイ)

 

 

 

「罠あるいは策ですか・・・・・・・ですが、反乱軍が今そういった事をするのでしょうか?」

「ん~、反乱軍が情報どおりの軍ならありえないですねぇ~。」

「少なくとも自分たちが不利になる状況はつくらない。」

片眼鏡に鋭い眼。

長い袖が特徴的なチャイナ服をみにまとう。

文武両道で周瑜の後継者と呼ばれる。

真面目な軍師見習い。

名を呂蒙 真名を亜莎(アーシェ)

 

その隣、宿将に負けないほどの女性の象徴。

呂蒙と同じ袖が長いチャイナ服。

小さい丸眼鏡を身につけている。

おっとりとした印象が強いが、その智は周瑜に次ぐ。

名を陸遜 真名を穏(ノン)

 

そして最後の一人。

黒髪のショート。

そして、縁の無い小さな四角い眼鏡。

赤を基調としたカンフー服を身につけている。

瞬時の判断力と柔軟な思考は右に出るものはいない。

名を魯粛 真名を潤(ユン)

 

 

 

「冥琳さま、敵が送ってきた手紙を拝見したいのですが?」

「潤・・・・・・・・それがな、どこぞの誰かが頭にきたらしく、その場で燃やしてしまったのだよ。」

「どうせ単純ですよ~。こんな綺麗な服を用意されて、わかりやすい挑発なんかされたら・・・・・着てやろう!!・・・・・って気になるじゃない?それで向こうを満足させたように見せて、稚拙な挑発ありがと♪って面と向かって言いたいの。」

「随分と具体的ですね。」

「雪蓮さま・・・・・・・。」

「姉様・・・・・・・。」

「策殿・・・・・・・。」

「雪蓮はん・・・・・・・。」

「悪かったわよ!・・・・でも、私は何があっても大丈夫だから安心して♪」

「姉様!そういう問題ではありません!」

「わかってるわよ・・・・・・・・でも、今の私たちには必要でしょ?思春を取り戻すためにも。もし、思春が盾にでも使われるようなら私がこの手で北郷も思春も殺す。でも、思春が救えるうちは何が何でも救う。そうでしょ?それに冥淋の策もあるし、大丈夫よ。」

「ふむ・・・・・・仕方がない御方じゃ。」

「ほんまにね。」

「じゃあ、亜莎。」

「は、はい!?」

「ちょうど、向こうが送ってきた服があと一着あるから、念のため護衛として着いて来なさい。」

「私がですか!?」

「お前は私の後継者だ。こういう場を経験しておくのも勉強の一つと思ってくれ。」

「は、はい。」

「穏、潤・・・・・・・後は頼んだぞ。」

「わかりました。」

「お任せください~。」

 

「蓮華・・・・・・・わかるわね?」

「はい。・・・・・・・ですが絶対帰ってきてください。」

「大丈夫よ。私だってそんな弱いつもりはないから♪」

「・・・・・・・わかりました。」

「さて、じゃあ準備をしましょ♪」

「あぁ、そうしよう。」

 

 

 

 

 

 

夜を迎え・・・・・・・・・・。

 

闇夜の長江。

 

その長江を照らす小さな篝火。

 

その篝火のもとで、

 

いま、運命をかけた一つの戦が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

反乱軍代表 北郷一刀・千里・焔耶

 

 

 

孫策軍代表 孫策・周瑜・呂蒙

 

 

 

 

 

「はじめまして、孫策さん。北郷一刀です。」

「・・・・・・・ふ~ん。」

机をはさんで向かい合う二人。

一刀の方は真剣な目つきをしているのだが、孫策の方は目に見えて不機嫌な態度。

「・・・・・・・雪蓮。」

「・・・・・・・・・・・・わかったわ。はじめまして、北郷一刀。・・・・・・・・・あなたの事、一発殴っていい?」

「はいっ!?」

一刀の前に千里と焔耶が身を乗り出す。

「雪蓮!?」

「雪蓮さま!?」

「・・・・・・・・・・・嘘よ、冗談。せっかくこんな綺麗な服をお互い着ているんだし、そんなふざけた真似はしないわよ。」

 

そう、この場は食事をするために設けさせた席。

机には料理が並び、千里と焔耶も綺麗な服を身につけている。

焔耶は一刀の護衛なのだが、この場に来るまで凄く文句を言っていたのは言うまでも無い。

 

「・・・・・・・・はぁ。無礼をはたらいてすまない。」

「いや、いいよ。仕方がないと言えば仕方がないから。」

「なんで?初対面の人を殴るなんて私が言っておいてなんだけど、ただの暴挙よ。」

「確かにね。でも、俺は孫策さんの敵だ。そういう理由じゃないなら、知らないところで迷惑をかけていたのかもしれない。」

「へぇ、そう考えるんだ。」

「まぁね。」

一刀は苦笑いを浮かべる。

「ふ~ん。」

「雪蓮、もう満足したか?」

「・・・・・・・えぇ、少しだけ。」

「ふぅ・・・・・・・・度々すまん。では、早速本題に入ろうか。」

「そうだね。」

 

 

 

 

 

「俺ら反乱軍は孫策軍と戦う意思はない。倒すべきは欲で進軍している袁術だ。だから、明日の昼まで動かないでほしい。」

「なっ!」

「うむ・・・・・・・それに関してはこちらからいくつか質問したいのだが?」

「あぁ、答えるよ。納得がいくまでね。」

「待ってください、冥琳さま!!これはいったい?」

「雪蓮・・・・・・言ってなかったのか。」

「あ・・・・・・・。」

「亜莎・・・・・・・これは我らが袁術から独立するための交渉なのだ。」

「では、初めから戦う気がなかったのですか?」

「いや、五分五分だったさ。ただ、我らの思惑と北郷たちの思惑が重なっただけだ。」

「俺たちの目的は荊州の開放。けど、それには南荊州に進軍していた袁術軍を相手にしなくちゃならなかった。だけど、先鋒の孫策軍は強敵でなおかつ俺たちが戦う相手では無かった。」

「それはどういう事ですか?」

「孫策さんの母親、孫堅さんは素晴らしい人物だ。民に慕われた江東の虎。そして、その娘である孫策さんも同様に民に慕われている。俺たちが得ている情報では、劉備、曹操、孫策、この三人に関しては民から非難の声はなかった。非難を浴びせるのは外の敵だけだったんだ。」

「・・・・・・・・・。」

「だから、俺たちはどうにかして話し合いの席をもうけ、密かに停戦協定を結ぶことを目的にしてたんだ。」

「そういう事だ。」

「・・・・・・・・・・わかりました。」

「納得はいかないかな?」

「・・・・・・・・・・はい。」

「まぁ、そうだろうね。」

「仕方ないわよ、私だって信用していないし♪」

「だけど、悪い話でもない・・・・・・・だから今回の話に乗ってくれたんだろ?」

「まぁね♪」

僅かながら殺気を出す孫策。

「・・・・・・・・さて、じゃあ質問に答えるよ。」

「ふむ。もし、反乱軍が袁術を倒したとしよう・・・・・その後はどうする?」

「倒すといっても袁術を荊州から追い出すだけさ。追撃ととどめをさすのは孫策さんたちの役目だ。」

「では、我らが制圧した南荊州はどうなるのだ?」

「今は諦めてほしい。」

「今は・・・・・・・か。」

「あぁ。」

僅かながら顔をしかめる周瑜。

 

「では、次の質問だ。いつから我らの誘いに気づいた?」

「俺は気付いて無かったよ。気付いてくれたのは千里さ。」

「何故気付いた?」

「簡単です。奇襲の時の私たちにわざと私たちが目視できる範囲まで追ってきた。本当に奇襲で戦力を削ぐならば、僅かは逃がしたとしても他は全滅させるはずです。」

「だが、その日の夜には第二の奇襲があったはずだが?そのための布石と思うだろう。」

「そうやって他の人たちを納得させたのですね。ですが、あまりにも爪が甘いですね。戦力を削がれ混乱した私たちをさらに混乱させるならわからないでもないですが。」

「ふむ・・・・・・ではここの天気の事も知っていたのか?」

「はい。と言っても確信はありませんでした。・・・・・・・・・・勘ですね。」

「知識だけではなく、勘も働くのか・・・・・・・見事なものだ。」

 

・・・・・・・・・。

 

・・・・・・・。

 

・・・・・。

 

 

 

「最後・・・・・・・の質問になるのかもしれんが、何故明日の昼なのだ?」

「・・・・・・・・・。」

「それは俺が答えるよ。俺たちは十五万の軍を率いて荊州にきたんだ。・・・・・・・けど、今孫策軍の前にいるのは五万だけだ。」

「「「!!」」」

「残りはここにはいない。」

「なるほど・・・・・・・思い切ったことをするものだな。だが、いくら袁術でもそのような愚策に気付かないわけあるまい。」

「それはどうだろうね。確かに十万の人間が動いて気付かない何てまずありえないよ。でも、斥候や間諜の弱点をつく。」

「弱点?」

「探る目標が目の前にいるのにわざわざ他を探る必要がある?」

「探る目標・・・・・・?」

「孫策軍。」

「ふっ・・・・・・・偽報でも流し、我らを餌にしていたのか。」

「そうだね。袁術がいつも一番に気にしているのは、俺たちじゃなくて孫策軍だからね。」

「普通なら気づくものだが・・・・・単純な袁術なら無理もなく惑わされるか・・・・・。移動は?」

「涼州兵は人馬一体だ。」

「そうか・・・・・・・そうだな。」

「五万なら・・・・・・・・我らがこの提案に乗る必要がないな。」

「兵数に臆していたわけでは無いだろ?」

「あぁ。だが、我らが犠牲を払って平定した南荊州を何もなしで明け渡す必要も無い。」

「・・・・・袁術からの独立は?」

「簡単だ。お前らを倒し、荊州を平定させた後ならば自力で出来る。そのための準備を怠ってきたつもりは無いのでな。」

「・・・・・・・なるほど、だから五分五分か。けど、俺らを頼ったほうが心強い、そういう状況でもあるわけだ・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ。」

 

「・・・・・冥琳もういいわ。」

「・・・・・雪蓮。」

「あのね、少し前に袁術に仕官してきた三人組がいたんだけど、思ったより頭も腕もきれるやつらでね。完璧に目の敵にされたのよ。」

「三人組?」

「聞いたこと無い?黒山賊っていう黄巾党。その黒山賊を率いていた頭目よ。」

「・・・・・千里?」

「知ってます。各地の都市を荒らしまわった罪人などの荒くれ者の集団です。その数は五万とも十万とも言われてました。黒山賊の本隊が襲った街や邑はこの世のものとは思えないほど酷いありさまだったと聞いています。頭目については名前だけは・・・・・確か、張燕、波才、張曼成と言ったはずです。」

「・・・・・そうか・・・・・・・・・・袁術は何でそんな人達を配下に?」

「気分・・・・・あと煽てに弱いから、あの子。だから、私と冥琳だけで決めたのよ。噂どおりの反乱軍なら、利用して私たちの独立の手助けをしてもらおうってね。」

「できなかったら?」

「戦うだけよ。私達には誰にも譲れない思いがあるの。それを実現すために可能性が高いほうに賭けた・・・・・・・それだけ。」

「そうか・・・・・・・。」

この時、一刀の脳裏に過ぎったのは劉備の面影。

孫策の鋭い瞳は、劉備の瞳に似ていた。

信念をつらぬく・・・・・・まっすぐな瞳。

「何だかんだ言って、私たちも八方塞だったわけ。今回の先陣だって無理をやって出てきたのよ・・・・・・まぁ、私は邪魔するなら無理にでも出陣しようと考えてたけどね。」

「・・・・・・・雪蓮。」

「冗談だって。」

「・・・・・・・・・・なら、明日のp昼まで待ってほしい。」

「お昼を過ぎたら?」

「その時は戦おう。」

「ふ~ん・・・・・・・・・・・わかったわ、待ってあげる。でも、あなたの提案にのるのは今回だけよ。」

「それだけでも十分だよ。」

「わかったわ。捕虜はどうなってるの?」

「もう、孫策さんの陣に戻ってるはずさ。」

「・・・・・・・・・・・あなたって本当に馬鹿ね。甘すぎるわよ。」

「わかってる。でも、それが俺だから。」

「じゃあ、これが私なりのせめてものの忠告。」

「?」

 

 

 

 

 

 

孫策はこの会話中ずっと殺気をだしていた。

敵と対峙しているのだから、あたりまえかもしれない。

だが、その殺気はどこか不自然なもので、その理由は行動によってしめされる。

 

 

 

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 

 

 

孫策の拳が一刀の頬にめりこみ、一刀は壁に叩きつけられる。

「雪蓮!!」

「雪蓮さま!?」

 

「・・・・・・・・・・何で殴られたの?」

「いててて・・・・・・忠告だろ?なら聞くだけさ。」

「・・・・・・・・・まぁいいわ。じゃ、次会うときはここじゃない戦場でね♪」

「そうならないことを祈ってるよ。」

「人は簡単に信頼できるものではないわ。私が民に慕われてる?馬鹿みたい。」

「嘘は良くないよ。・・・・・・民の声が一番正直なんだから。」

「・・・・・・・・やっぱり甘いわね。死ぬわよ?」

「覚悟のうえだ。」

「・・・・・・・・あなた、身近な人の死を知っている?自分の大切な人の死を。心から愛した者の死を・・・・・・もし、それを知らなくて、なおかつ知りたくないのであれば、その甘さは捨てなさい。自分だけじゃない。北郷一刀、あなたの甘さは周りを巻き込むわよ。」

「・・・・・それ「それが?」・・・・・千里・・・・・・・・。」

一刀の言葉を遮り、一刀を守るように千里が孫策と向き合う。

「それが・・・・・・か。あなたも反乱軍の軍師ならわかると思うけど。」

「私達はそんなに弱くありませんから。」

「感情論で話をするつもりは無いわ。利はあるの?」

「利と言うなら、ご主人様の存在が私達の利です。」

「・・・・・・・本当に馬鹿ね。」

「あぁ・・・・・馬鹿だよ。」

「・・・・・・ご主人様。」

一刀は立ち上がり、ゆっくりと孫策に歩み寄る。

「俺たちは馬鹿と言われようと俺たちの理想のために突き進む。それがどんなに愚かであろうと。」

 

 

 

 

 

「ただ、強くひたすらに前に進むだけだ。」

 

 

 

 

 

「それが甘いって言うのよ・・・・・・・・・・でも、まぁ今日はこれ以上言わないわ。また、今度・・・・・・・私はあなたと戦場で会うことを祈るわ。」

一方的にその場を去る孫策。

その場に残る、周瑜と呂蒙。

「気にしないで。」

「あ、あぁ。」

「そ、その・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・そうだな、孫策さんに言伝頼める?」

「わかった、伝えよう。」

「俺からの忠告。独立した後は許貢って名前に気をつけた方がいいって。」

「・・・・・許貢か。しっかり伝えとこう。」

「あと、周瑜さんは体に気をつけるんだ。定期的に医者に見てもらった方がいい。」

「ん?・・・・・そうか。忠告感謝する。」

 

「ごめん・・・・・・あと最後に大きなお世話かもしれないけど・・・・・・。」

「?」

「孫策さんは紛れも無い王様だ。誰よりも強くて優しい・・・・・・・・・・けど、どれも半端だって言ってくれないかな。王様だからって遠慮する必要は無い。本当に好きに生きてって。」

 

「・・・・・・・・・あぁ、わかった。」

 

頭をさげ、周瑜と呂蒙はその場を後にする。

 

 

 

「無茶をするなと言っているだろう。」

焔耶はため息をもらす。

千里は一刀が殴られたところを手巾でさする。

一刀は殴られる直前に、二人を手と目で制止していたのだ。

「忠告だろ?それに、これで話がつくなら、それにこしたことは無い。」

「もう、知らん。」

「ご主人様・・・・・・・。」

悲しげな千里の顔を見て、頭を撫でだす一刀。

「二人ともありがとな。いつもいつも、俺の我が侭を聞いてくれて。二人の存在が俺の利だよ。」

「・・・・・・・・・・はぁ。そう思うなら少しは自重しろ。」

「それに二人というところを聞いたら皆が怒ってしまいます。」

「皆だよ。」

一刀のいつも通り笑みを見て、また焔耶はため息をつく。

焔耶のまるい態度と一刀の笑みに、わずかに笑みをこぼす千里であった。

 

 

 

――孫策軍――

「どういうつもりだ!!」

「・・・・・・・・。」

「あの場はあれで収まったから良いものを、何を考えているんだ!!」

「仕方がないじゃない、ムカついたんだから。それに何も無かったんだから良いじゃない。」

「子供ではないのだぞ!!」

「雪蓮さま・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」

鋭い目付きで見詰め合う二人。

「もういい。言伝は伝えたぞ・・・・・・・・・・・思春に会って来い。」

「ごめんね、冥琳。冥林もお医者さんに見てもらってね。」

「わかっている・・・・・・雪蓮。」

「ん、何?」

「夢か?」

「・・・・・・・・・・・そうね。夢にみた奴が目の前にいて、同じ顔で笑ってて・・・・・・・・・・見つめられたわ。」

「・・・・・・・・・溺れるなよ。」

「大丈夫よ♪おもいっきり殴ったから♪」

「・・・・・・・・嘘をつけ。」

「・・・・・・・・そうそう、冥琳。」

「なんだ?」

「反乱軍のあの除庶って子に注意した方がいいわ。」

「わかっている。あやつの智はあなどれん。」

「そういう事じゃなくなくて・・・・・あの子・・・・・・・私の母親と同じだから♪」

「・・・・・・・・・どういう意味だ?」

「あの子は虎よ・・・・・・・・それも、とびっきり危険なね。」

 

殴りかかった時に向けられた禍々しいほどの殺気。

あれほどの殺気を私以外が気づかないなんて・・・・・・強さだけじゃない・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・そんなに北郷一刀のことを・・・・・・・・・・・・

 

 

 

それに北郷一刀・・・・・・・・好きに生きろ・・・・・・か・・・・・・・・・・・

 

 

 

どこか寂しげな孫策の背中を見送る周瑜。

 

 

 

「冥琳さま。」

「なんだ?」

「・・・・・あの、夢とは何の話ですか?」

「ふむ・・・・・・・夢というのはな、幻であり現実である・・・・・・・・故にその者の心なのだ。」

「はぁ・・・・・・・・。」

「気にするな。それより明日の昼に向けての出陣の準備を頼むぞ。」

「わ、わかりました!!」

「あぁ・・・・・それと・・・・・・・。」

「はい?」

「率直な意見でいい。亜莎、お前から見て北郷一刀はどう思う?」

「・・・・・・・・・・怖いです。」

「怖い?」

「はい・・・・・・・・北郷一刀という方の器の大きさ、そして何よりあの方の底知れぬ優しさ・・・・・・わずかな時間でしたが身にしみました・・・・・・・・・・だから怖いです。」

「そうか・・・・・・・・・・・・・・そうだな。」

 

周愉は空を見上げ・・・・・・今にも消えそうな月を睨むばかりであった。

 

一方孫策の方は、甘寧(=思春)を見つけるやいなや、

抱きつき歓喜したのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

夜が明け、日が昇る。

当たり前の自然現象。

この時代において、戦をするということは当たり前なのかもしれない。

ただ戦は避けられるかもしれない・・・・・・・・。

しかしそれは・・・・・淡い夢物語。

 

孫策軍と反乱軍が睨み合っている遥か後方。

袁術軍十万が陣を敷いていた。

 

 

 

 

 

「銅鑼を鳴らせ!!」

朝日を背に、声を高らかに上げる。

その者は馬に跨り、片手には一本の直槍。

涼州にその人ありと言われた馬騰・・・・・・翡翠である。

 

 

 

 

 

――袁術軍――

「ど、どうしたのじゃ七乃!?」

「反乱軍の襲撃ですよぉ!!」

「な、なんじゃと!?」

「美羽さまは、ここで大人しくしていてください。あと逃げる準備もお願いします~。」

「何故じゃ!?何故、妾が逃げなくてはいけないのじゃ!!」

「え~、だってぇ、敵はあの馬騰さんですよ?」

「勝って見せるのじゃ!!」

「やるだけやってみます。でも、期待はしないでください。」

「絶対に勝つのじゃ!!」

「無理。」

「七乃ぉ~!!」

 

 

 

 

 

 

突撃してくる騎兵に対し、袁術軍は大盾を装備した重歩兵を前に並べる。

その重歩兵の後ろには弓兵。

「弓兵は騎馬隊が射程範囲に入ったら斉射してください!!」

「いきますよぉ~!!」

 

「私らの馬術をなめたね!!」

さらに速さを上げる騎馬隊。

「雛菊!!姫百合!!」

「はいよ!!」

「はい!!」

「こんなつまらないとこで死ぬんじゃないよ!!」

「わかってるよ!!」

「はい!!」

「じゃあ、敵を蹴散らしてきな!!」

弓の射程範囲のギリギリ外で、部隊を二つに割り翡翠。

右の部隊を翡翠、左の部隊を雛菊と姫百合。

 

その動きに弓兵部隊は的を見失い混乱してしまう。

「もぅ!!各自勝手に撃っちゃってください!!」

 

「はっ!!そんな、へなちょこな矢が当たるか!!お前たち!!盾は気にせず弓兵を蹴散らすよ!!決して足を止めるな!!止めたら死ぬと思え!!」

「「「応!!」」」

重歩兵の側面を通り抜け、後ろの弓兵部隊に突っ込む。

「母様に続くよ!!」

「「「応!!」」」

続いて雛菊、姫百合の部隊も突っ込む。

騎馬隊は敵陣を切り崩しながら進み続ける。

馬同士ぶつかることなく、迎え撃つ敵兵を切り捨て、逃げる敵兵を踏み潰していった。

 

 

 

「上手くいってるな。」

「当たり前だって。」

「油断はいけない。」

「蒼の言うとおりだぞ、蒲公英。あたし達の動きで勝敗が決まるんだ。」

「わかってるよぉ~。」

「翠。」

「どうした?」

「混乱している部隊の一番後方。」

「・・・・・・・・あぁ、あそこに袁術がいるな。よしっ!!全軍突撃!!袁術をぶっ飛ばすぞ!!」

「「「応!!」」」

 

 

 

「美羽さま~!!」

「七乃!!勝てそうかえ?」

「無理ですよぉ~。」

「嘘をつくでない!!妾が負けるわけないのじゃ!!」

 

「報告します!!」

 

「どうしました!?」

「後方に砂塵が!!おそらく別部隊かと!!」

「七乃ぉ~!!」

「逃げますよぉ~!!」

 

 

 

前線を混乱させる事により、袁術のいる部隊を後方にさがらせる。

袁術にしてみれば、敵と距離をとり自分の安全を優先したつもしなのだろうが、それはかえって自分の頸を絞める結果となった。

 

「おらおら!!死にたくないならとっとと逃げな!!」

「龐徳の神槍、とくと目に焼きつけよ!!」

「蒲公英も負けないよ~!!」

翠ひきいる部隊が、袁術の部隊の逃げ道を塞ぎ、さらに混乱させる。

指揮系統は完全に乱れ、多くの兵は戦いを止め逃走。

戦は、反乱軍の完全勝利で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

「勝ち鬨をあげよーーーーー!!!!!」

「「「おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」

 

 

 

 

 

――孫策軍――

「雪蓮!!」

「袁術負けた?」

「あぁ。たった今早馬がきた。」

「昼ねぇ~・・・・・まだお昼まで全然あるじゃない・・・・・・・・・・・・・準備の方は?」

「万端だ。」

「そう。・・・・・・・・この借りは高いかな。」

「そうかもしれんな。」

「全軍に通達!!我らは今から袁術を討つ!!」

「御意。」

 

「策殿。」

「なに?」

「この借りどう返すおつもりか?」

「それは、うちも聞きたいですな~?」

「きっちり返すわ。倍返し以上でね・・・・・・・・・・その時は期待しているわよ♪」

孫策の瞳に宿るのは闘争の本能。

「くくくっ・・・・・・・そちらの方が今から楽しみじゃの。」

「・・・・・・まったくやね。」

 

 

 

 

 

――反乱軍――

「勝ったか・・・・・・・・ふぅ~。」

肩の荷がようやく降りた気がする。

翡翠たちも無事。

孫策軍も反転した。

「ですが、これからは荊州を安定させなければなりません。」

「そうだね。」

「皆!!これからも頑張ろう!!」

「「「御意!!」」」

 

「しかし、一度で良いから戦ってみたかったの。」

「まったくです。」

「駄目よ、そんな事言っては。」

 

「俺たちが俺たちである限り、いつかは戦うかもしれない・・・・・・・・でも、今は翡翠たちを迎えに行こう。」

 

 

 

この後、反乱軍は合流をはたし、南荊州の平定にはいる。

袁術郡は孫策軍に追撃され壊滅。

袁術と張勳は行方不明。

揚州は孫策の手に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

荊州の戦い。

 

何故、この戦いは名を残すまで有名になったのか。

 

一つめは孫策の独立のきっかけを作ったため。

 

二つめは反乱軍が諸侯より圧倒的な勢力になったこと。

 

三つめは・・・・・・・・・ある戦のきかっけとなったため・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

俺たち反乱軍が、荊州を平定して一月がたった。

荊州内は思ったより悪い状況で、それを打破すべく政に力をいれていた。

一月も益州を離れれると寂しい・・・・・。

いつの間にか俺の故郷は益州になっていたんだって・・・・・最近思う。

 

けど、そんな思いや平和な時間は、すぐに崩れ去るもの。

 

俺たちはそれを思い知ることになった・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

「「「!?」」」

ボロボロの兵が両脇を抱えられて俺たちのもとにやってくる。

「ほ・・・・・・・報告します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・り、劉備が・・・・・・・・白帝城に進軍中。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――崩壊の始まり

 

 

 

第二十一話 完

 

 

 

 

 

予告

 

真の英雄は名も無きもの

 

それを教えてくれた

 

次回 心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第二十二話 「劉備の乱 巴郡の戦い」

 

戦う理由はただ一つ・・・・・・・

 


 
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