No.143725

心・恋姫†無双 第二十ニ話

南風さん

前回、私の作品を読んでくれた方々に感謝を申し上げます。
コメントもありがとうございました。

この作品はキャラ崩壊およびオリジナル要素が強い作品となっています。苦手な方は申し訳ありません。駄文で誤字脱字等もあると思いますがよろしくお願いします。最後にこの作品の感想もお待ちしております。

続きを表示

2010-05-17 17:58:24 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:9487   閲覧ユーザー数:6905

心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第二十二話 ~劉備の乱 巴郡の戦い~。

 

 

 

何が何だかわからない。

 

なぜ?

 

どうして?

 

頭の中が混乱する。

 

 

 

「ご主人様!!」

「あ・・・・・・あぁ。ごめん。」

皆が気付いていた。一刀の顔は青ざめ、体が震えていることに・・・・・・。

「・・・・・・どうしてこうなったかわかる?」

「そ、それはこちらに書いてあります。」

兵がボロボロになった竹簡を取り出す。

一刀はそれに目をとおす。

「・・・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

『我が主

今回は見えぬ敵の策略にかかり、このような事態になったのは自分の責任です。

 敵の姿も目的もわかっておりません。

 ですが、劉備の目的は侵略ではなく我らの討伐です。

自分は、益州に残した将兵を他へ逃がすため、涙と共に最後の砦として白帝城にてその時間を稼ぎます。短い間でしたが共に戦えた事を我が人生の誇りとします。

 ありがとうございました。

 

 

 

劉備様はこの度の事に大変心を痛めており、救えるのは一刀様以外おりません。

劉備様を救ってあげてください・・・・・・・・・・・・・。            恵雨、涙 』

 

 

 

 

 

字がかすれ、辛うじて読めた部分は事の発端ではなく、恵雨と涙の感謝と願い。

自分達を助けるためではなく、敵となった劉備を救ってほしいという願い。

そして、短い時間であっても共に過ごせたことの感謝。

「何と書いてありましたか?」

「ありがとうだって・・・・・・・あと、劉備は騙されているから救ってあげてくれって・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・そうですか。」

「お館様よ、我らはこれからどうするのだ?」

「今までどおりさ。ただ、白と千里は益州の動きに注意をはらってくれ。ここからが正念場だ。」

「それでよいのですか?」

「俺たちは自分たちのために戦はしない。劉備が進軍しているということは民が劉備を求めたってことだ。恵雨や涙が死んだとしても俺たちは動かない・・・・・・・・・・ただ、劉備の誤解は解く。」

「悠長なことだね。」

「めったなことを言うものではない。」

「その通りよ。」

「・・・・・わかってるさ。」

「これが俺たちの運命だ。恵雨と涙もわかっている事だよ。」

何とも言えない空気がその場を支配する。

「その人に休息を与えてくれ・・・・・・。」

一刀は兵を労い下がらせる。

この場に残るのは一刀と将達のみ。

「千里・・・・・・・軍議を始めて・・・・・あと、この竹簡の解読を・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・はい。独立した孫策軍は各地の豪族を平定し、今度は南伐を開始するそうです。北方では曹操軍と袁紹軍の間で近々戦いがあると思われ・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

軍議が終わり、一刀は部屋に戻らず城壁に来ていた。

 

寝転がり空を眺める。

 

一刀の頭の中にはあの晩、孫策に言われた事が駆け巡っていた。

 

・・・・・・・・甘さと死か。

 

「・・・・・・・・・・。」

 

そんな一刀の元を訪れる一つの影。

 

「・・・・・・・・・・・・何をしている。」

 

「・・・・・・空を眺めてる。」

 

「仕事は?」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「ふん。」

 

「お、おい!」

 

影は一刀の頭を持ち上げ自らの膝の上に乗せる。

 

「なんだ、不満か?」

 

「いや、そういうわけじゃないけど・・・・・・・・。」

 

「好色漢め。」

 

「えっ!?」

 

「冗談だ。」

 

「珍しいな、焔耶が冗談だなって・・・・・・・。」

 

そう、影の正体は焔耶。

 

「ワタシだって言うことぐらいある。」

 

「・・・・・・・・・・ありがとう。」

 

「ふん。」

 

二人の間に安らかな風が吹く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっーーーーー!!あっーーーーー!!」

二人の時間を切り裂く叫び声。

一刀と焔耶の視線の先にいるのは翠。

その後ろには、ニヤニヤしている蒲公英と雛菊。

顔が紅くなっている蒼と姫百合。

 

その瞬間だった。

「痛っ!!」

焔耶は立ち上がり、一刀は後頭部を地面に強打する。

 

「な、何のようだ!!」

「そんな恥ずかしがらなくて良いじゃん♪」

「そうよ♪そのまま続けていいよ♪」

「ご主人さまのエロエロ魔人!!」

「そんな関係?」

「・・・・・・・主。」

 

「何か色々勘違いしてないか!?」

 

 

 

 

 

「ご主人さまの事、好きなら好きって言えばいいのに♪」

「まったくよ♪焔耶は素直じゃないよ♪」

「うるさいぞ!!」

いつの間にか得物を振り回している焔耶。

「ちょこまかと~、この猿共が!!」

「「・・・・・・・・・・・。」」

二人とも顔を見合わせ・・・・・・。

「「猿って言うな~!!」」

蒲公英が得物を取り出す。

「その言葉取り消すよ!!」

雛菊も得物を取り出す。

「ふん!!知るかぁ!!」

・・・・・三人の喧嘩が始まった。

 

 

 

「止めなくていいのか?」

三人の喧嘩は凄まじい。

「あれはいつものことです。・・・・・・・・それより・・・・・・・・。」

「それより?」

「翠姉様が。」

「・・・・・・・・誤解するなよな。」

「べ、別に誤解とかしてない。」

「ならいいんだけど・・・・・・・・何で皆はここに?」

「主の元気がありませんでしたので、おそれながら慰めたいとのことです。」

「ちょっ、蒼!!何言ってんだよ!!」

翠の顔がさらに紅くなる。

「・・・・・・・・・・。」

そんな翠を一心に見つめる一刀。

「な、なんだよ・・・・・・・心配したら悪いかよ。」

「ありがとな。」

一刀は翠の頭を優しく撫でる。

「こ、子供じゃないんだぞ・・・・・・・・。」

「そうか、ごめん・・・・・・・・。」

そう言って顔を紅くしているところが子供っぽいなんて・・・・言えないな・・・・・・・。

優しく微笑む一刀。

「姫百合、蒼もありがと。」

そして二人の頭も優しく撫でる。

「も、もったいなきお言葉。」

「ありがとうございます・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

ブゥン!!

 

 

 

 

 

一刀が二人の頭を撫でている時だった。

黒い塊が一刀の横を通りすぎる。

そして、一刀の髪が数本宙に舞った。

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「すまん、手が滑った。」

 

「・・・・・・・・・・・謝るならその手の物をおろして・・・・・・・「何か言ったか?」・・・・・・ナンデモアリマセン。」

反論しようとするが、鈍砕骨を構え殺気を垂れ流している焔耶に怖気づく。

「翠姉さま、ずるぅ~い!!蒲公英も撫でてもらいたい!!」

「私もよ~!!」

「お前たちは黙ってろ!!」

「ぶ~~~嫉妬って醜いよね~?」

「ね~。」

 

 

 

ドドドドドドドッ!!

 

 

 

「ば、馬鹿いうな!!いつどこで私が嫉妬を・・・・・・・・・・ん?」

 

何かが近づく音に気付き、視線を向ける焔耶。

 

だが、音の主はすでに焔耶の眼前に迫っていた。

 

 

 

 

 

「ぬわっ!?」

焔耶を突き飛ばし、颯爽と一刀に飛びつくのは嵐。

「一刀!!元気にしてるか!?」

一刀の首根っこを押さえ、髪をくしゃくしゃにする。

「げ、元気だから!!や、やめ、やめてくれ!!」

「嫌だ!!」

「・・・・・・・一刀様、申し訳ありません。嵐が迷惑をかけてしまって。」

「・・・・・・・・・白たちもありがとな。」

「照れるだろう!!」

恥ずかしさのあまり力が入り、一刀の首がしまっていく。

「ち、ちょっと!苦しい!!そ、それにそれは恥ずかしがっている動作じゃない!!」

「・・・・・・・嵐、一刀様が死んでしまいます。」

 

 

 

皆の笑い声が飛び交った。

 

 

 

 

 

時がたち・・・・・・・・

 

 

 

「そうですか。だから皆さんこんな場所にいたんですね。」

青かった空は、すっかり夕焼けに染まっていた。

城壁の上にいるのは一刀と千里。

そして、寝息をたてている少女たち。

「あぁ。あの後、焔耶と嵐も喧嘩をはじめるし・・・・・・・翠は蒲公英たちにからかわれて追いかけっこ、白と蒼はお茶を飲みだしたからね。」

「ご主人様は何をなさったんですか?」

「・・・・・・・・・ごめんなさい。一緒にお茶を飲んでました。」

「桔梗さんたち、怒っていましたよ。」

「本当に?・・・・・・・・後が怖いな・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・ご主人様は、皆に愛されていますね。」

「そう?なら嬉しいけどね。」

 

 

 

 

 

「わ、私が一番・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

「ん?」

「・・・・・・・・何でもありません。」

「それより、千里。」

「はい?」

「ありがとな。」

「あぅあ~。」

言葉よりも夕日に染まる一刀の横顔に千里は思わず見とれてしまう。

「千里?」

「はぅ!?」

「あの後、何かわかった?」

「・・・・・・・・・いえ、すみません。」

「・・・・・・そうか。」

「ただ、私達と劉備さんを戦わせようとしているのは事実です。伝令の方の話によると恵雨さんは多くの伝令をはなったそうです。ですが、たどり着いた方が一人・・・・・もちろん劉備さんが妨害したとも考えられますが、伝令が襲われた状況が・・・・・・」

「状況がどうかしたの?」

 

 

 

「はい。山道で待ち伏せを受けたのですが・・・・襲撃してきた兵が・・・・・・その・・・・・・黄色い布を身につけていたらしいのです。」

 

 

 

 

 

――益州 巴郡――

 

一刀が初めて降り立った地は、反乱軍と劉備の勢力の境に面している。

だが、一刀の命により巴郡の守備兵は数が少なかった。

これは巴郡だけでなく他の城も同じで、劉備を信頼した一刀のとった行動である。

だが、今はそれが仇となってしまっていた。

 

 

 

――巴郡 城壁――

城壁の上に兵が整列する。

「守兵七百!!全て配置につきました!!」

 

「・・・・・・・・・・今からでも遅くない。逃げたいものは逃げよ。」

巴郡の守りを任された将は、目の前に広がる劉備軍を見つめ兵たちに語りかける。

 

「我らは厳顔さまに育てられ、御遣い様に命を救ってもらいました!!ならばこの命、御遣い様と厳顔さまのために使う覚悟!!」

 

「なら良い。・・・・・・・よく聞け皆のもの!!我らの目的は時間稼ぎだ!!他の城の者が逃げられるように我らはここで時間をかせぐ!!」

 

「しかし、我らは保身のために戦わない反乱軍だ!!民が劉備を求めた以上、戦う理由は無い!!それでも、他の城の仲間のため、何より未だ我らを求めるわずかな民のために戦うか! ?」

一人一人の目を見つめ、兵たちの覚悟を受け取っていく。

 

「「「応!!」」」

 

「我らは戦おうが投降しようが死ぬ運命だ!!生きるには逃げることだ!!それでも残るか!!?」

 

「「「応!!!!!」」」

 

「皆の心に感謝する!!御使いさまに栄光を!!大陸に平和を!!」

 

「「「「「御使いさまに栄光を!!!!大陸に平和を!!!!」」」」」

 

「御使いさまに栄光を!!!!!!大陸に平和を!!!!!!」

 

「「「「「御使いさまに栄光を!!!!!!!!大陸に平和を!!!!!!!!」」」」」

 

「皆、行くぞおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――劉備軍――

「凄まじい士気の高さですね。」

「・・・・・・・・・・・。」

「桃香さま、どうしますか?」

「攻めるよ。反乱軍の人は殺すけど、民には手を絶対にださないで。」

「ですが、それでも東益州の民の心は離れてしまいます。」

「・・・・・あの人たちは投降に応じなった。それに、戦はそういうものだよ、朱里ちゃん。」

「ですが・・・・・・・・・。」

「ここで情けをかけちゃいけない。反乱軍は・・・・・・・北郷一刀は民の心を裏切って民を騙し続けてる。だから、民を救うために私は戦うの。」

「・・・・・・・・はい。」

「じゃないと愛紗ちゃんにあわせる顔がないよ・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・そうですね、わかりました。」

「なら、銅鑼を鳴らして!!」

「御意。」

 

 

 

ここに・・・・・・巴郡守兵七百と劉備軍三万五千の戦いがはじまった。

 

 

 

 

 

劉備軍、三万五千の兵が巴郡の城を完全に包囲する。

そして巴郡には矢の雨が降り注いだ。

「皆、盾を構えよ!!ただ降り注ぐだけの矢なぞ恐るるに足りん!!」

「「「応!!」」」

 

「皆さん!!敵に休まる暇を与えてはいけません!!矢を放ち続けてください!!」

「鈴々ちゃんの部隊にも休まず攻め続けてくださいと伝令を!!」

「はっ!!」

 

 

 

――城門前――

門を挟んでの戦い。

破城槌をいきおいよくぶつける。

「相手は少ないのだ!!だから休む暇を与えないように攻め続けるのだ!!って朱里が言ってるのだ!!」

「「「応!!」」」

 

内側では兵士たちがいきおいを殺そうと必死に抑える。

「決して開けるな!!」

「今こそ命をはる時だ!!」

 

 

 

――巴郡 城壁――

「隊長!!城門が破られそうです!!」

「ありとあらゆる物を門の前に積み上げろ!!突破されてもすぐに突入されないようにするんだ!!弓兵は門を破壊しようとする敵兵を狙え!!」

「はっ!!」

 

「他の者は梯子を壊せ!!敵兵には石を落とすのだ!!」

「「「応!!」」」

 

 

 

――劉備軍――

「思ったより攻められてないね。」

「はい。向こうは士気も高く、何より死兵ですから。」

「・・・・・・・・北郷一刀のどこにそんな人望があったのかな?」

「それは・・・・・・・・わかりません。」

「そうだね。あと、どれくらいで落とせそう?」

「いくら死兵でも体力に限界はありますし、何より兵数に差があります・・・・・時間の問題かと。」

「そう。」

 

桃香様・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

場所は変わり

 

劉備軍は白帝城に進軍するにあたって軍を二つにわけていた。

一つは劉備率いる本隊、三万五千。

もう一方は趙雲率いる別動隊、一万五千。

 

事は趙雲率いる別動隊で起きる。

 

 

 

 

 

「お母さ~ん。」

戦場に似合わない女の子の悲痛な叫び声。

「璃々様だけでも逃がすんだ!!」

「「「応!!」」」

別動隊により紫苑の城が陥落。

璃々が一時的に帰郷していた時の出来事であった。

 

 

 

「ふむ。その願いは叶えられん。」

 

 

 

逃げる璃々たちの前に立ちはだかるのは・・・・・常山の登り竜・・・・・・趙雲。

「そこの少女・・・・・・反乱軍の将である黄忠殿の娘、璃々殿とお見受けするが・・・・・・・・・・・。」

「速くお逃げください、ここは我々が抑えます!!」

璃々を守っていた兵が数名、趙雲の前に立ちはだかる。

「っふ・・・・・やめておけ。いくら精兵たるお主達であっても私を止めるには役不足だ・・・・・・。」

「黙れ!!」

「速くお逃げください!!」

 

涙目で今にも泣き出しそうではあったが、璃々はその場を動こうとはしなかった。

幼い少女とはいえ、自分のために兵たちが死のうとするのがわかっていたから。

 

「ごめん!!」

一人の兵が璃々を担ぎ上げ一気に走り出す。

「待てい!!」

すかさず追おうする趙雲。

しかし、その前には決死の兵たちが立ちふさがる。

「ここから先は行かせん!!」

「死んでも通さん!!」

「・・・・・・・・・・何故、そうも邪魔をする。大人しく引渡せば死なずにすんだものを・・・・・・・。」

「ふざけるな!!璃々様を引渡すなら死んだほうがましだ!!」

「そのとおりだ!!貴様らのような卑怯者になぞ渡してなるものか!!」

 

 

 

「卑怯者か・・・・・・・そうかもしれぬな。・・・・・・・しかし、我らとて必死なのだよ・・・・主のために・・・・・・・・・友のために・・・・・・・・・・・・。」

 

 

 

「「!?」」

一瞬だった。

趙雲が語り終わると同時に・・・・・・血が流れた。

 

・・・・・・・・・・。

 

・・・・・・・・。

 

・・・・・・。

 

 

 

「お主の言う通りにしてきたぞ。」

趙雲の槍からは血がしたたり、衣には返り血が見てとれる。

「あわ・・・・・・・・・・あの・・・・・その・・・・す、すみません。」

「何故、謝るのだ?」

「い、いえ。その、やっぱりこういう事は嫌だと思いますから。」

「確かに気はのらん・・・・・・・が、そうも言っておられまい。」

「・・・・・・・・・・・・そう・・・ですね。」

「それより軍師殿。これからいかがなさるつもりか?」

「は、はい。予定通り桃香さまの本隊と合流した後、白帝城を攻めます。」

「白帝城か・・・・・噂によれば虎狼関より難攻不落だとか・・・・・・・。」

「はい。実際は、私たちが初めて白帝城を攻めるのですが・・・・・・・その構造や地形から考えますと攻めるのはとても難しいです。」

「それは何とも・・・・・・・・。」

「それに、白帝城を守っている姜維さんと梁緒さん・・・・・・・情報が少ないですがお二人ともかなりの人物だとお聞きます。」

「・・・・・・・・・あの時の・・・・・・・おしいな。」

「何がですか?」

「いや、何でもない・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

――巴郡 城壁――

「敵兵を押し戻せ!!なんのために鍛えた体か!!」

城壁の上に敵兵が押し寄せる。

「隊長!!城門が破られます!!」

「何!?」

 

「行ってください!」

 

「ここは我らが抑えます!」

 

「任せてください!」

 

「・・・・・・・・すまん。天で会おうぞ!!」

 

「「「はい!!」」」

将は兵を引き連れ城門へ向かう。

 

数多の声を背中で受け止め・・・・・・。

 

 

 

――城門前――

門はすでに半壊。

積み上げられた瓦礫などが突入を阻んでいる状態だ。

「隊長!!」

「皆、諦めるな!!絶対門を死守しろ!!」

「「「応!!」」」

 

しかし、その願い虚しく・・・・・

 

 

 

 

 

「もうっ!!邪魔なのだあああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

猛将の一撃により門は粉砕。

瓦礫の多くは崩れ落ちる。

 

「っ!!・・・・・・固まれ!!押し返すぞ!!」

 

「「「応!!」」」

 

「劉備軍よ!!我らの生き様、しかと眼に刻め!!

 

 

 

――巴郡 劉備本隊――

「これまで・・・・・・・・・ですね。」

劉備率いる本隊は張飛の活躍で城門を突破。

「だね・・・・・・・。」

わずかな兵が抵抗を続けている状況であった。

「民の人たちに資材と食料を分け与えてあげて。」

「御意です。」

「・・・・・・・・少し疲れちゃったかな・・・・・・・・。」

「後は私がやっておきますので、桃香さまはお休みになってください。」

「うん。ありがとね、朱里ちゃん。」

「いえ。」

 

 

 

――巴郡 城内――

「残りは?」

「バラバラになりましたので、正確な数はわかりませんが・・・・・・・残りは百ほどかと。」

「・・・・・・・そうか・・・・・・なら、討って出る。」

 

・・・・・・・・・・。

 

「皆、天で会おう。」

「「「応!!」」」

 

 

 

 

 

この日、最後の戦い。

城内を占拠しつつある劉備軍。

その先鋒である張飛隊の追撃を振り切り、劉備本隊に突撃を仕掛ける反乱軍。

結果は目に見えて明らか。

かたや兵士三万五千万、かたや百。

勝てる要素は一つとして存在しなかった。

だが、彼らは一人として諦めなかった。

時間をかせぎ仲間を逃がす。

その目的のために散る。

それは彼らの、彼らなりの意地だった。

反乱軍として、北郷一刀の名のもとで戦えた事を誇りに、最後の一兵になるまで彼らは進み続けた・・・・・・・・・・。

「・・・・・・・何故戦ったのですか?」

諸葛亮はまだ息のある者に語りかける。

「・・・・・・・簡単なこと。我らは天である北郷様と共にある・・・・・・・。」

「・・・・・・・そうですか。」

「それに・・・・・・・・・・・・。」

「?」

「劉の旗は・・・・・曇っているからな・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

 

最後の兵が倒れた場所、それは劉備がさがる前の陣の場所。

 

最後の突撃を民は讃えた・・・・・。

 

巴郡の守兵こそ、真の忠臣にして英雄であると・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

――白帝城――

「・・・・・・・・・・・そうですか、ありがとうございます。」

巴郡陥落、璃々の行方不明の報が白帝城に届いたのは、その日の夜遅く。

「・・・・・・・ご主人さまにどう報告しますか?」

「ありのままを報告します。・・・・・・・涙、兵の状況はどうですか?」

「涼州、雍州出身の兵は無事に逃がせています・・・・・・ですが、多くの益州兵は涙たちと同じ考えがほとんどなのです。」

「出来るだけ説得してください。私も頑張ります。」

「わかったのです。」

「劉備軍はこちら進んでいますか?」

「着実に進んでいるのですよ~。」

「策は成功ですか・・・・・・・・涙も早く逃げてください。」

「嫌なのです。」

「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

 

涙は恵雨の目の前に立つ。

 

「涙?」

 

そして・・・・・・・・。

 

「・・・・・・っぷ。」

 

「笑いましたね。」

 

「す、すみません。いや、ですがあの顔はちょっと・・・・・・ふふふふ。」

 

涙の変な顔に思わず噴出してしまう。

 

 

 

 

 

「涙の一番好きなものは恵雨の笑顔なのです。・・・・・・・だから近くにいさせてください。」

 

 

 

「・・・・・・・・・はい。よろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

今を生き抜こう・・・・・・

 

友と、ご主人さまのために・・・・・・・

 

 

 

第二十二話 完

 

 

 

 

 

予告

 

千の山、千の谷に囲まれた天然の要塞 白帝城

 

今、数多の声が山々にこだまする

 

次回 心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第二十三話 「劉備の乱 咆哮」

 

戦おう・・・・・・

 

大切なもののために・・・・・・・・・・

 


 
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