No.126902

三人の御遣い 三話

酷い文ですが読んでくれる人がいると幸いです。
基本ゲームのシナリオ通りです。

2010-02-27 01:04:25 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:917   閲覧ユーザー数:803

/一刀

 

一刀「・・・痛てて」

目が覚める。

一刀「・・・ここは?」

周りを見渡すと見知らぬ荒野だった。

一刀「・・・友樹?・・・京?」

親友の名を呼ぶが返事はない。

一刀「二人が・・・いない?・・・なんで?」

二人がいないのに気付き戸惑う一刀。

一刀「二人は?・・・そうだ、携帯」

携帯を持っていることを思い出した。

一刀「・・・圏外?・・・なんで、どうして?」

圏外だったため、絶望的になった一刀は膝をつく。すると

???「おう兄ちゃん、珍しいモン持ってるじゃねえか」

声をかけられ振り返ると、三人組の男たちがいた。

一刀「・・・誰?(なんだろう?あの格好)」

服装に疑問を感じたがそれは口に出さなかった。

???「誰でもいいさ。とりあえず金だしな」

と刀を突き付けられながら言われた。

一刀「うわぁ」

驚いた一刀は後ずさった。

???「アニキ、こいつの服、引っぺがしますか?」

アニキ「当たり前だ。そいつの服を汚すなよ。デク、こいつを抑えろ」

デク「わかっだ」

アニキ「チビ、服を引っぺがした後、バラしとけよ」

チビ「こんなやつ奴隷にもならないっすね」

チビとデクと呼ばれた二人は近づいてくる。

一刀は少しずつ後ろに下がる。

一刀「(何あれ?本物?・・・なんで?なんで俺が?・・・友樹、京)」

本物の刀を見て、恐怖し、親友の顔を思い出し、

一刀「助けて」

助けを求めた。・・・すると

???「待てぃ!」

チビ「っ!」

アニキ「だ、誰だっ!」

一刀「・・・京?」

一刀は親友の一人かと思って振り向いたが、

???「たった一人の庶人相手に、三人掛かりで襲いかかるなどと・・・その所行、言語道断!そんな外道の貴様らに名乗る名前など、ない!」

槍を持った女の子だった。その女の子は三人に向かって行き

チビ「ぐはっ!」

気がつくとチビと呼ばれていた三人組の一人が吹っ飛んでいた。

???「なんだなんだ。所詮は弱者をいたぶることしか出来ない三下か?」

アニキ「くっ・・・おい、お前ら!逃げるぞっ!」

チビ「へ、へぇ」

デク「だ、だな」

三人組の男たちは逃げだす。

???「逃がすものか!」

そう言って女の子は三人を追いかけて行った。一刀はその方向を見ていると

???「大丈夫ですか~?」

一刀「・・・えっ?」

後ろから話しかけられる。振り向くと二人の女の子がいた。おっとりして感じの子と、しっかりした感じの子だった。

???「傷は・・・大したことは無いな。立てるか?」

一刀「う、うん・・・大丈夫」

そういって、一刀の背中を支えてくれる。

???「風、包帯は?」

風?「ないですよ~。こないだ、稟ちゃんが全部使っちゃったじゃないですか~」

稟?「・・・そうだったっけ?」

一刀「大丈夫です。包帯で手当てするほどの傷は無いので」

二人が手当てしてくれるのを一刀は断った。

風?「そうですか?ならいいですけど~」

一刀「(・・・見慣れない服だなぁ)」

一刀は二人の服装を見てそう思った。そして

???「やれやれ。すまん、逃げられた」

さっきの女の子が帰ってきた。

風?「お帰りなさい。・・・盗賊さんたち、馬でも使ってたんですか~?」

???「うむ。同じ二本足なら負ける気はせんが、倍の数で挑まれてはな」

風?「まぁ、追い払えただけでも十分ですよ~」

稟?「それにしても災難でしたね。この辺りは盗賊は比較的少ない地域なんですが・・・」

一刀「盗賊?・・・盗賊って何ですか?風さん?」

風?「・・・ひへっ!?」

???「貴様!」

彼女の名前を呼んだだけのつもりだったのに、盗賊を追い払った女の子に槍を突き付けられた。

一刀「うわっ!?な・・・なんでっ!?」

一刀は驚いて尻をついた。

???「おぬし、どこの世間知らずの貴族かは知らんが・・・いきなり人の真名を呼ぶなど、どういう了見だ!」

風?「て・・・っ、訂正してください・・・っ!」

一刀「(えっ?なんで?どうして?・・・名前呼んだだけなのに。・・・なんでさっきからこんなめに合わないといけないの?・・・助けて・・・友樹、京)」

稟?「訂正なさい!」

風?「うぅぅ・・・っ!」

一刀「す、すいません。訂正・・・訂正しますから、その槍引いて・・・」

???「・・・結構」

風?「はふぅ・・・。いきなり真名で呼ぶなんて、びっくりしちゃいましたよ~」

そういって、さきほど槍を突き付けていた女の子は槍を引き、手を取り、一刀を起こしてあげた。

一刀「(真名ってのは呼ばない方がいいのかな?)そ・・・それじゃ、なんて呼べばいいの?」

一刀は起き上ったときに風と呼ばれていた子に訊いた。

風?「はい。程立と呼んでください~」

稟?「今は戯志才と名乗っております」

一刀「(偽名・・・だよね?多分。・・・それに程立に戯志才?・・・どっかで聞いたような?)」

二人の名前を聞いた一刀は違和感を感じた。

一刀「二人の名前からして、ここは中国?」

程立「ちゅうごく?星ちゃん、この辺りにそういう地名ってあるんですか~?」

星?「いや、聞いたことがないな。おぬし、その格好を見るに、どこかの貴族か豪族の一員のようだが・・・どこの出身だ?」

一刀「日本の東京ですけど」

出身を聞かれ素直に答える。

星?「・・・にほんのとうきょう?稟、そのような地名に心当たりはないか?」

戯志才「・・・無いわね。南方の国かもしれないけど」

一刀「・・・えっ?」

二人の反応に疑問を感じた一刀。

星?「・・・ふむ。まぁ、後のことは・・・陳留の刺史殿に任せるとしようか」

程立「そうですね~」

一刀「・・・しし?」

戯志才「ほら。あれに曹の旗が」

戯志才が指差した方向を見れば、地平線の向こうからもうもうと砂煙が立ちのぼってるのが確認できた。しばらくすると騎馬武者の群れと、その上にひるがえる大きな旗が見えてきた。

一刀「(・・・映画の撮影かな?)」

そう思い三人の方を向き直すと

一刀「えっ?三人とも行くの?」

どこか行こうとしていた。

戯志才「我々のような流れ者が貴族のご子息を連れていると、大概の者はよからぬ想像をしてしまうのですよ」

一刀「いや、別に貴族じゃないけど」

星?「その辺りはご自分で説明なされ。面倒ごとは楽しいが、官が絡むと途端に面白みがなくなるのでな」

一刀「ちょっとまっ・・」

一刀は三人を引き止めようとする。

星?「それでは、ごめん!」

程立「ではでは~♪」

しかし三人はあっという間に姿を消した。

そして・・・

一刀「・・・」

周囲を取り囲むのは、騎馬の群れ。

???「華琳さま!こやつは・・・」

華琳?「どうやら違うようね。連中はもっと年かさの、中年男だと聞いたわ」

???「どうしましょう。連中の一味の可能性もありますし、引っ立てましょうか?」

華琳?「そうね。・・・けれど、逃げる様子 もないということは・・・連中とは関係ないのかしら?」

???「我々に怯えているのでしょう。そうに決まっています!」

華琳?「怯えているというよりは、面喰っているようにも見えるのだけれど・・・」

一刀「・・・」

三人の女の子が一刀を見ながら話をしているが、一刀は何の話をしているのか見えていなかった。

一刀「・・・あ、あの」

一刀は勇気を出し、華琳と呼ばれていた子に話しかける。

華琳?「・・・何?」

一刀「・・・君、誰?」

華琳?「それはこちらの台詞よ。あなたこそ、何者?名を訪ねる前に、自分の名を名乗りなさい」

一刀「えっと、俺は北郷 一刀(ほんごう かずと)」

華琳?「生まれは?」

一刀「日本で、聖フランチェスカ学園の学生」

???「・・・はぁ?」

黒髪をした子が不思議がっていたが一刀は気付かなかった。

一刀「それよりここはどこ?日本でも中国でもないって言うし」

???「貴様、華琳さまの質問に答えんかぁっ!生国を名乗れと言っておるだろうが!」

一刀「えっ?日本ってちゃんと答えたんだけど?」

ちゃんと答えたのに納得のいかない一刀だった。

???「姉者。そう威圧しては、答えらる者も答えられんぞ」

???「ぐぅぅ・・・。し、しかし秋蘭!こ奴が、盗賊の一味という可能性もあるのだぞ!そうですよね、華琳さまっ!」

華琳?「そう?私には、殺気の一つも感じさせないほどの手練れには見えないのだけれど。春蘭はどう?」

一刀「(・・・殺気?なんだろさっきから盗賊とか殺気とか。昔の人たちみたいな子たちだなぁ)」

さっきから聞きなれない言葉に疑問を感じる一刀。

春蘭?「・・・それはまぁ、確かに」

華琳?「北郷・・・と、言ったかしら?」

一刀「えっ?・・・うん」

華琳?「ここは陳留。そして私は、陳留で刺史をしている者」

一刀「・・・しし」

華琳?「刺史も知らないの?」

一刀「初めて聞いた言葉かな」

そう言うと華琳とよばれた子は呆れた顔をした。

華琳?「・・・呆れた。秋蘭」

面倒になったのか華琳と呼ばれた子は青い髪の子に説明をさせた。

秋蘭?「刺史というのは街の政政事を行い、治安維持に従事し、不審者や狼藉者を捕まえ、処罰する務めのことだ。これなら意味は分かるか?」

一刀「・・・なんとなく。警察と役所を足して二で割ったようなものかな」

春蘭?「またワケの分からんことを・・・」

一刀「要するに、税金を集めたり、法律を決めたり、街の治安を乱す悪いヤツや怪しいヤツを、捕まえたり処罰したりする仕事でしょ?」

華琳?「分かっているじゃない。なら、今の自分の立場も分かっているわよね?」

一刀「?・・・なにもしてないんだけど」

華琳?「少なくとも、十分以上には怪しいわよ。春蘭。引っ立てなさい」

春蘭?「はっ!」

華琳?「まだ連中の手掛かりもあるかもしれないわ。半数は辺りを捜索。残りは一時帰還するわよ」

そして一刀は華琳と呼ばれた子たちと一緒に街へ向かうことになった。

秋蘭?「なら、もう一度聞く。名前は?」

一刀「北郷一刀」

秋蘭?「では北郷一刀。おぬしの生国は?」

一刀「日本」

秋蘭?「・・・この国に来た目的は?」

一刀「分からない」

秋蘭?「・・・ここまで、どうやって来た?」

一刀「それも分からないかな。・・・自分の部屋の前で目の前が急に光ったんだ。・・・気が付いたらあそこにいたんだけど・・・」

秋蘭?「・・・華琳さま」

ここまでの訊問のやりとりを見て華琳と呼ばれた子は

華琳?「埒があかないわね。春蘭」

呆れて感じで春蘭と呼ばれた子に指示を出した。

春蘭?「はっ!拷問でも掛けましょうか?」

一刀「拷問!?なんで!ちゃんと答えたのに!・・・本当に何も分からないんだ」

華琳?「本当に埒があかないわね」

秋蘭?「後は、こやつの持ち物ですが・・・」

そう言い秋蘭と呼ばれた子は、一刀の持ち物を取り出した。出てきたのは携帯と小銭が少々だった。すると華琳と呼ばれた子が小銭を手に取った。

華琳?「この菊の彫刻はなかなか見事なものね。これは、あなたが作ったの?」

一刀「いや、ただの100円玉・・・お金だけど」

華琳?「お金?その割には、見たことのない貨幣だけれど・・・その日本という国は、どこにあるの?」

一刀「その前にここどこ?日本でも中国でもないなんて」

一刀は質問を質問で返す。

一刀「(この街を見た限り中国だと思ったんだけど)」

そう思っていると

春蘭?「貴様ぁ!こちらが下手にでていれば、のらりくらりとワケの分からん事ばかり・・・!」

一刀「・・・下手に出てないと思うんだけど」

春蘭?「なんだと、貴様ぁ!」

華琳?「はぁ・・・春蘭。いい加減にしなさい」

そのやりとりをみた華琳と呼ばれた子はため息をついた。

春蘭?「で、でもぉ」

一刀「・・・あのぉ」

二人のやりとりの最中に一刀は話しかける。

華琳?「何?」

一刀「君たちの名前を教えて欲しいんだけど。今呼び合ってるのは・・・たしか、真名って言うんだっけ?」

華琳?「あら。知らない国から来た割には、真名のことは知っているのね?」

一刀「さっき話した、俺を助けてくれた人たちが教えてくれたんだけど。・・・その真名って呼んじゃいけないんだよね?」

春蘭?「当たり前だっ!貴様ごときが華琳さまの真名を呼んでみろ!その瞬間、貴様の胴と首は離れているものと思えっ!」

一刀「(・・・さっきの子はよく許してくれたなぁ。・・・この子たちじゃなくて良かった)」

と先ほど会った三人組の女の子たちを思い出していた。

一刀「・・・だから、ずっと君、っていうのも何だしと思って」

華琳?「そういえばそうね。私の名は曹孟徳。それから彼女たちは、夏候惇と夏候淵よ」

夏候惇「ふんっ」

夏候淵「・・・」

一刀「・・・はっ?」

一刀は彼女たちの名前を聞いて素っ頓狂な声を出した。

曹操「聞こえなかった?」

一刀「いや、ちゃんと聞こえたけど。・・・それって通称とか、別名とか、仮名とかじゃないよね?」

と三人に訊くと

夏候惇「何と馬鹿なことを。それとも貴様、わたしが父母からいただいた大切な名前を愚弄するつもりか?」

一刀「い、いや!そんなつもりは。・・・ってことは本当にあの曹操と夏候惇、夏候淵なの?」

曹操「あら。良く私の名を知っていたわね?」

一刀「ん?君たちの名前が本当ならば君があの魏の曹孟徳だよね?」

曹操「!?」

一刀「(それにしても本物かなぁ?本物だったらこれが京の言ってたパラレルワールドってやつかなぁ?・・・京と友樹・・・あの二人だったらこの状況どうするんだろ?)」

一刀は親友二人を思い出し少し落ち込んだ。

曹操「・・・どういうこと?」

一刀「・・・えっ?」

曹操の態度が先程に比べて一変したのでびっくりした。

曹操「・・・どうしてあなたが、魏という名前を知っているの?」

一刀「どうしてって。曹操と言えば魏だよね?」

夏候惇「貴様、先程から華琳さまの名を呼び捨てにするでない!しかも魏だの何だの、意味不明なことばかり言いおって!」

曹操「春蘭。少し黙っていなさい!」

夏候惇「う・・・は、はい」

曹操に注意され夏候惇は少し落ち込んだ。

曹操「・・・信じられないわ」

夏候淵「・・・華琳さま?」

曹操「魏というのはね。私が考えていた国の名前の、候補の一つなのよ」

夏候淵「・・・は?」

夏候惇「どういう意味ですか?」

曹操「まだ春蘭にも秋蘭にも言ってないわ。近いうちには言うつもりだったのだけれど・・・」

今の話を聞いて一刀は

一刀「(やっぱり。ここは三国志の世界なのかなぁ。・・・二人がいればなぁ)」

と思い、また二人を思い出し少し落ち込んだ。

曹操「それを、どうして会ったばかりのあなたが知っているの!それに私の操という名を知っていた理由も!説明なさい!」

夏候淵「まさかこやつ、五胡の妖術使いでは・・・!」

夏候惇「華琳さま!お下がりください!魏の王となるべきお方が、妖術使いなどという怪しげな輩に近付いてはなりませぬ!」

一刀「(・・・魏って使ったよね?今)」

一刀は自分の危機を感じつつ心の中で突っ込みを入れた。

一刀「そんなんじゃないよ!今の会話で、いくつか分かったことがあるから!ちゃんと話すから!」

そして一刀は説明を始める。

そして

夏候惇「・・・で、結局それは、どういう事なのだ?」

一刀「えっと、俺はこの世界で言う、未来から来た人間らしいって事」

曹操「・・・秋蘭、理解できた?」

秋蘭「・・・ある程度は。しかし、にわかには信じがたい話ですな」

一刀「俺だって全部信じているわけじゃないよ。けどそう考えないと・・・」

夏候淵「・・・ふむ」

夏候惇「・・・ふむ」

二人が頷くのを見た一刀は

一刀「・・・夏候淵はまだしも、夏候惇は分かってないって顔だね」

と夏候惇に言った。

夏候惇「・・・文句あるか」

一刀「いや、無いけど。・・・そうだ例えば夏候惇」

ある事を思いつき夏候惇に話しかける。

夏候惇「おう」

一刀「夏候惇が、どこかワケの分からない場所に連れて行かれて、項羽や劉邦に会ったようなものかな」

夏候惇「・・・はぁ?項羽と劉邦と言えばはるか昔の人物だぞ!そんな昔の英傑に今のわたしが会えるものか。何を馬鹿な例えを」

一刀「その馬鹿げている状態が、今の俺なんだけど」

と一刀は夏候惇の話している途中で割って答える。

夏候惇「・・・な、なんと」

夏候淵「確かに、それならば・・・北郷が華琳さまの考えていた魏という国の名を知っていたことも、説明が付くだろうな」

夏候惇「だが、貴様はどうやってそんな技を成し遂げたのだ。それこそ、五胡の妖術ではないか」

一刀「いや、さっきも言ったけど部屋の前で光ったと思ったらここにいたんだけど」

曹操「・・・南華老仙の言葉に、こんな話があるわ」

曹操は何か思い出したのか話しかける。

一刀「なんかろうせん?」

曹操「南華老仙・・・荘周が夢を見て蝶となり、蝶として大いに楽しんだあと、目が覚める。ただそれが果たして荘周が夢で蝶になっていたのか、蝶が夢を見て荘周になっていたのかは、誰にも証明できないの」

一刀「・・・あっ、胡蝶の夢だっけ?」

自信がないのか不安になりながら答える

曹操「あらっ、良く知っていたわね」

一刀「この前テスト勉強したときに覚えたしね」

曹操「・・・てすと?」

一刀「試験の事だよ。学校の」

曹操「・・・がっこう?」

一刀「ええっと。みんなで集まって、いろんな勉強をするところ・・・かな」

曹操が聞き慣れない言葉の意味を催促すると、一刀は答える

曹操「私塾のこと?」

一刀「そんなものだと思う。・・・日本はそれを個人じゃなくて国が運営して、国民全員に義務として勉強させてるんだ」

曹操「なるほど。最低限の学力を平均的に身に付けさせるためには、悪くない方法ね。・・・それで胡蝶の夢も知っているわけね。大した教養だわ」

曹操は一刀の説明を聞き感心をした。

夏候惇「な、ならば華琳さまは、我々はこやつの見ている夢の登場人物だと仰るのですか!」

曹操「そうは言ってないわ。けれど私たちの世界に、一刀が迷い込んだのは事実、と考えることも出来るということよ」

夏候惇「は、はぁ」

曹操「一刀が夢を介してこの世界に迷い込んだのか、こちらにいた一刀が夢の中で未来の話を学んできたのかは分からない。もちろん、私たちにもね」

夏候惇「・・・要するに、どういうことです?」

夏候淵「華琳さまにも分からないが、少なくともここに北郷がいる、という事だけは事実だ、という事だ」

夏候惇「・・・うむぅ?」

今の説明でも夏候惇には分からなかったようだ。

夏候淵「それで分からないなら、諦めろ。華琳さまにもお分かりにならない事を姉者が理解しようとしても、知恵熱が出るだけだぞ」

夏候惇「むむむ」

曹操「春蘭。色々難しいことを言ったけれど、この北郷一刀は、天の国から来た使いなのだそうよ」

一刀「・・・えっ?」

いきなり何を言われたのか分からなかった一刀は言葉がでなかった。

夏候惇「なんと。こんな風采の上がらないヤツが、あの天の御遣いなのですか?」

一刀「・・・いきなり何?」

夏候惇の反応が分からないため一刀は曹操に説明を求めた。

曹操「五胡の妖術使いや、未来から来たなんていう突拍子もない話をするよりは、そう説明した方が分かりやすくて済むのよ。あなたもこれからは自分のことを説明するときは、天の国から来たと、そう説明なさい」

一刀「・・・どっちも似たようなものじゃないの?」

そう思い一刀は曹操に訪ねた。

曹操「あら。妖術使いと呼ばれて、兵に槍で突き殺される方がマシ?」

曹操に問われ

一刀「・・・天の御遣いでいいです」

一刀はそう答えた。

夏候淵「さて。大きな疑問が解決したところで、もっと現実的な話をして良いか?北郷」

一刀「ええっと。南華老仙の古書を盗んだ賊の話だっけ?」

曹操「そうよ。あなた、そいつらの顔を見たのね」

一刀「俺が会った三人で確かならね」

曹操「顔を見れば、見分けが付くかしら?」

一刀「特徴的な三人組だったからね。多分、顔や格好を見れば、すぐ分かるだろうと思う」

曹操「そう。なら私たちの捜査に協力なさい」

一刀「・・・分かった」

夏候惇「ええっ!?随分と素直だな」

夏候惇は一刀の答えにびっくりした。

一刀「行くあてもないし、今の俺に出来ることなんて、曹操の捜査に協力するくらいだろうから」

曹操「・・・そうでもないわ。あなたが言う未来の知識、上手く使えば私の覇業の大きな助けになるでしょう」

一刀「・・・それはそうだけど」

曹操「それにあなたの突拍子もない話を信じる人間も、そうはいないはずよ」

一刀「・・・分かったと言いたいけど俺でいいのかなぁ?・・・友樹や京だったらまだしも」

少し考え答えた。

曹操「友樹?京?・・・誰かしら?」

一刀「友達だよ。向こうでの」

曹操「その二人はこちらに来てないのかしら?」

一刀「・・・分からない。あの場所で目覚めたときにはいなかった。・・・二人があの光を浴びたのならこっちに来てると思うけど」

曹操「なら。二人を見つけたらこちらで保護しましょう」

一刀「えっ?いいの?」

曹操「構わないわ」

一刀「ありがと。・・・けど」

曹操「けど?」

一刀「二人にはこの世界に来てほしくないかもと思って」

曹操「あら。どうして?あなたは来てほしくないの?」

一刀「いや。どうだろう。二人がいれば安心できるし、多分この世界でも何とかやっていけると思う。けど、友達だからこそ危険な目に遭わせたくないとも思う」

曹操「なら、なおのことあなたが天の御遣いとして名を挙げなさい。二人がこちらの世界に来ているのであればあなたに会いに来るはずよ」

一刀「・・・そうだね。・・・分かった。君たちに協力する」

一刀は少し考え答えを出した。

曹操「なら、部屋を準備させましょう。好きに使うといいわ」

一刀「ありがとう。本当に助かるよ」

曹操「ふふ。そうだわ。そういえば、一刀の真名を聞いてなかったわね。教えてくれるかしら?」

一刀「えっ?俺のこと真名で呼んでくれるの?」

曹操「あなたの態度次第だけどね。呼ぶかどうかは、また決めるわ」

一刀「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、俺、真名なんて無いんだよね」

夏候淵「ん?どういうことだ」

一刀「えっと、俺が居た世界じゃ真名なんて無いんだ。・・・強いて言えば、一刀ってのが、俺の真名になるかな?」

曹操「・・・っ!」

夏候惇「な、なんと」

夏候淵「むぅ」

三人は一刀の言葉を聞いてびっくりした。

一刀「えっと。ど、どうしたの?三人とも」

夏候淵「いや。少々、予想外だったものでな」

夏候惇「ならば貴様は初対面の我々に、いきなり真名を呼ばせることを許していたと・・・そういう事か?」

一刀「ん~、そっちに合わせるとそうなるかな?」

夏候淵「むむむ・・・」

夏候惇「そうなのか」

曹操「そう。なら、こちらもあなたに真名を預けないと不公平でしょうね」

一刀「えっ?」

曹操の言葉に一刀はびっくりした。

曹操「一刀。私のことは華琳と呼んで良いわ」

一刀「い、いいの?」

曹操「私が良いと言っているのだから、構わないわ。あなた達も良いわね?」

一刀「・・・夏候惇に首を刎ね飛ばされたりしない?」

夏候惇「ちょっと待てぃ!どうしてそこでわたしを引き合いに出す!」

夏候惇は一刀の言葉を聞いて激怒する。

一刀「いや、だってさっきそう言ってたし。・・・もし俺が曹操の事を真名で呼んだら、夏候惇はどうする?」

夏候惇「それはもちろん首を刎ね・・・い、いや、まぁ、蹴りくらいで勘弁してやる」

一刀「・・・名前呼ぶたびに蹴られるの?」

曹操「春蘭。そういう脅しは慎みなさい」

夏候惇「で、ですが、華琳さま!こんなどこの馬の骨とも知れぬヤツに、神聖なる華琳さまの真名をお許しになるなど」

曹操「なら、どうするの?春蘭は一刀の名を呼びたいとき、ずっと貴様で通すつもり?」

夏候惇「アレとか犬とかお前でいいでしょうに!」

一刀「・・・それは何でも酷すぎ」

一刀はそれを聞き少し落ち込んだ。

曹操「秋蘭はどう?」

夏候淵「ふむ。承知いたしましたとお応えしましょう」

夏候惇「秋蘭!お前まで!」

夏候淵「私は華琳さまの決めたことなら従うまでだ。姉者は違うのか?」

夏候惇「ぐっ。い、いや、私だって、だな!・・・そうだ、こいつの名前が本当に真名かどうかなど、分からぬだろう」

曹操「そんなつまらない嘘をついているなら、即刻首を刎ねるまでよ」

一刀「・・・首刎ねるの好きだね、君たち」

曹操「あなたが真名の意味をどう捉えているのかは知らないけど、私たちにとって、真名というものはそれだけ重いという事よ」

一刀「・・・」

一刀は曹操の話を真剣に聞く。

曹操「だから、もしその存在を偽っているというなら・・・ふむ。今謝るなら、百叩きで許してあげましょう。どうする?」

一刀「どうもなにも、俺が親からもらった名前は一刀、これひとつだよ。それに関しては首を賭けてもいい」

と曹操の眼を見ながら答えた。

曹操「結構。なら、これから私の事は華琳と呼びなさい。良いわね、春蘭も」

夏候惇「は、はぁ」

一刀「それじゃ、よろしくね華琳」

 

こうして一刀は華琳たちと共に歩むこととなった。


 
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