No.126103

三人の御遣い 二話

酷い文ですが読んでくれる人がいてくれると幸いです。

基本ゲームと同じシナリオです。

2010-02-22 20:56:56 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:934   閲覧ユーザー数:802

/友樹

 

友樹「・・・くっ」

目を覚ますと夜なのか周りが暗かった。

友樹「・・・ここは?」

体を起こし周りを見渡しはじめる。

友樹「(ここは外か?・・・なぜ外にいる?)」

???「そこの孺子」

友樹「(・・・あの後どうなった?)」

???「そこの孺子!」

自分のことだと気付き振り返りながら答える。

友樹「・・・俺のことか?」

振り向くとそこには二人の女性が立っていた。一人は友樹と歳が同じくらいの、もう一人は少し年上の女性が。

???「ああ、そうじゃ」

友樹の問いに年上の女性が答える。

友樹「何か用か?」

???「お主はここで何をしておった?」

友樹「特に何も」

女性の問いに答えながら、状況を把握しようと周りを確認する。

???「何もじゃと?何もしていないのにこんなとこに居ったのか?」

友樹「それをあんたに答える必要があるのか?」

???「なんじゃと!」

友樹がそう答えると、女の人はすごい剣幕で近寄ってきた。

???「やめなさい祭」

そのとき、友樹と同じくらいの女の子が年上の女性を止めた。

祭?「策殿」

祭と呼ばれた女性は彼女の方を振り向く。

策?「とりあえずここでは話のもなんだし、私の館に行きましょう」

祭?「策殿!?こ奴が盗賊や妖だった場合どうするつもりじゃ!?」

策と呼ばれた女の子の提案に納得いかないのか、反論する。

策?「そのときは私が殺してあげる。それに彼は天の御遣いかもしれない。それなら保護すればいい。・・・一石二鳥でしょ」

祭?「天の御遣い?あの占いの?こんな孺子が!?」

策?「たぶんね。私の勘がそう告げているの」

祭?「う~む」

友樹「話の途中で悪いが、いいか?」

勝手に話を進まれているのに納得がいかないのか、友樹は二人の会話に割り込む。

策?「何かしら?」

友樹「誰があんた達に付いて行くと言った?」

策?「あら?付いてこないの?」

付いてくることが当たり前のような感じで答えられ、友樹は少し苛ついた。

友樹「付いて行く理由がない」

策?「確かにそうだけど。・・・いいの?」

友樹「・・・何がだ?」

彼女の疑問が分からないため、友樹は訊いた。

策?「だってあなた強そうに見えないし、それに」

友樹「それに?」

彼女は友樹の頭から足まで見ながら答えた。

策?「ここにあなた一人になったらすぐ殺されるわよ」

友樹「・・・殺される?」

策?「ええ」

聞きなれない言葉を友樹が呟くと、彼女はそれを肯定した。

友樹「やはりここは日本じゃないのか?」

祭?「にほん?そんな邑、聞いたことがないぞ?」

策?「聞いたことないわね」

またも聞きなれない言葉に友樹は反応した。

友樹「邑?また古い言葉だな」

策?「古い?そんなに古いかしら」

友樹「古くなかったか?」

策?「分かんない」

本当に分からないように答える。それを聞いて友樹は少し考える。

友樹「・・・確かにな。今でも使っている所があっただけだし、それに古いと感じたのは俺の偏見だな」

策?「ふ~ん」

友樹「・・・どうした?」

策?「面白いわね。あなた」

友樹「そうか?」

何が面白いのか友樹は分からなかった。

友樹「・・・ところで一つ質問いいか?」

友樹は分からないことは沢山あったが、とりあえず一つだけ聞いた。

祭?「なんじゃ?」

友樹「ここはどこだ?」

策?「ここは荊州南陽よ」

友樹の問いに策と呼ばれた娘が答えた。

友樹「荊州南陽?」

祭?「そうじゃ。もしかして知らんのか?」

友樹「知らなくはないな。・・・ただ」

策?「ただ?」

友樹「俺が知っている所と同じ場所かと思っただけだ」

策?「ふ~ん。まぁいいわ。ここで話すのもなんだし、とりあえず行きましょう」

祭?「それもそうじゃな」

友樹「・・・どこにだ?」

何となくわかってはいたが一応質問をした。

祭?「策殿の館じゃ」

友樹「・・・訊問か?」

祭?「そうじゃ」

策?「それとも残りたい?」

友樹「・・・いや、行こう。(こっちも聞きたいことはたくさんあるしな)」

友樹はいまだ把握できないこの状況を整理したいため、とりあえず彼女たちに付いて行くことにした。

館前まできて眼鏡をかけた女の子が待っていた。

???「お帰り、雪蓮」

策?「あら。お出迎え?」

???「ええ。帰りが遅かったからね。・・・ところでそこにいるのは?」

そういって友樹の方を見る。

策?「管輅の占い、知ってる?」

???「・・・確か、流星と共に天の御遣いがどうのとか」

策?「そ。それ。・・・この子がそうかも」

???「はぁ?・・・雪蓮。熱でもあるの?あなたが妖説を信じるなんて」

友樹「ちょっといいか」

二人のやり取りの最中に割って話しかける。

友樹「さっきも聞いたが天の御遣いとはなんだ?」

友樹の質問に祭という女性が答える。

祭?「天より飛来する一筋の流星。その流星は天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す。・・・管輅という占い師の占いじゃ」

それを聞いた友樹は

友樹「・・・なんだ。その胡散臭い占いは」

と答えた。

策?「やっぱり、面白いわねあなた」

それを聞いた策という女の子は笑った。

???「なんで連れて帰ってきたの?」

眼鏡かけた女の子はもっともな疑問を策という女の子に投げかけた。

策?「本物の天の御遣いなら、孫家で保護する。妖の者なら私の手で殺す。・・・どっちに転んでも得でしょ?」

???「ふむ。名を得るには最適か。・・・分かった。扱いはどうする」

策?「本物なら、孫呉に天の血を入れるわ」

???「それはどういう・・・なるほど」

祭?「・・・それはそうと孺子。お主の名は?」

二人の話の最中に祭という女性がいきなり友樹に話しかけた。

友樹「・・・こんな場所で訊問か?」

もっともな疑問に策という女の子は答える。

策?「それもそうね。空いてある部屋があるからそこに行きましょ」

こうして館の中に入った。

部屋の中に入り、さっそく訊問が始まった。

策?「それであなたの名前は?」

友樹「神崎 友樹(かんざき ともき)だ。あんたたちは?」

策?「私は孫策。字は伯符」

祭?「儂は黄蓋。字は公覆じゃ。以後見知りおけ」

???「私は周瑜だ」

友樹「・・・は?」

彼女たちの名前を聞いた友樹は一瞬声がでなかった。

孫策「ん?どうかした?」

友樹「いや。本当にその名前なのか?」

孫策「そうよ」

友樹「それじゃ、あんたの字は公謹か?」

友樹がそう聞くと

孫策「!?」

黄蓋「!?」

周瑜「!?」

友樹「なっ!?」

三人から殺気みたいのを感じた友樹は後ずさった。

孫策「・・・なんで知ってるの?」

友樹「・・・それを説明する前にいくつか聞いていいか?」

なんとか耐えて、訊きたいことを訊こうとする。

孫策「・・・ええ」

友樹「あんた達は本当に孫策、周瑜、黄蓋なんだな?」

孫策「さっきも言ったけど本当にその名前よ」

それを聞き少し考えて、さらに質問をする。

友樹「・・・そうか。ならあんたがいるってことは、まだ袁術に飼われているのか?それとも独立した後か?」

孫策「!?」

友樹「っ!」

友樹の質問に孫策は刀を抜き、友樹の首筋にあてた。

友樹「その反応は・・・まだか」

孫策「・・・あなた何者?」

友樹「・・・それを言う前にもう一ついいか?」

それにも何とか耐え、もっとも訊きたいことを訊く。

孫策「・・・ええ」

友樹「俺のほかに誰かいなかったか?俺と同じ服装をしている奴が」

孫策「・・・いえ。いなかったわ。あなた一人よ」

友樹「何!?」

それを聞いて友樹は驚愕する。

友樹「(いなかった!?だったら二人はどこに行った?)」

孫策「考え事してるとこ悪いけど、そっちの質問に答えたわ。今度はこっちの質問に答えて」

友樹が考え込もうとしているのを見抜いたのか、孫策が刀をしまいながら話しかける。

友樹「・・・あぁ」

黄蓋「それでお主は何者なのじゃ?」

友樹「ただの一般人さ」

そう答えると

周瑜「ただの一般人がさっきの話をすると思うか?」

周瑜が鋭い目つきで訊いてきた。

友樹「・・・しないな」

周瑜「だったらちゃんと答えろ」

友樹はそう言われて本当の事を言うことにした。

友樹「自分でも信じられないが多分俺は未来から来た。あんた達の名前が本当ならな」

孫策「そう言えばさっきから確認してるわね。私たちの名前」

友樹「あぁ。それはするだろ。俺の知っている孫策、周瑜、黄蓋は男だからな」

孫策「男?わたしたちが?」

友樹「あぁ、俺達がいた所ではあんた達は男だと認識されている。・・・隠蔽されてなければな」

周瑜「未来から来たとは?」

周瑜が一番疑問なことを聞いてきた。

友樹「俺が知っている時代と同じなら、この時代から2000年以上先から来た事になる」

周瑜「それを証明できるものは?」

そう聞かれて少し考え始める。

友樹「(これから先の事を話してもいいんだが、それでは歴史が変わる可能性があるからな)」

そう思い

友樹「・・・」

自分のポケットをあさり始める。

友樹「(今持っているものは・・・携帯だけか。これだけで何とかできるか?)」

携帯で証明にはならないことはわかってはいるが

友樹「・・・仕方ない。これでいくか」

他に何も持っていないためそれに決めた。

孫策「何それ?」

孫策が携帯を指でさし訊いてきた。

友樹「これは携帯といって、遠く離れたやつと会話するものなんだが・・・」

孫策「へぇ~。ちょっとやってみせて」

説明の途中で孫策が催促し始めた。

友樹「最後まで話を聞け。これだけでは無理だ。同じものが最低でもあと一つ必要だ。それにこの時代まだ電波は使われていないから無理だな」

周瑜「でんぱ?なんだそれは」

周瑜は聞きなれない言葉の説明を求めた。

友樹「空間を流れる電気エネルギーなんだが・・・、説明するの面倒だな。」

友樹は説明をするのが面倒になり、やめた。

友樹「とにかく電波がないから使えないな。・・・その代わり写真を撮ることはできるな」

孫策「しゃしんって?」

今度は孫策が聞きなれない言葉の説明を求めた。

友樹「あぁ。・・・そういえばあれがあったな。・・・あった」

そういって友樹は生徒手帳を取り出した。

孫策「なに?」

友樹「これが写真だ。ここに俺が写っているだろ」

そして自分の写真を三人にみせた。

孫策「・・・あ、ホントだ。そっくり」

周瑜「絵ではないのか?」

友樹「絵ではないな。・・・実際やってみるか。そのほうが早いだろう」

またも説明をするのが面倒だったため、実行しようとした。

孫策「うん!やってやって!」

周瑜「雪蓮!迂闊に話にのるな!」

孫策は友樹の話にのるが、周瑜は反対だった。

友樹「俺はどっちでもいいが、どうする?」

孫策「やるやる。・・・ちょっと黙ってて冥琳」

周瑜「黙ってはいられんなお前にもしものことがあったらどうする?」

黄蓋「儂も公謹の言葉に賛成じゃ」

孫策「むぅ・・・」

二人が反対するので少し納得がいかない感じだった。

黄蓋「そう拗ねなさんな。まず儂が毒見役をしよう。それで何もなければ策殿もやってみればよい」

孫策「・・・分かった。まずは祭がやってもらいなさい」

それで納得したのか、しぶしぶと答える。

黄蓋「うむ。・・・では神崎。儂をしたいようにせい」

友樹「・・・分かった。先に言っとくが写真を撮ったからといって、体に変化など起きないぞ」

黄蓋「それを決めるのはお主ではない」

友樹「・・・だな。・・・万が一何か起これば俺を殺せばいい」

孫策「いいの?」

友樹の提案に孫策は少しびっくりしたように訊く。

友樹「あぁ。何も起こらない自信があるからな」

それを言った後、携帯を黄蓋の方に向ける。

ピピッ

三人「・・・っ!?」

友樹「撮れたぞ」

黄蓋「なんじゃ、今の音は?」

孫策「変な音・・・」

周瑜「聞いたこともない音だな。それは楽器の一種か?」

三人は携帯から流れた音を聞いて少し驚いた。

友樹「それはまたあとでだな。写真の方がさきだろ。これだ」

そう言い、友樹はさっき撮った写真を三人にみせる。

孫策「わー、祭がいる!」

黄蓋「儂はこんな顔をしてるのか・・・」

周瑜「すごいわね」

写真を見て三人は驚いたような、感心したような反応をみせた。

友樹「ちなみに妖の術とかではないぞ」

友樹は昔の人間にありがちな考えを先に否定した。

孫策「違うの?」

友樹「ああ。これは科学だな」

周瑜「かがく?道術や仙術のようなものか?」

友樹「いや違うな。学問に近いな。ちなみに科学は色々あるぞ」

そう言って友樹はこの時代にないものを色々と話しはじめた。

周瑜「ふむ・・・話は分かった」

友樹「それで・・・どう判断する?」

そう聞くと、周瑜は少し考えて答えた。

周瑜「本当に天の御遣いかどうかは分からないが、少なくとも我らの知らぬ国からやってきたというのは分かる。それに人柄は悪くない。・・・何よりまっすぐでいい目をしている」

友樹「・・・それはどうも。(だとしたらあいつらのおかげだな)」

思わぬ言葉が返って来たので友樹は二人の親友の顔を思い出す。

孫策「なら決まりかな?」

周瑜「天の御遣いとして祭り上げる資格はあるだろう。・・・あとは雪蓮にまかせるわ」

孫策「了解♪」

友樹「そのことについてだが少しいいか?」

二人が話を進めようとしている最中に、友樹が割って入る。

孫策「ん、何?」

友樹「俺は友達を探したい。多分俺と同じ状況のはずだ。だから今、天の御遣いになるのは勘弁してもらいたい」

友樹は二人の話で自分が天の御遣いにさせられると判断した。

孫策「・・・それで?」

友樹の提案に孫策は目を細めて話の続きを催促する。

友樹「けど、この時代に行く宛も、生きていく術もない。だから必然的にあんた達に付いて行くしかない」

三人「・・・」

友樹の話を黙って聞く三人。

友樹「天の御遣いになるのを嫌がっているわけではない。これから世話になる以上ただで置いてもらうわけにはいかない。だから・・・」

孫策「・・・だから?」

孫策は刀に手をかけながら、催促する。

友樹「友達の安全を確認できてからにしてもらいたい」

それを聞き孫策は

孫策「そういえば、さっきも聞いてたわね。他に天の御遣いがいるの?」

刀から手を放し質問をした。

友樹「分からない。・・・多分来ているはずだ。・・・来てないならそれでいい」

そう答え少し俯く。

孫策「その友達は一人なの?」

友樹「いや、二人のはずだ」

周瑜「・・・二人か」

それを聞き周瑜は考え込む。

孫策「それじゃ、その友達の安全が確認取れれば、天の御遣いとして名をあげるのね」

友樹「ああ。俺が今名をあげると、あいつらまでまきこむ可能性があるからな」

孫策「・・・」

孫策は友樹の眼を見つめながら考え込む。

友樹「・・・それに今名をあげると袁術にとられる可能性もあるしな」

孫策「・・・む」

それを聞くと少しムカついた感じになった。

友樹「どうだ?」

孫策「・・・どう思う冥琳?」

周瑜「確かにこやつの言うとおり袁術にとられるかもな」

孫策「やっぱり?・・・それじゃどうしようか?」

どうしようか考えていると

友樹「知恵なら貸してやれる」

京が答えた。

孫策「知恵・・・ね」

友樹「ああ、俺の知っていることを教える。・・・けど未来が大きく変わりそうなことは無理だぞ。・・・といっても俺がいる時点で変わっているか」

周瑜「未来が変わる?」

どういう意味なのかと周瑜が説明を求める。

友樹「そうだ。さっきも言ったが俺は未来から来た。この先どうなるのか、大体分かる」

孫策「それじゃ、それ以外は教えてくれるの?」

友樹「ああ。未来が大きく変わればどうなるか想像がつかないからな。・・・これは京の方が詳しいな」

孫策「京って?」

友樹は少し遠くを見るような感じで京について少し話しはじめる。

友樹「・・・友達の一人さ。あいつはいろんな可能性を考えて生活していたからな」

周愉「可能性?」

友樹「ああ。たとえばあれが起きた場合、あの対策。これが起きた場合は、この対策と。色んな事に対処できるようにしていた。俺は問題が起きてから対処するタイ・・・性格だったからな」

孫策「ふ~ん。・・・なら大体決まったわね」

孫策は友樹の顔を見ながら答えた。

友樹「自分で提案して何だが・・・いいのか?」

まさかこの提案が通るとは思わず訊き直した。

孫策「ええ。けどいくつか条件があるわ」

友樹「・・・それもそうだな。こっちだけってことはないしな。・・・条件ってのは?」

自分だけが条件を出すわけも行かないので、相手の条件を聞くことにした。

孫策「さっきも話した通り、まずあなたの知恵を呉に役立てること」

友樹「ああ。それは構わない」

即答した。

孫策「それともう一つは私に仕えている武将たちと、あなたから率先して交流を持つこと」

友樹「は?」

その必要があるのかと思っていると

孫策「簡単に言えば口説いてまぐわれってことね」

と答える。

友樹「・・・は?」

どういった意味なのか考え始めたが、すぐに結論がでた。

友樹「・・・ああ。なるほどそういうことか」

周瑜「ほお。今ので分かったのか」

友樹「分かりたくなかったけどな。けどそれでいいのか?」

周瑜「良いとは言えんが、一理あるしな」

友樹「・・・なるほど。俺が天の御遣いになれば、神秘と血統の二つが入るしな」

周瑜「そういうことだ。呉に天の御遣いの血が入ったという認識が広まれば、庶人の心の中に、呉の人間に対して畏怖の感情が起こる。その畏怖、畏敬の念は呉にとって大きな利益になり得るだろう。・・・今後の事を考えればあながち間違っているとは言えん」

周瑜と話をしていると

黄蓋「貴様も男なんだから、公認で女とヤレて嬉しいじゃろう?」

黄蓋はニヤニヤしながら言う。しかし友樹はまたも遠く見るような感じで答える。

友樹「・・・いやどうだろうな。それは多分俺より一刀の方がいいと思うけどな」

孫策「一刀?もう一人の友達?」

友樹「ああ。あいつは俺と違い人当たりがよく、人に好かれやすいからな」

孫策「ふ~ん」

友樹「・・・どうした?」

さっきからじろじろと見られてる感じがしたので訊いてみた。

孫策「あなた、友達の話をするとき、目が穏やかになるのね」

友樹「そうか?」

孫策「ええ」

友樹「・・・そうか」

孫策の言葉に少し俯き、二人を思い出しながら答える。

友樹「あいつらは俺の恩人だからな」

孫策「恩人?」

どんな話か催促するが

友樹「・・・今は話す気はない」

友樹は話す義理はないと思い、孫策の催促を断る。

孫策「・・・ふ~ん」

孫策は納得がいかないのか少し不機嫌になった。

黄蓋「それでどうするのじゃ?」

友樹「・・・そうだな。こっちの条件を受けてくれるための条件なら受けるしかないな。・・・気のりはしないが出来る範囲でなら」

孫策「じゃ決まり♪冥琳。通達よろしくね」

機嫌が直ったのか周瑜に指示を出す。

周瑜「はいはい」

これはいつものことなのか、めんどくさそうな感じで引き受けた。

孫策「それじゃ、改めて自己紹介。姓は孫、名は策、字は伯符、真名は雪蓮よ♪」

黄蓋「ほお。真名までお許しになるのか?」

友樹「まなって何だ?」

周瑜「真なる名と書いて真名と読む。私たちの誇り、生き様が詰まっている神聖な名前の事だ。自分が認めた相手、心を許した相手・・・そういった者だけが呼ぶことを許される大切な名前だ」

孫策「けど他者の真名を知っていても、その者が許さなければ呼んではいけないわよ。・・・殺されてもしらないからね」

友樹「・・・なるほど。責任重大だな」

それを聞き少し驚きながら答える。

孫策「そう思える?」

友樹「ああ。信頼されて真名を預かるんだ。それを裏切ることはできないからな」

周瑜「ふむ」

友樹「どうした?」

周瑜が考え込んでる感じだったので友樹は訊いてみた。

周瑜「いや、先程から思っていたが、貴様はよく考えが回るのだな」

友樹「・・・そうか?・・・ああ。さっきから呼びあってたのは真名か」

さっきから聞きなれない呼び名で呼びあったのを思い出した。

孫策「そうよ。それじゃ今後、私の事は雪蓮って呼んでね」

友樹「ああ。分かった。よろしくな雪蓮」

黄蓋「我が名は黄蓋。字は公覆。真名は祭じゃ」

友樹「よろしく祭・・・さん。・・・呼び捨てでいいか」

黄蓋「ああ、かまわん」

友樹「それじゃ、よろしく祭」

祭「応。よろしくしてやろう」

周瑜「姓は周、名は瑜。字は公謹。真名は冥琳。・・・神崎よ。貴様には期待させてもらおう」

友樹「ああ。俺で出来る範囲でな。よろしくな冥琳」

周瑜「ああ」

友樹「俺は神崎友樹。字と真名はない」

三人が自己紹介をしたので改めて友樹も自己紹介した。

雪蓮「へぇ~、字と真名がないんだ。珍しいわね」

友樹「俺達の世界ではこれが普通だ。・・・そうだな、こっちの世界に合わせるなら友樹が真名みたいなものだな」

雪蓮「・・・いきなり真名を許すの?」

雪蓮は少し驚いたように訊いてきた。

友樹「名のりはするが、誰しも最初っから名前で呼ぶわけではない。最初はやはり姓から呼ぶからな。親しくなってから名で呼びあうって感じだな」

そう説明していると

???「孫策様~。袁術さんが呼んでいるみたいですよ~」

少しのんびりした感じの女の娘が入ってきた。

雪蓮「袁術が?用件は何?」

???「さぁ~?また何か我儘でも言うんじゃないですかねぇ~?」

雪蓮「・・・全く。私はあいつの部下って訳じゃないのに。こき使ってくれるわね」

冥琳「時が来るまでの辛抱だ、雪蓮」

雪蓮「分かってるわよ。けど・・・むかつくなー」

そう言って雪蓮は部屋を出て行った。

友樹「分かっていたが、大変な時期に来たな」

???「そうですねぇ~、あはは♪」

友樹のつぶやきに先程入ってきた女の娘が答えた。

友樹「・・・誰だ?」

祭「隠。自己紹介せい」

隠?「はぁ~い。姓は陸、名は遜、字は伯言。ええと皆さんどこまで自己紹介したんですか?」

冥琳「皆、真名を伝えた。雪蓮が認めた人物よ」

陸遜「それなら、私の真名は隠と言います。隠とお呼びくださいね」

冥琳「ちなみに彼は天の御遣いだ」

隠「そうなんですか?よろしくお願いしますね御遣い様♪」

友樹「俺は神崎友樹。友樹でいい。・・・それから冥琳さっきの事は忘れてないよな?」

すんなり天の御遣いと紹介したのが納得いかなかったのか、冥琳に確認をとる。

冥琳「ああ」

隠「さっきの事?」

祭「ある時が来るまで神崎を天の御遣いだということを隠すと言うことじゃ」

隠「どうしてです~?」

友樹はこれまでのいきさつを隠に話しはじめた。

隠「わかりましたぁ~」

冥琳「それと、二人とも歳がそう変わらないようだし、神崎の世話は隠にまかせる。頼むぞ」

隠「はぁ~い」

こうして友樹の世話係が決まった。

祭「では、公謹よ。儂は部屋に戻るぞ」

冥琳「了解です。・・・神崎。これからの事は明日にでも話し合おう。今はゆっくりして居ればいい」

友樹「ああ。分かった」

冥琳「それでは行くぞ、隠」

隠「はぁ~い。じゃあ友樹さん、また明日会いましょう~♪」

そう言って三人はこの部屋から出て行った。

友樹「ふぅ。・・・これがパラレルワールドか。京の事は笑えないな」

苦笑いをし、近くにある椅子に座った。そして夜空を見上げて考え込む。

友樹「(あいつらは無事か?どこで何をしている?・・・そもそもなぜこうなった?)」

自分が苛ついているのに気付き、

友樹「・・・ふぅ」

落ち着こうと息を吐いた。

友樹「(・・・それにしても天の御遣いか。・・・あいつらも天の御遣いにされているんだろうか?京はいいとして、問題は一刀だな。本当に三国志の世界なら、あいつはこの世界には似合わない。何としてもあいつを見つけなければ)」

友樹は月を睨むようにしてみつめる。

友樹「(あいつらも俺を利用しようとしてるんだ、俺もあいつらを利用して一刀を保護し、京を見つけてこの状況の脱出方法を見つけないと)」

 

友樹は夜空を見上げ誓った。この戦乱を進む事を。そして・・・どんな手を使っても二人を見つけることを。

 


 
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