No.125513

『舞い踊る季節の中で』 第13話

うたまるさん

『真・恋姫無双』の二次創作のSSです。

明命√の作品となります。
雪蓮の仲介で、呉の将達との謁見
一刀を待ち受ける運命は・・・・

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2010-02-20 09:43:45 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:29277   閲覧ユーザー数:20644

真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』

  第13話 ~ 蓮の華は、舞う雪に翻弄される ~

 

 

(はじめに)

 

 キャラ崩壊やセリフ間違いや設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

        :●●●●

     得意:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(ただし本人は無自覚)

         気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)

 最近の悩み:・・・・・俺、精神が病んでいるのかも・・・

         見た目、小●生だけど、大切な恩人で義姉のような翡翠に、艶を感じてドキドキしたり、

         見た目、中●生だけど、大切な恩人で義妹のような明命のスキンシップにドギマキしたり、

         及川じゃあるまいし、俺、そんな趣味なかったはずだよな・・・・・たぶん

  (今後順序公開)

 

★オリキャラ紹介:

諸葛瑾:

  姓 :諸葛    名 :瑾    字 :子瑜    真名:翡翠

  武器:"双天" 対の双剣

  武力:52(平均的な将を60とした場合)

  智力:81

  政治:89

  家事:92

  魅力:想像にお任せします(w

  焦った時の口癖:『 あうあう 』又は 『 ぁぅぁぅ 』等の類語です

  性格:基本的に温厚で、外見に反して大人の女性

     だが、焦ると地が出てしまう。(朱里と違って、自分を律しています)

     警戒心が強い性格だが、一度心を許されると、親身になってくれる。

     妹がいるため、基本的には面倒見が良く、放っておくと、食事を取るのを忘れる明命を心配してよく食事

     を差し入れていた。

     やはり、妹がいるためなのか、時折人をからかって、その反応を楽しんだり、とんでもない悪戯を仕掛け

     る悪癖もある、だが性質の悪い事に普段が完璧なだけに、周りは怒るに怒れないでいる。

     家事全般は人並み以上に出来、そこらのお店以上と自負していたが、丹陽で知り合った男性の腕を見て

     自信を喪失。 以降こっそり腕を磨いているが、全然敵わないと嘆く毎日を送っている。

     武術は好きではないが、妹達を変態共から守るため、必要最低限身に付けたもの。

     姉妹揃っての発育の悪さをコンプレックスに思いつつも、それを武器にする強かさを持っている。

     自分を子供扱いしない男性が好みだが、言い寄ってくるのは変な趣味の持ち主ばかりで、17の時、現実

     の男(変態の多さ)に愛想が付いた時に『八百一』と出会う。 以降のめり込み、妹達を洗脳するも、

     基本的には周りには秘密にしている。 そのうち執筆も行うようになり、掲載されるようになる。

     数年たった現在では、定期的な愛読者もつき『八百一』の主要作家の一人となっている。

     黄巾の乱後、作品が益々洗練され、世に愛読者を急増させる要因となった。

一刀視点:

 

スッ

 

「お嬢様、本日のお茶は、白牡丹になります

 菓子は、クッキーとなります」

 

俺は、音を立てることなく、目の前のお嬢様達に、お茶と菓子を差し出していく。

いつもの執事服で、いつも様に振舞う。

だが、使う茶葉は、店で使う物と比べ物にならないくらい上質なものだ。

おまけに、場所も俺の店ではない。

 

(だぁぁ、孫策はいったいなに考えてるんだっ)

 

と、心の中でわめきながら、俺は執事に徹しながら、彼女達の横に佇む。

そう、ここは、孫策の城の庭の真ん中、

其処に巨大な机を置き、お茶会の真似事をしている。

まぁ、俺の淹れたお茶や菓子を、楽しんでくれているので、給仕をする事には、文句はあるが、悪い気はしない。

孫策の考えている事も、想像は付く。

 

(用は、俺を出汁に、事のついでに、相手の反応を楽しんでいるのだと)

 

翡翠も、どうやら孫策の意図は分かっているようで、

こちらに申し訳なさそうな顔をして、目で謝罪している。

・・・・まぁ、翡翠から、ある程度、孫策の性格は聞いてたから、本気で怒っているわけではないのだが。

ただ、この自由奔放な王に、少し呆れているだけだ。

 

 

 

 

孫策達と揉め事を起こしてから、

俺は、いつもどおり、執事喫茶を開いていた。

いや。いつもどおり、と言うのは正確ではない。

店は、いつもより早めに閉める事になった。

理由は、俺の勉強のためだ。

俺の扱いは、孫策と周瑜と翡翠が話し合って決めたらしいが、そのための下準備が終えるまで、そうそう城に呼び

出すわけには行かない、と言うことらしい。

もっとも呉の独立まで、俺の存在は袁術の目から、遠ざけておきたいと言うのが本音だろう。

俺の存在を公にすれば、袁術は警戒し、最悪寄越せと言いかねないのだろう。

 

とりあえず、俺はほぼ、いつもどおりの生活をする傍ら、翡翠から必要な知識を学んでいた。

いままでも、夜に勉強会を開いてくれていたが、あれは、翡翠の趣味に偏ったところも多い上、どちらかと言うと、

生きていくのに必要な知識や常識だ。

今、学んでいるのは、孫呉の臣達の中で生きる術や情報、軍略政略のための勉強となっている。

そんな中で、周瑜から、試験も兼ねて、天の知識が何処まで使えるか知りたいと言うので、簡単な政策案を書いて

提出した。

 

あの晩、深夜過ぎまで、翡翠と明命から、たっぷり絞られた俺だが、

(あの時の翡翠は、じっちゃんより迫力あったよなぁ・・・)

正直、あの二人に、進んで協力する気にはなれなかった。

明命達もその辺りは判ってくれた様で、ただ、

 

「一刀君、雪蓮様は確かに、困った所がある方ですが、それを補って余りある、王としての才覚があります。

 ですから雪蓮様の事は、偏見を捨てて、途惑われる事もあるでしょうが、時間をかけて見てください。

 一刀君なら、私達があの方に仕えている意味が、わかると思います」

 

そして

 

「私は、今の一刀君に、私達の仕事を手伝う事を強制はしませんし、正直手伝って欲しくありません。

 半端な覚悟で、此方の世界に足を踏み入れるべきではない、と思っているからです」

 

とも、ついさっきまでの、説教中の迫力等微塵も感じさせない、優しい表情で俺に願った。

(しかし、途惑われる事もって・・・・信じる主君に対しては、少し変な表現だよな・・・・?)

 

と言うわけで、提出した案は孫呉のためではなく、この街の住民のために書いたものだ

短いながらも、この街に住んでいて、気がついた事を数件上げて、提案や改善案を纏めたものだ。

あれに対してどう反応をするかは、孫策達の器や腹積もりしだいだろうと思っている。

そして提出した日、いつもどおり仕事を終えて店に顔を出した翡翠は、店を終えた後、苦笑を浮かべて

 

「一刀君、雪蓮様より、明日仕事を終えてから、城でお茶会を兼ねて、一刀君を重臣に紹介するから、そのつもりで

 用意して来るように、と言付を預かってきました」

「・・・・それって、この格好で、城に出向いて営業しろと言う事?」

「そう言う事です」

 

そう言って、翡翠は額に手を当てる。

どうやら孫策の事で頭が痛いらしい。

俺は、そんな翡翠に、せめて少しでも翡翠の頭痛を和らげようと、とびっきりのお茶を淹れる。

 

 

 

 

と、言うわけで、店をやや早めに切り上げて、出張営業の準備をして城に行くと、

門番の兵に、城の台所に案内される。

そこには、お店で何度か見かけた顔があり、俺の顔を見るなり、お店でない事もあって、玩具にされそうになった

所を、俺を呼びにやってきた翡翠に助けられた。

(あのー翡翠、なんで怒ってるんでしょうか・・・・心当たり無いんですが・・・)

とりあえず、用意された茶葉を確認して、茶会の準備をする。

もっとも、席はすでに用意されているので、本当に茶と持ってきた菓子を皿に盛り付けるだけだったりするけど・・

侍女に、お茶用の追加の湯の細かい指示だして、お願いをする。

聞いていた人数分を用意した物を、他の侍女に手伝ってもらいながら、翡翠の案内で庭に出ると

 

「は~~~い、一刀お久しぶり」

 

と、いつぞやのように、能天気に声を掛けてくる。

そんな孫策に、俺は思わず苦笑を浮かべる。

茶会の席には、孫策以外に周瑜と明命達がすでに席についており、俺を案内した翡翠も席に着く。

 

俺はと言うと、とりあえず孫策の依頼どおり、執事として振舞う事にした。

いつもどおり、仮初の主達、お嬢様達に、心の疲れを癒すため茶を淹れ、主を愁いを晴らす為努める。

でも、この場にいる人間って、俺以外、全員本物のお嬢様(あっ王もいるか)だから、あまり意味は無い気も・・・

いいや、執事と言う日常と違った雰囲気と、誠心誠意をもって接すれば、例え本物のお嬢様であっても、多少なり

とも心を癒す事は出来るはず。

それに、ここには明命と翡翠もいるんだ。

なら、いまの俺は執事、ほんの一時であろうと、心より主の疲れを癒すためだけの存在となるんだ。

そう自分を、今だけ、お嬢様のためのだけの執事に書き換えてる。

そうしていると、

 

「遅くなって、申~し訳ありませ~~ん」

「本当に、茶会をやっているとは・・・・姉様、お戯れが過ぎるのでは・・・」

 

なんだかα波を出していそうな、のほほーんとした口調の緑髪の女性と(・・・すげぇ)

やや呆れながらも、凛とした表情をした桃色髪の少女が姿を現す。

(・・・・どう見ても下着をつけているように、見えないんですが)

 

俺は、その二人にも茶と菓子を用意すると、少女の方が此方を不審げに

 

「ん? 見かけない顔だが」

「はい、本日の茶会の席でお嬢様方の疲れを癒すべく、給仕を任されました執事です。

 どうぞお見知りおきを」

 

社交麗辞的な言葉で、でもそこに籠められた想いは本物と、お嬢様の執事として、お嬢様方を心を少しでも癒える

様に、今出来る精一杯の笑顔で、二人を迎えた。

 

「「「「「「 //////// 」」」」」」

(あれ? なんか、変な反応が・・・なりきれてなかったかな?)

 

「ほわ~、素敵な笑顔の方ですね~

 でも執事さんとは、ずいぶん変わったお名前ですね~、あれ? でもどこかで聞いたことあるような」

「いえ、執事は名前ではなく、職業名のようなものとお考えください」

「・・・はっ、姉様、このような見知らぬ者に、我等の給仕をさせるなど、お戯れが過ぎますっ」

 

桃色の髪の少女が、孫策に突っかかるが、孫策は気にした様子もなく

(姉様と言う事は、この娘が孫権か孫尚香・・・いや、この席の趣旨を考えると、おそらく孫権だろう)

 

「そんな目くじら立てないの、この子の淹れるお茶は、それだけの価値があるのよ。

 それに、明命と翡翠が出資している店の子よ、問題はないわ」

(あのー、間違いではないけど、一応俺の店なんですが・・・)

「蓮華様、この者の身元は、私が保証しましょう。

 気をお静めください、それでは、雪蓮が用意させたせっかくの茶が、味を損ねてしまいます」

「冥琳がそこまで言うのなら、とりあえず信用する事にします」

「ぶ~~~~~っ、なんで私の言葉じゃなくて、冥琳の言葉なら信用するのよ」

(まぁ、当然だろうな)

 

孫権は、孫策の文句を無視し、茶を口に運ぶ。

緑髪の女性も、ならって茶を口に含むと、

二人とも、少し前の孫策達と同じように、少しの間、安らかな表情で惚けた後

 

「これは凄いですね~」

「えぇ、正直期待していなかったけど、こんな美味しいお茶は初めてだわ。

 よほど上質の茶葉を使ったのね。 姉様、何か吉報でもあったのですか?」

「吉報と言えば吉報よ。

 でも、茶葉は普段飲んでいるものと変わらないわ。

 単純に、淹れる者の技量の差ってだけよ。

 どう? わざわざ呼んだ甲斐があったでしょ」

 

そう、茶の味に驚く妹に楽しそうに聞く

(まったく、翡翠には聞いてたけど、結構悪戯好きだな、この王様は・・・・

 まぁ、この程度なら微笑ましいし、茶を喜んでもらえるのは、俺としても嬉しいから文句はないけど)

 

「ええ、確かにこれは、それだけの価値があります。

 執事とか言ったな、このような美味しい茶は初めてだ。 礼を言わせてもらう」

「ありがとうございます。

 この執事、お嬢様がお喜びになられた事が、何よりの喜びです」

「あまり調子にのるな」

「・・・はい、失礼いたしました」

「で、姉様、吉報とは一体何なのでしょうか?

 それに、思春が此処五日戻ってこないのも、関係しているのでしょうか?」

「そうよ、悪いわね借りっぱなしで、思春には、その事で動いてもらってるの、でもおかしいわね、そろそろ戻って

 来る頃なんだけ・・あっ、来た来た。

 思春お疲れさまー、貴女も座ってお茶を楽しんで頂戴」

 

姿を現した、昨日の女性に席を促す

(そう言えば、真名以外の名前聞かなかったな)

女性は、俺一度睨み付けると、席に着く。

俺が淹れたお茶を、なかなか口にしようとしないが、やがて孫策に促されて、警戒するように口にすると

 

「・・・・・・・・・・・・(ギロリ)」

(えぇぇぇっ、何故? この場合で、何でそんな睨まれなきゃいけないの?)

 

えーと、口に合わなかったのでしょうか、それとも何か失敗した?

ならせめてと、笑顔で失敗を誤魔化す・・・・・・・すみません、何故かよけいに、睨まれました。

とりあえず、これ以上彼女の怒りを買うのは回避しようと、文句を言いながら、俺の淹れたお茶を、気にいってく

れたのか、あっという間に茶を飲み干した孫権に、新たにお茶を注ぐ。

 

「それで、姉様吉報とはなんなんですか?」

「そうそう、それも関係あって、思春にはある噂を広めてもらう工作とかを、お願いしてたの」

 

孫策の言葉に、孫権は眉を顰める。

ここは、大事な話しのようなので、俺は黙って、後ろに下がる事にする。

周瑜や翡翠は、自分たちの王のする事に呆れるのをやめて、この状況を楽しむことにしたようだ。

二人とも、楽しげに孫権達を眺めている。

あっ、先程睨みつけた女性だけが、諦めたように溜息をついている。

残り三人は状況を傍観する事にしたようだ。

 

(やっぱ、この展開か・・・まぁ、此処まで来たら付き合うけど)

 

「思春に噂を・・・・・・っ!

 まさか、姉様ここ数日、急に噂されるようになった、天の御遣いが孫呉に降りた、と言うのは」

「そう、私の仕業よ」

「姉様は何を考えてらっしゃるのです。

 そのような噂、もし袁術の耳に入れば」

「噂は噂よ。

 確証がない限り、袁術は何も言えやしないわ。

 疑いはするでしょうけどね」

「なら、なおのことです。

 そのような虚言を広めてどうするつもりですっ」

「蓮華、少し落ち着きなさい。

 貴女は前に広まった、管輅の占い覚えている?」

「あのような妄言、私は信じませ・・・まさかっ」

「そう、そのまさか、私達は天の御遣いを味方を手に入れたわ」

「姉様は、あんな戯言を、お信じになられるつもりですかっ?

 例え、手に入れたという話が本当だとしても、妖しの類かもしれませんと言うのにっ!」

 

孫権の剣幕に、孫策は深い溜息を吐き

 

「やっぱり、明命の判断は、正解だったみたいね」

「それはどういう意味ですかっ?」

「天の御遣いを拾ってきたのは明命で、その時彼女は丹陽に居たと言えば判るでしょ」

「なっ、そのような話はっ、明命どういう事だっ」

「あ・あのそれは」

「やめなさい、蓮華っ。

 言ったでしょ、明命の判断は正解だって、

 貴女に報告していたら今頃、妖しの類として処分されてたでしょうね」

 

(俺、やばかったんだなぁ・・・明命ありがとう。やはり君は俺の命の恩人だ)

俺は、もう一度、明命が恩人である事を心に刻む

 

「くっ、しかし、その者が本当に天の御遣いとは限らないではありませんか」

「それは、大丈夫よ。

 私だけではなく、冥琳や翡翠も、本物と判断したのよ。

 貴女は、この二人まで疑うの?」

「・・・しかしっ」

「しかしは無しよ、いずれ来るべき時の為に、私達は天の御遣いの存在の噂を利用して、力を集めるわ」

「そうだとしても姉様、噂だけでは弱すぎます。

 それにその者が使えなければ、いずれ逆に弱みになりかねません」

「いいのよ、今は噂だけでも、その方が袁術の目も誤魔化しやすいし、

 そこに多少のなりとも信憑性が加われば、しばらくは袁術も民や豪族も誤魔化せるわ。

 それに、天の御遣いは使えるわ

 冥琳と翡翠が認めるだけの、天の知 と 智を持っているもの」

「だとしても、その者信用できるのですか? どこかの間諜やも知れないというのに」

 

孫権の言葉に、孫策は嬉しそうに笑みを浮かべ、少し間をおいてゆっくりと

 

「その心配はないと思うわ。

 だって、もし間諜とかだったら、今机についている全員が、毒で命を落としているわよ。

 こんな絶好の機会無いもの」

「えっ?」

「茶と茶菓子、美味しかったでしょ」

「・・・・・・なーーーーーーーーーーーっ!」

 

孫策の言葉の意味を理解するなり、孫権の驚愕の声が、城の庭に響き渡った。

 

 

 

 

 

孫策の言葉の意味を理解するなり、孫権の驚愕の声が、城の庭に響き渡った。

悪戯が決まった事が嬉しいのか、孫策は本当に楽しそうだ。

そろそろ、潮時だな

そう思っていると、孫策が此方を楽しそうに見る。

後始末をこっちに振る気か? まぁ、彼女の悪戯に乗っている俺も同罪だからいいけど

 

「お嬢様、執事役は此処まででございます」

「あら、残念」

「これ以上、孫策の趣味に付き合う気はないよ」

「なっ、貴様っ、姉様の名を呼び捨てとはっ」

「いいのよ、蓮華

 私が許しているのだから、改めて紹介するわね。

 彼が天の御遣いの、北郷一刀よ。

 一刀、紹介するまでも無いと思うけど、妹の孫権と陸遜よ。

 そう言えば、まだ紹介しなかったわね、あっちの二人は、黄蓋と甘寧よ。

 四人とも私同様、呼び捨てで構わないわ」

「なっ!」

「あっ、そういうことですか~」

 

陸遜と紹介された女性は、孫策の言わんとする事を理解できたようだ。

たしか、陸遜といえば、呉を代表する軍師の一人だったよな・・・さすがと言うべきか

一方、孫権は

 

「いったい、姉様は何をお考えになられているんですかっ!

 今回は、たまたま毒を用意できなかっただけ、かもしれないではないですかっ

 それに、このような胡散臭い者が天の御遣いでは、力を集める事など、出来るわけ無いではありませんか」

 

う・胡散臭いって、・・・まぁ、たしかに、孫権からしたら、そう見えても仕方ないよな・・・

 

「あら、なんで、そう思うの?」

「そんなの決まっています。

 確かに最初は噂を信じて、多少の力が集いましょう。

 ですが、このような戦場で、自分の身一つ守れそうも無い優男に、民や豪族達が、いつまでも騙されているとは

 思えません」

「べつに、智で秀でていれば、武に秀でている必要性は無いでしょう。

 でも、その弁で言うなら、一刀に多少なりとも、武があれば認めるって事よね」

「姉様、幾ら私でも、相手の技量を見抜くだけの目はあるつもりです。

 この者は、どう見ても将どころか、一般兵にすら劣っています」

「あっ、やっぱり蓮華にもそう映るんだ。 実を言うと私の目にもそう映るのよね~」

「はぁ~~、では姉様は、一体何が言いたいのですか?」

「べつに、ただ、こう見えても一刀は、この中で誰よりも強いわ。

 現に、私達四人がかりで、手も足も出なかったわ。

 翡翠が身を挺して止めてくれなかったら、今頃私は、土の下で眠っていたわね」

「なっ!」

 

チャキッ

 

「やめなさい蓮華っ!

 貴女が敵う相手ではないわっ」

 

孫策の言葉に、おそらく反射的にだろう、剣を抜こうとする孫権を、孫策が押し留める。

俺は、一度深く溜息を吐き

 

「孫策、考えは分かるが、少し趣味に走りすぎじゃないのか?」

「この娘には、まともに言ったって、どうせ納得しないわ。

 まともじゃない方法をやるなら、楽しまないともったいないじゃない」

 

まぁ、確かに、孫権は面白いぐらいに反応してくれたけど。

 

「姉様っ! 本当に何を考えられているのですかっ。

 話を聞く限り、この者は姉様の命を狙った者、そのような者に気を許し、味方に引き込むなどとっ!」

 

・・・こう、反応が素直だと、たしかに、からかいたくなる気持ちは、分かるけどね・・・

 

「別に、気にしてやしないわよ。

 一刀には、私を斬ろうとするだけの理由があったし。

 私も、それだけの事を一刀にした。

 今は敵対していないのだから、問題はないわ。

 それに正確には、一刀は、まだ私の味方ではなく、翡翠と明命二人の味方よ。

 そして一刀が、二人を裏切る事は無いわ」

「だからと言って」

「蓮華、貴女も王族なら、それぐらい器量をもてなくてどうするの。

 相手が此方を信用するから、信じるのではなく、

 此方が信用にたる行動をして、初めて相手の信を得る事ができるのよ。

 私の後継者なら、その辺りを自覚なさい」

「・・・・姉様」

「とにかく、一刀を疑うのはこれで終わり、後はそれぞれ行動で示しなさい」

 

どうやら、俺を利用した、妹への教育を含めた顔見せは、やっと終えたようだ。

やや悪趣味ではあったけどね。

翡翠が

 

 『 途惑われる事もあるでしょうが、時間をかけて見てください 』

 

と言っていたけど、この事か・・・

まぁ、翡翠も偶に似たような事やるから、気にはしないけど・・・

と言うか、翡翠のは孫策の影響を受けた、とかじゃないだろうな?

はっ、もしかして、明命も影響を受けるのではっ!?

翡翠はもう手遅れだが、明命はまだ間に合う、俺が孫策の悪影響から守らねばっ。

 

「一刀君、もしかして失礼な事考えてませんか?」

 

と、此方の考えている事が分かっているのか、翡翠が笑顔で聞いて来る(ただし目が笑っていない)

 

「い、いえ、なにも」

 

こ、怖えぇ、

 

まぁ、とにかく、孫策と孫権の性格は大体把握できた。

どちらもそれなりに、王たろうとしているのだろう・・・・

孫策の破天荒振りも、王としての重圧の裏返しと思えば納得いくし・・・たぶん地だろうけど

孫権の頭の堅さは、王族たろうとする意思の表れだろう・・・・・・空回りしているようだけど

二人を足して二で割ったら、ちょうどよくなるんじゃないのか?

と言うのが、正直な感想だ。

見限るほどではないが、信用出来るほどでもない。

まぁ、それは、孫権達からしても同じだろう。

もう少し、見てみる事にするかな。

今の俺に、選択肢など、どうせ無いんだ。

なら、孫策じゃないけど、楽しまなければ、やってられない。

それに、明命と翡翠の手伝いが出来るなら、そう悪い事ではない。

人殺しや権力争いの手伝いなんて、冗談ではないけど、

街の皆や、二人の力になるなら悪くは無い話しだ。

 

俺には、それくらいでしか、二人に恩を返せないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

あとがき みたいなもの

 

こんにちは、うたまるです。

  第13話 ~蓮の華は、舞う雪に翻弄される~ を、おおくりしました。

メインヒロインが全然出番が無かった・・・・・(汗

まぁ、あの展開では、臣下である彼女達に出番は無いよね

そのぶん、自由奔放我侭王こと雪蓮が、早速やってくれました。

この王様は、どこまでも皆を巻き込んで、引っ掻き回すのが好きですね。

今後も、きっと雪蓮は、一刀にあきれるれられながらも、一刀を引っ掻き回すのだろうなぁ。

一刀も、そこは一刀ですから・・・・・

ある意味、蓮華同様、いい玩具なんでしょうね。

さて、今回は孫権との出会い編でした。

次回は別の視点で、この出会い編を映しながら、時間軸を進めて行きたいと思います。

さて、彼女達の目には、この出会いはどのように映っていたのでしょうか。

一刀は、店を続けられるのでしょうか

お互いが信用していない中、どのような運命が待ち受けるのか

 

頑張って書きますので、どうか最後までお付き合いのください。


 
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