No.124142

真・恋姫†無双 金属の歯車 第二十一話

この作品について。
・真・恋姫†無双をベースにとある作品の設定を使用しています。クロスオーバーが苦手な方には本当におすすめできない。
・俺の◯GSを汚すんじゃねぇって方もリアルにお勧めできない。
・ちなみにその設定は知っていれば、にやりとできる程度のものです。
・この作品は随分と厨作品です

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2010-02-13 15:49:27 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2486   閲覧ユーザー数:2222

 天井が見えた。やたらと暗い天井。見慣れない天井。

ここで今初めて自分が寝ていることに気付く。そして何故ここに寝ているのかを思考する。

「あら・・・お気づきになりました?」

「・・・?」

 横には見慣れない女性が座っている。名前は確か・・・。

「黄忠殿・・・!」

 やっと頭が覚醒し始め、自分の身に起こっていることを完全に理解し、飛び起きる。

だがその瞬間、左肩に激痛が走りそこを抑える。

「傷は深くありませんが安静にしてください。かなりの血を失っています」

 そういって黄忠は一刀の頭と肩をとり、寝台に寝かせる。

「・・・黄忠殿は私が誰かご存じなのですか?」

「ええ、よく存じておりますよ、天の御遣い殿。貴方は怪我人、放ってはおけません」

「・・・そうですか」

 将として優秀と聞いていたが、人としてもかなり出来ている人らしい。

「それに貴方は娘の命の恩人です」

「あの状況であいつが璃々ちゃんを落としたら・・・確実に開戦だったでしょうな」

「・・・では劉備軍は出来れば戦いたくなかったと?」

「戦闘せずにここを通りたかったのに・・・とんだ誤算ですよ」

「そう言う割にはすぐに駆けつけてくれたと思いますが・・・」

 少しとげのある言葉を放ったつもりだったが、笑顔で返される。これが大人の余裕というやつか。

「それは・・・」

「理由はどうにせよ、貴方は娘を救ってくれました。それは変わりませんよ」

「・・・」

「ありがとうございました」

 妙にこそばゆい。完全にこちらは玩具であるらしい。

 

 

 第二十一話 勝者不在 ~Force of Will~

 

 

「アシッドは・・・あいつは?」

「はい、あなたが気を失った後屋根から転げ落ちたのですが死体はなく・・・」

「申し訳ない。私の詰めが甘かった」

 流血しすぎで倒れるとは、なかなか出来ない体験だっただろう。

それが理由で最大の敵を逃すのはかなりの失態といえる。

「まさか・・・あれだけの出血で生きていると?」

「あれは私の世界でもかなり異端な存在です。あの程度では死にはしないでしょう」

 部屋の中を見返すと自分の武器である刀と脇差、小刀は全て取り上げられているようだ。

自分の袴と羽織は畳まれているが、その上にはこの世界では異質の存在が置かれている。

「黄忠殿、服の上に置いてあるものは武器です。取り上げた方がよろしいでしょう」

「やはりそうですか。襲撃者もこれに似たようなもので命を奪いました」

「・・・私が憎いですか?」

「え?」

「私が劉備軍にいなければ・・・その命は失われなかった。私がこの世界に来なければ、そもそも戦い自体起こらなかったのかもしれない」

「既に起こってしまったことを悔いても仕方ありません。それに・・・貴方がここにいるのには理由がおありでしょう?」

「それは・・・」

「あまりそういった否定的な話は、嫌われますよ?」

 柔らかい笑みを向けられ、自分がまだまだ子供だということを自覚した。

気恥ずかしさに顔を壁のほうに向けたとき、戸が開けられた。

「おお、お気づきになりましたか」

 入ってきたのは・・・これまた年上の女性、そして・・・。

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 璃々ちゃんだった。

「まったく無茶なさるお方だ。一部始終見させてもらいましたが・・・」

「まだ子供だってことですよ。えっと・・・」

「おお、これは失礼。私は厳顔、こっちが・・・」

 厳顔はそういうと身体をずらし後ろにいる女性を紹介する。

アシッドの後頭部を棍棒ではり倒した女性だった。

「姓は魏、名は延、字は文長です」

「北郷一刀です」

 全員の自己紹介が終わった時、厳顔が少し困った顔で一刀に問いかける。

「男性で・・・よろしいですかな?」

「男です」

 そう言って自分の喉仏を指さした。

 

 * *

 

「ではお話願いますかな」

「・・・益州を攻める理由ですかな?」

「違いますわ」

 黄忠はあくまで笑顔で通していた。対して厳顔は険しい顔で一刀に尋ねた。

「あの化け物と戦っている時貴方は叫びましたな。この世界を焦土とする・・・と」

 思わずうっと唸ってしまう。相変わらずキレている時は自分の制御すら出来ないのを恥じた。

「それに貴方はあの化け物の事を知っている、そして彼らの目的も知っている・・・そうですね?」

「焦土とはどういうことですか?」

「やれやれ・・・」

 蛇は仲間に話したことを、再び話し始めた。

 

 

―――魏

―――許昌

 ケインは天井を見上げていた。

端には一糸まとわぬ姿の華琳が同じく天井を仰いでいた。

潼関で関中軍閥をなぎ払った。残るは呉と劉備軍だ。

劉備が蜀を手に入れたという情報はないが、華琳の中では大陸は既に天下三分の構想であった。

既にどう仕留めるも、どう終わらせるも、自分の手の内にあるつもりだ。

「ねえ、ケイン」

「何だ、もう一回か?」

「貴方を寝間に入れるのは暗殺者を入れるより危険だわ」

「お褒めの言葉ありがとう」

「元気ね。貴方、あっちの世界の思惑は興味ないって言ってたけど・・・本当?」

 窓の外には月が出ている。ケインはその月をずっと見つめていた。

「ああ」

 国主である華琳が、窓のある無用心な部屋に寝ているのは危険かもしれないが、横に寝ているのは最強の男だ。

もはや暗殺者は頼まれても入らない状況だ。

「俺が興味あるのは強き者と戦い・・・死ぬことだ」

「春蘭や秋蘭じゃ物足りない?」

「今のところ、楽しませてくれるのはあいつだけだ」

「・・・嫉妬するわ、彼に」

 思わずケインが華琳の顔色を伺うくらいに低く、本当に嫉妬しているかのような声だった。

「ずっと一緒にすごしていたのでしょう?剣を交えたりはしなかったの?」

「あいつは自分の力を極端に恐れている。その力を使うことも見せることも恐れていた。だけどあいつは知らない。何かを守るためにその力を使うことがいい事だ・・・ということをな」

 

 

 目が覚めた一刀が見たものは、楽成城に劉備軍が入城している様子だった。

自分は全く蚊帳の外で、知らぬ所で話が進んでいたらしい。

情けなく頭を掻いていると黄忠と厳顔が向こう側に見つける。

二人とも少しおかしげに、そしてやさしげに笑っていた。

「私たちはあなた方に力を貸しますわ」

「・・・どういう風の吹き回しで?」

 明らかに疑いの目を向ける一刀に黄忠はやんわりと答えた。

「貴方の意志も、外にいらっしゃった劉備殿の意志も聞きました」

「そろそろ入城される頃でしょう。北郷殿は傷を癒すことを考えておりなさい」

 二人は部屋に戻るように促すが、一刀は戻れない理由に見つける。 

「そうもいかんな、厄介な連中に見つかった」

 三姉妹がこちらを見つけ駆けてくるのが見える。

一人は涙を浮かべながら、一人は今にも説教しそうな表情で、一人は満面の笑みで。

後ろには星や恋、朱里や雛里も見える。新たに仲間になった翠や蒲公英の姿も見える。

さすがにあの人数に突っ込まれたら死ぬかもしれない。

苦笑いしながらそう思っていた。

「さて、主になるからには真名を授けねばなりませんな。私の真名は桔梗です」

「紫苑・・・ですわ」

「桔梗さんに・・・紫苑さん、宜しく頼む」

「紫苑ですわ」

「?紫苑さん?」

 発音か、それとも細部が間違っていたのか思わず聞き返す。

「し・お・んですわ。呼び捨てで構いませんよ。ご主人様」

「わざわざ敬称を付けて我々を年寄り扱いしないでくだされ、お館様」

「ならこっちも注文を付けさせろ、その呼び方は止めなさい」

 彼のその抗議は先鋒である鈴々の頭突きによってかき消されるのであった。

 

 

おまけ

紫苑「ところでご主人様はおいくつですか?」

桔梗「随分とお若そうですが」

一刀「もう二十四だ」

桔梗「おや、私たちとあまり変わりませんな」

一刀「・・・一つ聞いて良いか?璃々ちゃんはいくつだ?」

紫苑「あら、遠回しに女性の歳を聞くのですか?」

一刀(何歳なんだ?)

 

この作品の年齢設定。

ケイン(29)>紫苑、桔梗、祭>一刀(24)=玲二(24)≧華琳=雪蓮>その他

になってます。

しかしこの三人、ほんとに幾つなんだろうか・・・。

おっと、誰か来たようだ。

 


 
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