「魔理沙ー♪」
飛び上がりそうな勢いで――否、すでに飛びあがっている状態で魔理沙へ抱きつこうとするアリスの姿がある。
「……」
魔理沙はといえば、すっと横に体をずらして回避。
冷静である。
ドガッシャン!
額から落ちるアリスを、ちらちらと横眼で見ているあたり魔理沙も心配そうではあるのだが。
「うぅ、魔理沙!」
「なんだよ?」
気だるげに答える。
「額から落ちて血が、血が出てるわ!!」
確かに出ていない事もない。
ほんの微量の血。
正直、アリスにとっても毛ほども気にならないであろう血。
……だがしかし、魔理沙の心を揺さぶるには十分すぎた。
「だ、大丈夫か?」
にやり、アリスが小さく口角を上げる。
「あぁん、痛いよぉ。魔理沙ぁ」
猫撫で声、とはまさにこの事である。
「あぁ、あぁ、大丈夫か?」
それに乗る魔理沙も相当馬鹿ではあるのだが。
「痛くて痛くて死にそうだわぁ!」
「ぉ、おい!」
わーわーと騒ぐ二人をそっと見守る二つの影。
「馬鹿者達ね」
「にっくきアリスめ。私の知識を使ってとっちめて……」
「こらこら、やめなさい。あれで幸せそうじゃない」
「死ぬ、あぁ、死ぬ。」
「アリス―!」
「医者のところ、へ」
そして不自然に手を空へ伸ばし、そしてゆっくりと降ろす。
「アリス!!」
「んー、ここまで来ると魔理沙本物の阿呆ね」
「霊夢!うるさい!」
「パチュリーの方がね。ばれるわよ」
「ッ……」
魔理沙はといえば、アリスを担ぎあげどこかへ飛び出す。
あぁ~!!と後ろから二人が叫ぶのも今の魔理沙には聞こえない。
そして一直線に。
「エーリン―!!」
声が響く。
うどんげと楽しそうに語らっていたエーリンは眉をぴくぴくとさせながらも玄関へ向かった。
「なんですか!?騒々しい」
「アリスが、アリスが……っ」
瞳にじわっと涙をにじませて魔理沙は言う。
しかしながら、パッと見、いや、それは本当なのだが、重傷ではない。
「いいわ、万能薬を注射でブスっっっと打ち込んであげるわ」
脅し、である。
半分以上の可能性でこれが"嘘"だと踏んだからだ。
「わわわわわ、待って!もう治ったから!」
アリスが魔理沙の肩で跳ね上がる。
「ダメだ、ちゃんとじっとしてろ!」
「はい、それじゃあ」
アリスの悲鳴がこだました。
「最悪だ、あんなに心配したのに全部嘘かよ」
魔理沙が帽子をとって頭を掻く。
「痛かった。でも」
アリスは結局特大注射でブスっっっと行かれて泣いている。
「でも?」
「魔理沙が優しくて……」
「……っ!うっせぇ」
「あはははは」
「まいったな、ぷっ」
「あははははは」
「あははははは」
悲鳴じゃなくて笑い声。
辺りをこだました。
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