No.116492

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 6話

虎子さん

拙い文章ですが、読んでやって下さい。

2010-01-04 20:47:26 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4779   閲覧ユーザー数:4047

~流琉と出会った森の中~

辺りが夕日色に染まる頃、豪臣は、三日月(煙管)で一服。

朔夜は、豪臣の膝の上で丸くなっていた。

豪臣は、そんな朔夜を撫でながら、今朝、村長に言われたことを思い出していた。

 

【回想・始】

~旅立つ日の朝~

日課の散歩を終え、村の防柵に寄り掛かり、三日月(煙管)で煙草を楽しんでいる時だった。

「豪臣、ここに居ったか」

「ん?・・・村長でしたか。おはようございます」

立っていたのは村長だった。

「豪臣よ。それを銜えたままで良い。ちょっと家に来てくれ」

そう言って歩き出す村長。

それに豪臣は、首を傾げながらついて行った。

 

~村長宅~

二人が対面で座ると村長が口を開く。

「のう、豪臣。・・・お主この国の者ではないな?」

「・・・へ?」

あまりに唐突な話に、間抜けな声を上げ

「いや、俺は他国からの旅人だって言ったでしょうに」

そう言って溜息を吐く。

しかし、村長は

「すまんの、言い方を間違えてしもうた。

 お主、地上の者ではないな?

 そう聞きたかったんじゃ」

苦笑いをしながら言う。

(地上?・・・この世界、若しくは時代という意味か?)

豪臣は、煙草の煙を吐いて聞く。

「・・・何故そう思われるのですか?」

「要因はいくつかあるがの。

 言葉や考え方も他国と言っとれば、一応は相手も納得出来るじゃろう。

 しかし、わしらは見てしもうた。

 お主が流琉を助けた森の方に、流星が落ちるところを、の」

「・・・流星、ですか?」

豪臣には、村長の言わんとしていることが分からない。

「お主は、今、この漢という国で、こんな噂話が流れていることを知らんのじゃろうな」

そう言って、村長は噂の大本である管路の占いを聞かせた。

 

〈世が乱れし時、天より流星と共に天の御遣いが舞い降りる。

 遣わされし者、白き獣と己が武を以て民が敵を討つ。

 遣わされし者、黒き衣を纏い己が智を以て民を導く〉

 

聞き終わると、豪臣は口を開く。

「つまり、その御遣いが俺であると村長は思っているのですね?」

(聞いていると、ほとんど俺だな)

「違うかの?

 この村に来てからは身につけておらんが、あの“こーと”なる物が“黒き衣”。

 お主が連れておる朔夜が“白き獣”じゃと思っておる。

 さらに、昨日も言うたが、お主には武も智もある。

 これだけ揃えば疑いたくもなる。村人全員が、お主を御遣いと見ておるぞ」

(村長だけじゃないのかよ!)

豪臣は内心焦ってしまう。

「・・・しかし、推測でしょう?俺が、この地上の者でない、その証拠にはなりません」

豪臣は、苦し紛れと思いながらも言う。

「くくく!莫迦たれ。最初に否定しなかった時点でお主の負けよ!心当たりがあるんじゃろう?」

「・・・・・・」

そう笑う村長の言葉に、豪臣は黙るしかなかったが

「そう心配するな。御遣いだからといって、何処かへ突き出そうという話ではない」

村長の、その言葉に顔を上げる。

「お主が、この後どうするかは想像がついとる。・・・持って行け」

そう言って、村長が後ろから出してきたのは両拳ほどの大きさの袋だった。

「先立つ物が無ければいかんじゃろ?あの二人以外から集めた金子じゃ」

「なっ!みな懐の状態は芳しくないでしょう?こんな物頂けません!」

そう言って、袋を押し返す。

「俺は、金のために戦う訳ではありません。自給自足の生活には慣れています。心配はいりません」

「・・・豪臣よ。これは、村人の気持じゃ。お主に要らんと言われたら、わしらの気持は何処へ行くんじゃ?」

そう眼を見据えながら言い、もう一度、豪臣の前に出す。

豪臣は

「・・・わかりました。ありがたく頂戴します」

頭を下げた。

それを見て、村長は頷き、満足げに微笑んだ。

 

そして、豪臣が家を出て行こうとした時

「おっと!大事なことを忘れておった!歳を取るといかんのぉ」

村長が声を上げ、豪臣を呼び戻す。

「何でしょう?」

「お主のこれからの旅に欠かせないもの、情報じゃ」

「情報、ですか?」

そう聞き返す豪臣。

「うむ。お主、実はこの国について、全く詳しくないじゃろ?

 この国の有力者の名くらいは知っておいた方が良いと思っての」

それを聞いた豪臣は

(確かに。俺の知る歴史であれ、物語であれ、典韋と許褚は同じ村の出身ではなかった。

 知っておいて損は無い)

「是非、お願いします」

と、素直に頭を下げた。

「よし。まず、兵と財力では冀州の袁紹と荊州南部の袁術じゃな。

 さすがは、袁家と言ったところじゃ。この二勢力は、他の者より頭一つ二つ上じゃ。しかし、あまり良い治世をしておらんと言われておる。

 次に、兵と知名度では荊州北部の劉表と益州の劉焉じゃ。

 このお二方は、帝の血筋だけあって名が知られておる。が、噂では、劉表は優柔不断で劉焉は独裁が過ぎるとのことじゃ。

 最後に、精強さでは、袁術の客将で、揚州の一部を預けられている孫堅、涼州西部の馬騰、幽州の公孫賛じゃ。

 孫堅は、個人の武もかなりの者らしいが、恐れられているのは統率力じゃ。孫堅が出れば必ず勝利するとまで言われ、江東の虎などと呼ばれておる。

 馬騰は、涼州騎馬を率いて羌(キョウ)や氐(テイ)といった異民族の侵入を防いでおるだけあって、かなりの精強さらしいの。

 公孫賛は、自身が白馬に乗り騎兵を率いる為、白馬騎兵と呼ばれておる。彼女もまた、鮮卑(センピ)や烏桓(ウガン)といった異民族と戦い、騎馬は精強と聞く。

 まあ、こんなところじゃな」

(孫堅が客将?それに、何故、董卓どころか黄巾すら出ていない状況で袁紹たちが地方に居る?

 ・・・ん?そうだよ!何で袁紹たちが地方に居るのに董卓や曹操、劉備の名・・・は仕方ないが、出てこないんだ?)

そう思い、豪臣は村長に尋ねる。

「村長。曹操や董卓、劉備といった者を知りませんか?」

「ん?・・・ああ!劉備は知らんが、他の二人は聞いたことくらいはあるぞ。それにしても、よく、そんな小さな勢力を知っておったの?」

「ハハ・・・。まぁ、天の知識、とでも言っておきましょう。・・・で、どうですか?」

そう苦笑いで豪臣が言うと、村長は、そうか、と頷き説明してくれる。

「まずは、曹操じゃな。隣の郡の陳留で刺史をしておる。公明正大で素晴らしい方じゃと聞いてはおるが、まだ、3000程の兵しか集まって居らん弱小じゃ。

 次に、董卓。涼州東部の者じゃな。かなり優秀な部下も居る様じゃが、こちらも、まだまだ弱小よ」

(刺史・・・ああ!後の州牧か。曹操って州牧の経験あったっけ?・・・ま、いいか)

「ありがとうございました。この情報は有効に使わせて頂きます」

「うむ。そうしてくれ」

礼を言われた村長は、実に満足そうだった。

【回想・終】

 

意識を今に戻し

(さて、これから何処へ行こうかなぁ)

考えながら煙管を吸った瞬間

 

「あらぁ~ん?吸い過ぎは体に毒よ、豪臣ちゃん!」

 

いきなり、大きな人影が現れた。

 

 

その姿を見た瞬間

「ブッ!げほっげほっ!ぐ、げほっ!」

と、豪臣は咽ながら驚く。

(な!・・・殺気が無かったとはいえ、この俺が気づけなかった?)

そう思い影を見上げると

「・・・・・・」

豪臣は、あまりの光景に呆けてしまった。

「あら~?私のこと見詰めちゃって、どうしたのか・し・ら?」

大きな人影、もとい、大きな男が豪臣の前に立ち言う。

頭はツルツルで、長いもみあげを三つ網にしている。顎には髭があり、唇には紅が塗られている。体格は筋骨隆々で、何故か女物の紐パンだけを着用。体をクネクネさせながらのお姉言葉。立派な変人で変態だった。

「なになに?私のあまりの美しさに驚いているのかしらぁ?」

「ああ、(あまりの気持ち悪さに)驚いている」

豪臣は思っても言わない。命が惜しいから。

「そお?そう思う?嬉しいわ!」

「うお!やめろ!」

いきなり抱きついてきた男の腕を、無様に転がって避ける。

「ったく!なんなんだ、お前は?」

「私?私の名は貂蝉!しがない踊り子よ~」

クネクネしながら答える。踊っているつもりらしい。

しかし、次の声で踊りは止まった。

「・・・嘘ですね。あなたは仙人、若しくはそれに近いモノです」

「!本当か朔夜?」

「・・・・・・」

その声の主は、先程からずっと黙っていた朔夜だった。

「はい。この者からは、仙気らしきモノを感じます」

そう断言する朔夜。豪臣は身体に気を込める。

しかし、貂蝉はニコッと笑い

「そんなに慌てないで。私は陳ちゃんの友達よ、ト・モ・ダ・チ!」

そう言ってウィンクしてくる貂蝉。

「・・・なんて(気持の悪い)ことをするんでしょう。この男は」

朔夜も言わない。気持ち悪いから。

「あら、私は男じゃないわ。・・・漢女(おとめ)よ!」

朔夜の悪態に、クネクネしながら答える。

 

(爺、友達は選べよ)

 

貂蝉のクネクネを無視し、豪臣は尋ねる。

「で、その友達が、弟子に何の用だ?」

そう尋ねると、急に真面目な顔をした。

「ああ、それはね。“試練”のことよ」

「「!!」」

「“試練”のこと、か?」

「ええ、そうよ。“試練”の開始は約10ヶ月後になるわ。何をどうするかは、管路の占いに従いなさい」

そう言われ、豪臣は村長に教わったことを思い出す。

(俺に、天の御遣いになれと?)

「それまでは、いろいろ行動してみるといいわ。“この世界”のことをもっと知るといいわ。

 そして、時が来たら、自分を中心に太平を成すも良し。誰かに従って成すも良し。

 あなたなら、朔夜ちゃんも居るし、その途中で試練の意味に気づくわ」

「“試練”や“この世界”について、詳しく教える気は無いんだな?」

そう苦笑いする豪臣に

「それも含めて“試練”よ。それじゃあ、頑張ってね!」

そう笑い、森の木々の上までジャンプした。そして、そのまま居なくなってしまった。

残った二人は

「・・・騒々しい変態でしたね」

「・・・そうだな」

溜息を吐くのだった。

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

一週間連続投稿成功!\(^o^)/

今回(前回?)で、季衣&流琉編?終了です!

 

喜びのまま、作品の話です・・・

前回のあとがきで、短め、とか言いながら、ほぼいつも通りの量でした。すみません。

今回は、豪臣の事、誰が何処に居るか、その評価はどんなものか、について書いておきたかったので、あまり楽しんで読める物では無い様な・・・アレは出てくるし

私の自己満足のためです。ご了承の程を

今回いっぱい喋った村長さん。この時代、民がここまで知っているのかな? 何て思いながら書いてました。まあ、物知りだった、ということでお願いします。

 

2~5話のコメントQ&Aです。

Q.ラブになるのが早くない?

A.すみません。これ以上長くすると、鬼のような話数になる気がしまして。

 

Q.二人って姉妹設定にしたの?

A.いえいえ、姉妹の様に仲の良い二人でございます。

 

Q.二人を残したね?

A.ごめんなさい。確実に再会はさせますよ? 戦場で無い事を祈っていますが。

 

Q.フラグ立てまくるの?

A.一応は。どんなエンドにも対応出来る様にしたいので。

 

と、こんな感じでした。

 

さて、次回ですが、遂に、アンケートで支持された、あの勢力と接触します(分かりますよね?)。

いったい誰と初めに会うのか?

ちなみに、次回投稿は、早ければ7日の夜。遅くとも8日終了までにと予定しています。

 

文章中に誤字脱字等ありましたら、コメントにガンガン書いてやって下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りに登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 

 


 
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