翌日、ルークが出社するとステイシーが書類を渡して来ました。
「あの店の強制調査申請書です。食中毒の被害者から裏は取ってあります」
「あなたはあの店を潰したくてしょうがないようですね…」
「衛生管理に問題があるのに改善する気はなさそうでしたし…」
「仮に調査を強行してもアルバイトの女性に責任転嫁して罪を逃れようとするのは目に見えていますよ?」
「ルークはアウローラをかばう為に悪事を見逃すと仰るのですか?仕事に私情は挟まないでください」
「私情を挟んでいるのはステイシーさんの方のような気がしますよ?」
「私は仕事に私情など挟みません。ルークも私情を挟まないように!」
「他にもたくさん怪しい店があるのに、なぜあの店にそこまでこだわるのかな…と」
「悪事を見過ごす事が出来ない性分ですので」
「今は就職氷河期で簡単な仕事にも就けなくて大変だそうですね?あなたもご存知でしたか」
「ええ、私も学生の頃はアルバイトをしながら勉強していましたが、アウローラのような扱いを受けていましたから」
「それならローラの立場もわかるでしょう?やりたくなくてもやらなきゃクビにされてしまうんです」
「あなたはアウローラに対してだけ甘くなるような気がします」
「いえ、今の僕は彼女に対して恋愛感情はありませんので、中立の立場に立って見ています」
「それなら強制調査に乗り出すべきでしょう?なぜ反対するのですか」
「反対はしていません。ただ僕はこの程度の事でそんなに騒ぐ必要はないかなと思ってます」
「この程度の事ですって?食中毒の患者がたくさん出てるんですよ!」
「そうですね。僕の推測だとローラに全ての罪をなすり付ける可能性が高いので、その場合の対処法を練らないといけません」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第356話。