ナタは哀しそうな表情を浮かべて言いました。
「本当は離縁なんかしたくなかったんだよ?おじさんは紙切れだけの事だから、離縁しても私を娘だと思ってると言ってくれたけど…」
「おじさんはリリム姉さんの事も娘みたいに扱ってたよね」
その頃、リリムはマルヴェールの家でローラと話していました。
「リリムお姉さんって痩せてるよね」
「最近、食べられなくなっちゃってぇ…。勇者様が死んじゃってから精気も吸ってないのぉ」
「魔族が精気を吸わないとどうなるの?」
「死んじゃうわねぇ。私も長くないかもぉ?」
「ええっ!リリムお姉さんが死んじゃうなんて嫌だよ」
「私、勇者様が死んじゃった後、ずっと考えてたのよぉ。私もこのまま精気を吸わずに死んだ方が良いんじゃないかってぇ…」
「ダメだよ!自殺するなんて…」
「自殺ってわけじゃないんだけどぉ。男から少しずつ寿命を奪って生きてるわけだからぁ。寿命を奪うのをやめたら私の寿命が尽きるだけよぉ」
「どうしてそんな事を考えちゃったの?お父さんがいなくなったからって死ななくて良いじゃん」
「フラウの寿命もあと少しで尽きるわぁ。そしたら私はまたひとりぼっちになるでしょ」
「お母さんが死んでも私が生きてるよ?リリムお姉さんがいなくなったら私がひとりぼっちになっちゃうよ…」
「魔族の寿命は恐ろしく長いからぁ。せっかくお気に入りの子が出来ても先に死んじゃうのよぉ」
「そっかぁ。それは辛いね」
「パパはどうしてママに吸魂能力を与えたのかしらねぇ?ママも知らなかったみたいでママが死んだ後、パパが戦争起こしてミカエルに負けちゃって、私はミカエルに引き取られたんだけどぉ…」
「ミカエル様って良い人なのか悪い人なのかわかんないね」
「ミカエルは私が良い子に育つようにって色々教えてくれたんだぁ。寿命は少しずつ奪えば良いってミカエルが考えたのよぉ」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第340話。