ルークは優しい表情でローラを見つめ返しています。本当は抱き締めたいのを必死で堪えていました。
「ローラは多分、おじさんと一緒ですごく頭の回転が速いんだよ?本当に頭の悪い人は相手のすごさを認められないから」
「うーん、私はバカだと思うよ?お父さんみたいに難しい事は考えられないし、魔術師試験も三級まではギリギリ三十点で合格出来たけど、二級は多分無理だから諦めたし」
「僕は二級に落ちると思う。自分で受けられたら通ったと思うけど、一級の方の試験は…通常問題は多分五十点取れてる。フェイク問題の方は自己採点出来ないから、合格発表まで何点取れたのかわからない…」
「それは他の人と体を交換してたからだよね?なんか理不尽だなぁ…。ルークは替え玉で一級の試験受けてたから、二級の試験を落とされるなんて」
「来年もまた替え玉やらされたら二級に合格出来なくて僕は永遠に三級のまま上がれない気がしてきたよ」
「そんなのおかしいよ?ルークは一級に合格出来る実力があるのにずっと三級のままって…」
「でも家のローンが払い終わるまでは我慢しないと…」
「なんかモヤモヤする…。ルークじゃないルークが昨日帰って来て、こんなのルークじゃないってすごく嫌だったの」
「僕だってローラを危険な目に遭わせるのはもう嫌だよ…」
「私ね、本当はルークと体を交換してもらって生きて行きたかったんだ。でも私は自分の中身も嫌いだから、ルークの中身が自分になってもそれは私の好きなルークじゃないの」
「ローラがそう望むなら僕の体を君と交換してあげる事は出来る。最長で十年交換出来る薬を作れるから」
「ううん、私がルークになってもルークの仕事は出来ないし、試験にも通れないと思うから、ルークはルークのままでいて欲しいんだ」
「僕は君と体を交換するのは全く抵抗がないんだ。前に一度交換した時も嫌だと感じなかったし、試験の時だけ僕が元に戻れば大丈夫さ?」
「そんなズルして試験の時だけ交代したくないし、さっきも言ったけど私はルークの中身がルークだから好きなの。ルークの中身が私になったら意味がない」
「今日は随分と僕の事を褒めてくれるんだね。普段はそんなに好きだと言ってくれないのに」
「昨日中身の違うルークに襲われててハッキリわかったんだ。私はルークに抱かれながらルークになってる気分だったの。ルークが気持ちよさそうにしてるのを見て気持ちよくなってたんだって」
「ごめん、ローラの言ってる意味がよくわからない…」
「だから…ルークの中身も私だったら良かったなぁと思ってるから体を交換する意味ないの。ルークが私だと思ってるから私はルークが気持ちよくなる事してあげたいんだよ?」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第295話。