アークはミカエルに向かって、冷たい表情で言い放ちます。
「だから僕は笑うのが嫌いなんだ。作り笑顔ならするが、笑顔が好きだと言う奴に良い人間はほぼいない」
「笑顔が好きだと言うのはホッとするからでしょうね。相手が苦しんでいない証拠ですから」
「笑顔が好きだと言えば聞こえが良いが、苦しんでる者には見向きもしないと言う、心の狭さを意味している」
「笑顔を失ってる人を笑顔に出来る事が本当の優しさなのに、苦しんでる人を見たら避けるのが人間の習性なのです」
「僕は逆だな?苦しんでる者がいたら手を差し伸べる。人を苦しめて笑っている者がいたら、この手で裁いてやる!」
「あなたは優しすぎるのです…。その優しさが誰かを傷付ける事があるのを忘れないでください」
「ナタからもよくそう言われるよ?僕の一番悪いところはそこらしい」
「そこがあなたの良いところでもあるのですけどね…」
ミカエルが天界に帰るのを見送りながらローラはアークに尋ねました。
「お父さんにまた記憶が戻ったりしないかな?ミカエル様はほんの数分やっただけで前世の記憶は消えたはずって言ってたけど…」
「ミカエルはその手の魔法は得意分野だよ?一度でも記憶が戻った事があれば、また戻る事がないとは言いきれないが…。まあ何かあったら僕に相談すれば良いさ」
「はい!今日は遅くまで色々とありがとうございました。また何かあったら、よろしくお願いします」
アークが帰って行くのを見送ってからルークの姿のマキャヴェリに毛布をかけてあげました。
「なぜ俺に優しくするんだ?さっきお前にあんな酷い事をしたのに…」
「ルークの体なのに風邪をひいたりしたら困るじゃない?」
「やはりお前もルークが一番大事なのか…。ちくしょう!」
「私がルークを好きになった理由は、私の事を一番大切に想ってくれてたからだよ?あなたは誰かを大切に想った事はあるの」
「俺が大切に想っても誰も俺を大切にしないのが悪いんじゃないか!」
「ルークは私が大事にしてなくても、大事にしてくれてたよ。もう眠いから隣で寝るね?おやすみ…」
「縛り上げておいて隣で寝るとか拷問のつもりか?トイレにも行けないのにもうパンパンだ」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第291話。