心配そうにじっと見ているゲイザーを、ルークは高い高いしてあやします。
「別に死ぬのが怖いって感覚はないよ?どうせ死んでもおじさんみたいに転生するし、今はただローラのそばにいたいから殺されたくないって思うだけ」
「多分私は今、すごく幸せなんだ。周りから旦那さんイケメンで、稼ぎも良くていいわねーって言われるし…」
「周りの言う事は気にしなくて良いよ?君も旦那の顔が良くて稼ぎがあるだけで幸せって思ってるなら、幸せにするのは簡単だからラクで良いけど」
「幸せ過ぎて幸せってわかんなくなってるのかも?特に不満はないのに不安になってるから」
「その不安を取り除いてあげられないのは、僕の力不足が原因だと思う…。君を安心させられる言葉が思い付かない」
「浮気してないって信じてるけど、浮気したくなるくらい好きな人が出来たなら教えて欲しいの。すぐに別れてあげるし、慰謝料もいらないよ」
「うーん、その約束は…。僕が浮気する事が前提になってるから出来ないなぁ」
「ずっと別れる時の事、考えてたんだ。ゲイザーは私が引き取るつもりだけど」
「そんな事、考えないでよ?僕はこの先、どうやったら君を幸せに出来るか考えてるのに…」
「幸せになれる未来が見えなくて…。今が幸せの絶頂なら、ここからは落っこちるしかないじゃない?不幸のドン底なら、這い上がれば良いって思えるかもしれないけど。これ以上、幸せになれると思えないの」
「確かに毎日幸せだと、それが幸せだってわかんなくなるかもね。僕は仕事で嫌な事があるから、家に帰ると幸せだって感じるけど…」
「だから私、働きたかったのかも?家にずっといると嫌な事は特にないんだけど、不安に駆られるんだ…」
「そっかぁ。お母さんにも言われたんだけど、甘やかすのは愛情じゃないって…。ローラが働きたいなら、僕はもう止めないよ?」
「ルークは私にすごく優しいんだけど、そう言うの近所の人が聞くとね、うちの旦那はそんな事してくれないわー、って言われるの…」
「ゴミ出しの事かな?ローラがイヤミを言われるなら、明日のゴミ出しはやめておこうか…」
「えっ、ゴミ出し?一千万の物件の事だよ…」
「あっ、その話の事か…。なんでそれが良くないんだろ?」
「私が五百万の日当たりの悪い物件で良いって言ってるのに、一千万の日当たりの良い物件にしちゃったって話したら、なんか嫌な雰囲気になっちゃって…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第256話。