ルークはいつもの優しい表情とは別人のように冷たい表情で言います。
「それは身の危険を感じてないからだよ。人間の記憶力は身の危険を感じた時に一番発揮される。僕は生まれたその時からずっと天界に監視されて命を狙われてる」
「前からそんな事を言ってたね。ルークは悪い事なんか絶対しないのに…」
「僕が悪い事しないのは、したら即殺されるからさ?自分の身の安全を確保する為にどうしたら良いか必死で考えた」
「身の安全を確保する為に、ルークは何を考えていたの?」
「普通の人間のフリをして生きるんだ。結婚して子供を作って幸せに暮らしてるフリをね。でも僕の地位や名声を利用しようと考える人間が寄ってくる。そいつらを遮断する為に頭の悪いフリもしたさ?リリム姉さんは相当賢いよ。バカなフリしてるだけだからな…」
「幸せに暮らすフリをする為に私が必要だったって事?それってルークがおままごとしてたんじゃない…」
「最初はそのつもりで相手を探してたんだ。僕を悪用しようと考えない従順な妻になれそうな相手をね…」
「私が思ってたのと違ったから怒ってるの?私に胸触らせてって言ってくる男子って、私が怒るとイメージと違う!って言って仲悪くなっちゃった」
「ううん、むしろ君は僕の理想通りの人だったんだ。そのせいで僕は他の男子と同じくらいバカになってしまった…」
「ルークが時々バカな事言うから変だなぁと思ってたの。さっきの話聞いて、あれも演技だったのかな?って思った」
「演技じゃないんだ…。そもそも僕のここは君以外の女性には反応しない」
「それがすごいなぁと思って。どうやってコントロールしてるの?私には多分無理」
「逆だよ?普段、ここは反応しないのが当たり前なんだ。コントロール不能に陥る事の方が誤算だった…」
「ルークのお父さんもナタお姉さんの前でだけコントロール不能になってるよね…」
「君を好きだと気付いてからはある意味、地獄だったけど幸せだなって思った。人は多分、本当に辛い思いをしてる時に幸せを感じる生き物なんだ」
「そっかぁ。私は辛い思いしてないから、幸せを感じられなかったんだね」
「おじさんやお父さんの時代は本当に辛かったみたいだけど、今の僕たちよりも幸せだったのかもしれないね」
「ルークは辛い思いしてるよね?死と隣り合わせで生きるなんて私には耐えられないと思う」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第255話。