ルークが帰宅するとローラがゲイザーをあやしていました。心眼で見ると家の中をどんよりした空気が漂っています。
「ただいま。元気がないようだけど、何かあったの?」
「おかえり。別に何もないよ?」
「隠し事はせずに何でも話して欲しいって前にも言ったよね?僕は何もやましい事はないから聞かれて困る事なんてないんだ」
「隠し事はしてないよ?ただちょっと気になる事があるだけ…」
「気になる事って何?正直に思ってる事話してみてよ」
「うーん、多分誤解だと思うから…」
「誤解かどうかは確かめてみないとわかんないだろ?」
「ルーク、今日綺麗な女性とレストランで食事してたでしょ?街で偶然、見ちゃって…」
「ああ、その事か…。あれは体術サークルの元顧問だった先生だよ?オーラで先生だとわかったから失踪当時の話を聞いてたんだ」
「顔が全然違ったけど整形魔法使ったの?確かあの先生って私が拐われた日から行方不明になってるんじゃなかった?お父さんが心配してたよ」
「うん、騎士団の資料室で調べても全く事件になってなかったけど、図書館の受付の女性を口説いて資料を見せてもらったら未婚のままで、家に訪ねて母親に聞いたら失踪した事になってたし…」
「図書館の受付嬢も口説いてたの?ルーク…」
「何度か図書館に行って調べ物をしてたんだけど、うるさい女性の利用者に注意してくれたから、お礼に食事に誘った事があるだけだよ?」
「その図書館の女性がルークの事好きになっちゃったらどうするつもりなの?」
「ちゃんと僕には愛する妻がいると話してあるけど?」
「妻がいるって頭ではわかってても好きになっちゃう事があるのはしょうがないよ」
「うーん、変な演劇の見過ぎだと思うけど?」
「事実は小説よりも奇なりって言うけど、演劇よりも現実の方がドロドロしてると思うよ?」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第241話。