ランチの時間になってルークはパートナーの女性とレストランに行きます。
「今日は僕が奢ります」
「年下に奢ってもらう訳には…」
「誘ったのは僕の方ですから。先生はあまりデートに慣れていないようですね」
「学生時代から男嫌いで卒業後、すぐに体術の顧問として雇われて出会いがなかったんです」
「そうなんですか?先生ならスタイルも良いですし、その気になれば相手はいくらでもいるでしょう」
「今の顔なら言い寄ってくる男は大勢いますが美人だと褒められても興味が湧かなくてお断りしてます…」
「僕も顔だけを見て判断されるのは嫌ですね」
「どんな顔にも整形出来ると聞いて、美人に整形してもらったけど後悔してます…」
「なぜ整形する事になったんですか?と言うか突然、失踪された理由は…」
「私が失踪して心配してくれる生徒がいたなんて思いませんでした。特に男子生徒からは嫌われていたのを知ってますし」
「僕は先生に好感を持ってましたけどね?女子からは慕われていたでしょうし」
「女子からも行き遅れの御局様だと言われてましたよ」
「最初は先生が突然いなくなって騒ぎになってたんですが、僕が教授に尋ねると先生は入院中だと答えていたので、その噂が広まりました」
女性はポツリポツリと話し始めます。
「私は貧しい生まれで卒業後も奨学金の返済に苦しんでいて、成績も悪かったので得意の体術でなんとかしようと思っていたのです…」
「自分の得意な事を活かせるのは素晴らしい事だと思いますよ」
「母親は娼婦でしたが、私には娼婦になるなと躾けられていたので、今まで男には見向きもせずに生きてきました…」
「僕があと十年早く生まれていたら先生みたいに魅力的な生徒がいれば、ほっておきませんでしたけどね」
「お世辞でも嬉しいわ。あなたの事は私も気に入っていたの。素直な生徒だから…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第236話。