待合室のソファーに二人並んで座ります。魔物は二人の膝の上で丸くなっていましたが、魔法で見えなくしているので周りの人には見えていません。
「ナタは働き過ぎだ。僕が三億稼いでるんだから仕事など辞めれば良いのに…」
「お母さんは仕事してる方が楽しいんだよ?」
「そう言うものなのか?こんな仕事をあくせくやっても、月三十万程度しか稼げないのに…」
「僕も今の職場に行く前は、バーでウェイターの仕事してたけど、そっちの方が楽しかったなぁ」
「ウェイターか…。やった事ないな」
「マスターからシェイカーの振り方も教えてもらったけど結構、難しいんだよ?手首のスナップの利かせ方とかがね」
「ふむ、それは面白そうだな…」
「定番のカクテルの作り方も習ってたけど、オリジナルのカクテルを考えるのが楽しかったんだ」
「なかなか奥が深そうだな。僕もやってみたくなってきたよ?」
「給料は安かったけど、ウェイターの仕事の方が毎日充実してたよ?」
ナタがやっと休憩時間になって、店の前の札を準備中に変えました。アークとルークの待っているソファーの前に来ます。
「で、その魔獣はなんなの?光魔法で見えなくしててくれたから、お客様が驚かずに済んだけど…。店内にペットは立ち入り禁止なのよ!」
「この魔物を退治しろって言われたんだけど、いい奴だから退治するのが可哀想になって…」
「それで連れて来たってわけ?誰の使い魔にするのよ」
「お母さんの使い魔にしてあげてくれる?呪いはかけない主義だから、この魔物も嫌がらないと思うけど」
「こんな強い魔物だと支配力をかなり消耗するのよね」
「この魔物、そんなに強いんだ…。大人しいからそこまで強いと思ってなかったよ」
「見た目は可愛いけどね。この魔獣の戦闘力はジョルジュが魔獣だった頃の大体十倍くらいかしら?」
「うわぁ!普通のケルベロスでもかなり強いはずだけど、エグいね…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第201話。