総帥の座をアークに明け渡して幹部になったウィルスが、アークの秘書兼副総帥をやっています。
「ルシファー様、去年までの第一級魔術師の不祥事の件をまとめた書類です。目を通しておいてください」
「随分と多いようだが、公表されていないようだな?」
「はい。騎士団には金を積んで表向きには揉み消してありますが、次々に不祥事を起こされて我々も頭を痛めております」
「第一級魔術師試験も無能な者が金を積んで通っているのだろう?だからこんな不祥事を引き起こすんだ」
「ごもっともな意見ですが、金がなければ組織の運営はできませんので、裏口入試は仕方のない事なのです…」
「なるほど…。ところで僕の給料の出所はどこなのかな?」
「第一級魔術師の寄付金がほとんどですね…。税金を上げるとテオドール国王が何に使ったのかとしつこく尋ねて来られますので」
「テオドールは優秀だからな。ゲイザーが亡くなった後も悪政は行なっていないようだ」
「ゲイザーの暗殺計画も何度かあったのですがことごとく失敗しておりました」
「ミカエルとリリムが護衛してるのにゲイザーを暗殺するなんて無理だろうな」
「あの二体の使い魔は優秀過ぎます。奴はどんな手を使ってあのように強力なビーストを支配していたのか…」
「僕も興味があってミカエルに尋ねたら真実の愛によってどうのこうのと言っていたな」
「真実の愛…ですか?」
「僕も全て奴の手の内で転がされていた気がするよ?ゲイザーの娘に僕の息子もメロメロだからな。それすらも奴の策だったと思えてならない」
「娘まで使って…恐ろしい男ですな」
「奴は何も考えてないフリをしながら、先の先まで読んで行動していたよ。周りは奴に踊らされていると気付かずに、奴のシナリオ通りに動かされていたんだ。この僕さえね…」
「ルシファー様はゲイザーの味方ではなかったのですか?」
「奴は僕の敵だよ?奴の手の内を探る為に仲間になったフリをしていたに過ぎない」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第190話。