ナタがリビングで溜息をついています。アークに似顔絵だけ切り抜かれた雑誌の記事を見ていました。
「はぁ…、これは悪意しか感じない記事だわ」
「ナタの悪口が書いてあるなら名誉毀損で訴えられるんだけどね。これは僕から見ても良い記事にしか見えないから、裁判で勝つのは難しいと思うよ?」
「だから余計に悪質なのよ?こんな不自然に胸の谷間を強調した服着てなかったし!こっちの挿絵なんてパンチラじゃない…」
「うーん、そのパンチラは少し良くないと思ったが…」
「しかもこれ見よがしに三十代女性が実は一番モテる時期だ!とか言う特集組んであるし…」
「昔はナタの悪口の書いてある雑誌を何度か訴えていたが、今は僕の悪口が多くなってきたからほっておいてるよ?」
「最近、本当にアークの悪口が酷いわね。抱かれたい男が抱かれたくない男に!メサイアの転落人生に迫るって記事が載ってるわ」
「自分が悪く言われるのは、それほど腹は立たないんだ。勝手に言ってろ!と思ってるよ?」
ルークもリビングのソファーに座って、ナタのインタビュー記事に目を通しました。
「お父さんみたいに有名人になると大変なんだね。雑誌に悪口いっぱい書かれて…」
「職場でも言いたい放題噂話をされてるが聞こえないフリをしているよ?」
「僕も悪い噂をたくさん流されてるけど、ローラがいじめられなくなったみたいでホッとしてる」
「攻撃対象が変わればナタが責められないと気付いたからね。敢えてファンに嫌われる発言を繰り返してやったのさ?矛先を僕に向ける為にね」
「ローラを守れるなら僕はいくら攻撃を受けても構わないよ?」
「それでも僕のファンだと言う人が何人か残ったよ?最近は男性ファンが増えてきたしね!」
「それが本当のファンなのかもしれないね?」
「私はアークの悪口を見るのが辛いんだけど?女子高生の頃はアークの記事を切り抜いて集めてたんだけど、最近はやってないわ」
「良質なファンは雑誌の記事には振り回されないよ?心のこもったファンレターは今でも届いているし、それに支えられている感じだな…」
「人の悪口を言っていれば幸せな人たちは好きになれないよ…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第170話。