アークは小さな額縁を持って出勤すると、下っ端議員用の自分の机の上に飾りました。ニヤニヤしてるのを遠巻きに他の議員たちも見ています。
「見ろよ?ルシファーの奴、机の上に嫁さんの似顔絵を飾ってるぞ…」
「あれがトーナメント戦秒殺ノックアウトストレート勝ちで優勝して、議長就任した事がある男とは思えん…」
「議長になりたくてもなれない奴もいるってのに、わざとトーナメント戦は放棄してるみたいだからな…」
「ユリアーノ様が亡くなって、今は議長代理がやってるけど、次は誰が就任するんだろな?」
「ルシファーやユリアーノ様が出ないとなると誰が勝つのか予想が難しい」
「うーん、それなら連盟の総帥やってるウィルス様が有力じゃないかな?」
「ああ、確かに!ウィルス様はユリアーノ様の次に力のあるお方だからな」
「でも総帥の方が議長より給料が多いからやらないんじゃないか?重複して役職には就けないし」
「ユリアーノ様はなぜ総帥にならなかったんだろう?議長より給料が良いのに…。俺なら絶対に総帥に就任するぜ!」
「お前みたいな雑魚じゃそんなの夢のまた夢だろう?」
「わかってるよ?なれるものならなってみたいもんだ」
ナタが自分の美容室に出勤すると案の定、苦情の手紙が郵便受けに殺到していました。切手は貼ってないので、わざわざ持って来て入れたようです。
「ああ、思った通りだわ…。これからしばらく続きそうね。頭が痛い」
何通か開けて読んでみましたが、筋違いの罵詈雑言が並べ立ててあります。開店の札を提げて店が始まると初見の男性客が詰め掛けました。
「おお、雑誌に書いてあった通りの美人だな」
「大変お待たせしました。お客様、今日はどのような感じに致しましょうか?」
「この位置からだと…胸の谷間が見えない!」
「あ、あの…ここはそう言うサービスをするお店ではないのですが…」
「それじゃ顔剃りをお願いするよ?」
「かしこまりました。お顔にタオルをしますので、ちょっと失礼して」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第163話。