ナタはアークの言葉に頷きながら言いました。
「そうね。私の魅了の術もおじさんには見切られてしまったから、もう魔法ではおじさんの心を思い通りにできないみたいだし…」
「リリムのテンプテーションも効いていないようだったからな。ゲイザーは並の精神力ではないよ?」
「おじさんは自分でも気付いてないし、周りの人もおじさんの本当のすごさがわかってないけど、私にはわかってる」
「リリムにもわかってるようだ。人間の多くは性欲に溺れて、性犯罪を繰り返して反省もしていない者ばかりだから」
「ミカエル様にもわかってるんじゃない?この前の事件が起こった時の様子だと、ミカエル様もおじさんにメロメロみたいだし…」
「ミカエルはただの変態だから、あんなのに好かれても僕は嬉しくないね」
「ミカエル様くらい美形だと、本当は男だって言われてもおじさんはまんざらでもなさそうだったけど…」
その頃、ゲイザーが帰宅してくしゃみを連発していました。
「うーむ、風邪でもひいてしまったかな」
「おじさん、ちょっと話があって…」
「ルーク、早く帰らないとナターシャが心配するよ?」
「これをおじさんに届けてってお母さんに頼まれて持って来たんだよ」
天使の姿で炎の剣を持ったミカエルのカードをゲイザーに手渡します。
「ミカエル様はもう天界に帰られたのかと思っていたよ?」
「うーん、まだ帰る気はなさそうだったけど?お父さんを抹殺する指令を天界の偉い人から受けてるらしくて、リリムもミカエル様が嫌いなんだって!」
「そうか…。アーク殿はミカエル様が思うほど危険はないと思うのだがね」
「僕もあんまりミカエル様は好きじゃないよ」
「父親を抹殺しようとしてる相手を好きになれるわけはない。私が君の立場でもそう思うだろう。あんな父でも私の身内だからね」
「おじさんは僕の事信頼してくれてるってわかってるから、僕もおじさんの事信頼できるよ」
「相手に信頼されたければ、まず相手を信用しなければならない。相手を信用もせずに自分を信用して欲しいと思うのは傲慢な考え方だよ」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第148話。