翌朝、アークはテオドールと話していました。
「なるほどな。まさかお前に総帥になるよう、引き抜き話が来ていたとは思わなかったよ…」
「テオドール国王は僕を高く評価してくださってますし、今の生活に特に不満もないので引き抜き話はお断りしましたけどね」
「しかし月給三十万の者が月給三億と言われてにべもなく断るとは…」
「危ない橋を渡らされるのは目に見えてましたし、僕には今の幸せを壊してまで手に入れたいものは何もないですね」
「それでその裏口入試のワイロの受け渡し現場はお前に押さえられそうなのかな?」
「可能でしょうね。とりあえずこの件について総帥に揺さぶりをかけて来ますので、外出許可をお願いします」
「わかった、許可しよう。良い報告を期待して待っているよ?」
第一級魔術師連盟の幹部が集まる館。アークが総帥に面会を希望しました。
「これはこれはルシファー様!今日来られたのは総帥に新しく就任なさる件についてのお話でしょうか?」
「その件は丁重にお断りしたはずですが?今日はこの書類についてお話を伺いに参りました」
「これは…!ゲオルグ・シュタインの奴、まだこの書類を持っていたのか?やはり奴も殺しておくべきだった」
「この名簿には名だたる第一級魔術師の名が並んでいますね。死んだオズワルド氏の名前もある」
「しかしこれはもう時効になった案件ですから今更罪を問いただすのは無理でしょう?」
「そうですね。この件については無罪判決が下されると思いますが、次の試験では気を付けた方がよろしいですよ?」
「その忠告に来てくださったのですね。ありがとうございます」
「それともし僕の身内に何かあった場合、僕はあなたたちを決して許しません。こんな連盟、一晩で潰して差し上げますので、妙な真似はなさらないでくださいね」
「ルシファー様のご子息に手を出すなんてめっそうもございません!」
「では僕はこれで帰ります」
「はい、お勤めご苦労様でした」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第117話。