ゲイザーは申し訳なさそうに言いました。
「お話中のところ、大変恐縮ですが…。リリムさん。そろそろカードの中に戻っていただけますか?」
「えーっ!勇者様ったらミケーラはお気に入りだからってしょっちゅう召喚してるみたいだけど、私の事はずっと閉じ込めて出してくれないんだもん…。酷くなぁい?」
「そんな意地悪な事はしていませんよ?リリムさんも休日には必ず召喚して、自由にさせていたんですから…」
「平日にも召喚してよ!ミケーラは平日にもたまに呼び出して会ってたんでしょ?」
「それは物知りのミカエル様のお知恵を拝借したくて…。遊んでたわけじゃないんですよ?」
「私だって勇者様より二千年以上長く生きてるんだから、年増のミカエルほどじゃないけど、物知りなのよぉ」
「ミカエル様が年増と言われましても、いつまで経ってもお美しいので、年上だと感じませんね」
「ふふ、私はもう五千歳近いですよ」
「うーむ、人間で言うと五十代くらいですか?では私と大体、同年代なのか…」
「一世紀に一度歳を取る感覚ですね。紀元前から生きています」
「天使族や魔族の年齢の感覚は人間の私にはわかりかねますが、実際に自分が五十代になっても、それほど歳を取った感覚はなかったです」
「勇者様はダンディーな男だから、若い頃より歳を取った方が素敵になるタイプよぉ?」
「ルシフェルとは同い年ですが、若い頃の方が素敵だったと思います」
「パパは歳を取ると魅力が下がっちゃうタイプだから損よねぇ」
「五十を過ぎてから女性たちからそう言っていただけて嬉しいですよ」
「私、ファザコンだから勇者様と一緒にいると抱かれたくてゾクゾクしちゃう」
「ハハハ!リリムさんのような若くて綺麗な女性が本気で誘っているわけではないのはわかっていますが、最近そう言われる事が増えてきましたね」
「やっぱりぃ?勇者様を狙ってる女が他にもいたのねぇ。私の方が先に目を付けてたのにぃ」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第109話。