ミッシェルは頰を赤らめながら、モジモジしています。
「それは…王宮にいればアーク様に会えると思ったから…」
「たったそれだけの理由で?信じられない…」
「王宮のシバルリーの話をリズ様から聞いて、居ても立っても居られなくなって…」
「残念ですが今は僕も歳を取って落ち着いたので、若かりし頃とは違うのですよ…」
「アーク様は今おいくつでしたっけ?見た感じだけだとすごくお若く見えますが…」
「もうじき二千五十歳になります。人間になってから十六年ほどなので、人間の年齢なら三十六と言ったところでしょうか?」
「あっ、私より十二歳年上なんですねー。全然オッケーです!」
「いえ、オッケーと言われましても…。妻とまた離婚の危機を迎えてしまうので無理です!」
「一回だけでも良いんです。どうしてもダメですか?」
「今度の評議会で男性に対するセクハラ防止の新法案を出そうと思います」
「ええっ!セクハラになっちゃうんですか?」
「どう見てもセクハラですよ?パワハラでもありますね。あなたは僕より地位が上ですから」
「ご、ごめんなさい!そんなつもりはなかったんです…。アーク様に嫌われたくないのに…」
「嫌ったりはしませんが、もうこんな事はお願いしてこないでください…」
ミッシェルが慌てて立ち去った後、背後からドス黒いオーラが漂っていたので、アークが後ろを振り返るとサルバドールが睨んでいました。
「そんな怖い顔をしてどうしましたか?サルバドール王子」
サルバドールは高級な壺をわざと落として割りました。
「お前が壊したと言って父上にお前をクビにしてもらう!」
「ふむ、この壺くらいなら弁償すれば、お咎めなしで済みそうですけどね」
「ミッシェルに手を出そうとしてたって言い付けてやる!父上もそれならお前を許さないはずだ」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第86話。