プレジダンが仕切り直しをします。公式試合初心者の為のルール説明もしてくれました。
「休憩を挟んで第二試合を始める。第一試合で先取点を取られたルーク選手の先攻なので、ヴィクトール選手は試合開始直後に、先制攻撃すると失格になりますから気を付けてください」
「コントラアタックルールか…。防御側に回るのは面倒だが仕方ない」
ヴィッキーは防御態勢を取りました。ルークはフルーレを構えます。力のない女性や子供向けの短剣と呼ばれていて、公式試合ならエペと言う長剣を使うのが一般的でした。
「アンガルド!エトヴプレ?アレッ」
プレジダンの掛け声に合わせて、ルークがフルーレで先制攻撃を仕掛けます。電撃を纏っているので素手で防御してもダメージを貫通させられるはずなのですが、ヴィッキーはビクともしていません。
「皮膚が硬すぎて電流を通さないのか?筋肉バカめ!」
「武闘家は脳筋だとバカにしてるのか?頭でっかちの魔術師が…。考えるより先に行動だ!」
ヴィッキーはフルーレを振り払って攻撃権を自分に移しました。ルークは慌てて結界を張ります。
「またこの結界か…。同じ手が何度も通用するか!結界の硬さは既に把握した」
重たい一撃を二発受けると三発目は貫通してしまいました。
「結界の最大ライフを最短で削れるだけのダメージを計算して与えたのか?その為にさっきはわざと弱パンチでチビチビ削って調べていたとは…。ズバ抜けた戦闘感覚だな」
貫通した拳を躱しながら、間合いを開きつつ、ヴィッキーを賞賛しました。
「しかもお前、結界を張った後、消耗して次の詠唱ができないんだろ?それがお前の弱点だ」
「洞察力も素晴らしい。相手にとって不足なしだ」
ルークは間合いに注意しながら、フルーレで牽制を続けて魔力を貯めています。電撃を纏っているので、ヴィッキーは迂闊に踏み込まずに、間合いをジリジリと詰めていました。
「その様子だと、少しは電撃が効いてるようだな」
「フン!蚊に刺されたほどの痛みしか感じないが、蚊に刺されるのは痒くて好きじゃないだけだ」
「だったら踏み込んでこい!チキン野郎が…」
「チキンはお前だろう?口の利き方に気を付けろ!女たらしのスケコマシが…」
「僕は女たらしのスケコマシなんかじゃない!ローラに聞こえたら誤解されるだろ?違うと訂正しろ」
「何度でも言ってやるさ?女のケツばかり追いかけてる、漢の風上にも置けない、元アラヴェスタ国王のような、ダメ男が!」
「おい…、そいつは言い過ぎだろ?あんなブタ野郎と一緒にするな!」
男子の中で一番の悪口が、この元アラヴェスタ国王に例えられる事でした。男の子は幼少期に元国王のようにダメ男になるなと、父親から躾けられているからです。
「頭ん中は女とやる事しか考えてないムッツリスケベなんだろ?ルークは…!」
「お前だってジュリーとやる事しか考えてない癖に!」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第70話。