ゲイザーは和かに笑いかけながら言いました。
「いつもフラウと仲良くしてくださっているので、そのお礼のようなものです」
「一曲目のステーキの唄の後に私に捧げると仰ってくださって感激しました!」
「グロリアさんのファンレターがなければ、おそらく私は歌詞を書こうとは思いませんでしたからね」
「私、ダーク様にお願いがあって来たんです」
「私にお願いですか?何でしょう…」
「ダーク様に…一晩だけで良いから…抱いて欲しいんです」
「そのお願いはちょっと聞けませんね…」
「どうしてですか?わざわざ特別席を用意してくださったり、大勢のファンの観ている前で私の名前を紹介してくださったのに…」
「ステージの上で名前を出したのは軽率でしたね。以後気を付けます」
「私、ダーク様にとって特別な存在なのだと思って嬉しかったのに…」
「グロリアさんはフラウと仲良くしてくださっていたので、大事にしようと思いました」
「ううっ…。こうなったら、あの事をゴシップ雑誌の記者にリークしますよ?」
「あの事とは?雑誌の記者にリークすると言われましても…。何の事やらサッパリ」
「ダーク様がマイケルと言う男とこっそり付き合ってると言う情報です!」
「えっ?マイケルと言うのは、もしやミケーラさんの事でしょうか…」
「そのミケーラさんはミスターレディなのでしょう?この事を雑誌の記者にバラされたくなかったら…、一晩だけで良いの。思い出にするから」
「すみません。バラされるも何も事実無根のガセネタですし、仮にリークされたとしても、そのような噂は前からありましたので、読者の皆さんは笑って済まされると思います」
「そ、そんな…。ダーク様に嫌われてしまうなんて…。もう生きて行けない!」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第53話。