ルークはしまったと言う顔をしました。公演の前日の夜には通し稽古が必ずあるのです。
「ああ、稽古の事をうっかり忘れていたよ…」
「明日の公演までに元の姿に戻れますか?主役のルシファーがいないと、公演を中止にしなきゃならなくなる」
「それが…この魔法は…そんな簡単に元には戻れないんです…」
「前売りチケットはすでに完売してるんです。払い戻しになると何千万も損害が出てしまう」
「そうなんですか…。困りましたね」
「劇団長から大目玉を喰らいますよ?違約金も発生するかもしれませんね」
「違約金ですか?いくらになるんでしょう…」
「それはわかりませんけど、明日までになんとかしてください。お願いします」
アークが帰宅したのでルークは違約金の件を相談しました。
「未成年者を働かせていた場合、未成年者に責任を負わせるのは法的に問題があるから、裁判になればこちらが勝てるかもしれないな」
「そうなの?僕、よくわかんなくて焦っちゃったよ…」
「まずこの脚本なのだが、未成年者に演じさせるような内容ではない。裁判になったらそこから攻めて行けば、なんとかなるだろう。心配しなくて良い」
「うん、でもそれだと僕が悪い事にされないかな…?」
「僕に一言の相談もなく、お前が無断で決めた事だからな。保護者である僕にも違約金を支払う義務はない!と主張するつもりだよ?」
「お父さんはやっぱり僕よりすごいなぁ」
「復活コンサートの日取りも決まっているが、チケットの転売問題で騒ぎになっていて頭が痛いよ…」
「チケットの転売問題って何?」
「もし払い戻しになった場合、十倍の値段で買わされた者からクレームが入るだろうね。でも転売チケットは合法ではないので、それ自体が罪だから差額の補償はない」
「僕の公演のチケットも転売されてるのかな?だとしたら迷惑をかけてしまうね…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第38話。