魔獣の気配がしてユリアーノは杖を構えましたが、ルークはポケットに手を入れたままで立ち尽くしています。
「立ち去れ!人間よ…」
「あなたはどうしてそこに隠れてるんですか?他の魔術師に見つかる前に、もっと遠くへ逃げたら良いのに…」
「まだ他の仲間たちがカードに封印されたままテントの中にいるからな。隙を見て助け出す」
「なるほど。仲間たちを助けたら、どこか遠くへ行ってくれますか?」
「約束しよう。結界があるので中に入る為にはダメージを受けてしまうんだ…」
郊外の森の中にあった闇市の特殊な結界の張られたテントの前にやってきました。入口の破れた穴はそのままになっています。
「ん?この前の結界よりは弱くなってるけど、やっぱり面倒なのをかけてあるね…」
「お主にはこの結界の種類がわかるのかね?」
「ユリアーノ様にはわからないのですか?この穴にもセンサーがありますよ…」
「本来は攻撃の属性による法則で結界を張るんじゃが、例えば剣に強い結界は魔法には弱い。魔法に強い結界は剣には弱い。しかしこれは両方に効果があるタイプらしい…」
「やはりよくわかっていらっしゃいますね。あの人事部の魔術師には、結界の種類すらわかってなかったっぽいです」
「お主の父親が張っていた結界もこれと同じタイプだったんじゃよ?」
「入るのも出るのも面倒なんですよね。でもここだけ弱くなってます」
「うむ、魔力を一点にぶつけておれば、一時的に開ける。これは魔剣士対策の結界じゃから、結界を張った術者が弱ければ、それより強い者は簡単に突破可能じゃ」
「結果を張った術者の最大ライフを削るダメージを与えれば突破可能な結界ですよね。術者の最大マナの魔力も一時的に結界に吸われます」
「お主の父親の結界は二十人で攻撃を続けてやっと開いたよ?」
「あれ…僕のお父さんは普通の第一級魔術師の魔力の十倍じゃなかったんですか?」
「この結界は魔力以外の攻撃も必要じゃったから騎士団員十名にも攻撃を繰り返してもらったんじゃ。それも含めたら二十人じゃった」
「でもこの前の結界の方が僕には厄介でしたけどね。戦闘力の低い者ほど突破しやすい結界でしたから。サルバドールがいなかったら、簡単に突破出来なかったと思います」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第61話。