ある日、サルバドールがナタに肩を貸して、行きつけの病院に向かっています。郊外まではルーシーで来ましたが、そこからは徒歩で行かないと行けない、入り組んだ場所にある小さな開業医が、ナタのかかりつけの医者でした。
「いつもごめんね。こんな面倒な事させて…」
「気にすんなって!たまに診てもらわないと心配だし」
突然、黒づくめの男たちが現れて、周りを取り囲みました。
「ナターシャ・マルヴェールだな?やっと見つけた…」
「誰だお前ら?道を開けろよ!」
「このガキは殺しても構わないか?」
「いや、殺すなと指令を受けている」
サルバドールはナタから離れると、護身用のフルーレを腰から引き抜きました。
「ダメよ!サルバドール、怪我をするわ」
「でもこいつら、悪い奴に決まってる!」
ナタは黒づくめの男に捕らえられてしまいました。サルバドールが男に斬りかかります。電撃のようなものを受けて、その場に倒れました。
「まさか…!殺したのか?」
「いや、死なない程度に手加減はしたよ」
「このガキを殺すと交渉が難しくなるからな。あのお方を怒らせるとまずい…」
しばらくしてサルバドールは動けるようになりました。フラフラしながら起き上がってマルヴェールの邸に帰ろうとしますが、足がもつれて走れません。夕暮れ時にやっと邸に辿り着きました。子供の姿のルークが心配しながら待っています。
「サルバドール、お母さんはどうしたの?病院に行ったはずだけど、入院する事になったのかな」
「悪い奴らに…拐われた…。ごめん…!僕が弱いから…守れなくて…。もっと…強くなりたい…」
「お母さんが拐われた現場に連れて行って!」
大人の姿に変身したルークは、フラつくサルバドールを支えながら、暗くなりかけた住宅街を歩いて行きます。
「この辺りだ。黒づくめの男たちに囲まれて、戦おうとしたんだけどダメだった…」
「僕に知らせてくれただけでも助かったよ?」
ルークは落ちていたフルーレを拾うと、サルバドールに手渡しました。更に何か手がかりがないか、目を皿のようにして探し回ります。街灯の明かりだけで薄暗くなっていて、サルバドールにはほとんど何も見えません。
「もう暗いから明日探した方が良くないか?」
「僕は夜目が効くから大丈夫だよ?暗くてもよく見えてる。あっ、これはもしかして!」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第42話。