図書館の奥にある人の来ない部屋で、二人は話しています。
「サルバドールとは仲が良かったのですか?」
「いえ、何度か口説かれた事もありますけど、いきなりキスしようとしたので、ひっぱたいた事もあります…」
「そんな事があったのか…。サルバドールならあなたの同級生なので、その弟として僕も一緒に家に行くのは大丈夫でしょうか?」
「サルバドールの弟だったの?そう言えばサルバドール・マルヴェールってフルネームだったわね…」
「サルバドールはマルヴェール王家の養子になってるので、使い魔だったルシファーもマルヴェールの姓を名乗っていました」
「なんだか複雑な家庭環境なのですね…」
「子供の姿の方が安心するなら、子供の姿で行きます」
「えっ…どう言う意味ですか?」
「僕はまだ九歳の子供なんです。魔法であなたと同じくらいの歳に変身しています」
「そんな魔法があったなんて…」
「騙すつもりはなかったのですが、子供の姿では相手にされないと思ったので」
「ちょっとショックです…。そんなに歳下だったなんて思わなくて…」
「僕もサルバドールもフラウ・マルヴェールの養子なので、僕はサルバドールの弟になりますし、母のナターシャ・マルヴェールは戸籍上、姉になってます」
「複雑過ぎてお昼の演劇よりもドロドロしてますね…」
「あなたのお母さんには兄を連れて行くと言ってください。僕は弟として勝手について行きます」
「わかりました。男友達を連れて行くのは初めてなので、母が許してくれるかどうかわかりませんが、サルバドールなら何度か会ってて母もよく知ってるし、警戒しないかな…」
「サルバドールは僕と違ってムードメーカー的な存在なので、家の中の空気を明るくしてくれてましたよ」
「確かにサルバドールはお調子者で、一緒にいて楽しくて友達としては好きでした」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
どうしても書きたくて書いた裏の続き、第16話。