女性は困ったような表情でしたが、断り切れずにこう言って約束しました。
「いきなりだと母が驚くので、あなたの事を母に話して外で会ってから、家に来るのはどうですか?」
「そうですね。先に言っておくと、実は僕の名前は貸出カードに書いたのは偽名なんです。本名は…ルーク・マルヴェール。ルシファー・マルヴェールの実の息子です」
「こんな大きな息子さんがいたなんて…」
「ルシファーは二千歳を超えてますからね。人間ではなかったんです」
「それは母から聞いて知ってました」
「お母さんにその事も伝えてください。アークの息子が会いたがっている…と」
「人間にはあんな綺麗な声で歌える人はいないって母も言ってました」
女性が軽食を済ませると、ルークが会計をしてその日は別れました。翌日また図書館に大人に変身したルークが現れると、母親からの伝言を詳しく話します。
「母は疑ってるみたいでした。でも私には偽者とは思えなくて、母を説得したのですけど…」
「あなたの家に僕がいきなり行くのはやはりダメですか?」
「母に叱られると思います」
「やっと見つけた手がかりなのに…」
「母は本人なら絶対に本名は名乗らないと言ってました…」
「本名を先に名乗ったのは、後で言うと失礼になるかもしれないと思ったからです。騙す気はありません」
「身分証明できるものは何かありませんか?」
「すみません、アカデミーにも通っていないので生徒証すらないです」
「本当に本人だったらアカデミーなんか通ったら大変な事になりますよね…。私はあの事件のあった頃、まだ九歳だったのでアカデミーには通ってなかったんですが、アカデミーをサボってた子以外、当時の生徒はほぼ全員皆殺しにされたらしくて…」
「と言う事はあなたは十九歳なのですか?サルバドールと同い年か…」
「サルバドールなら同級生なのでよく知ってます。アカデミー卒業後、私はすぐここに就職したけど、サルバドールはどうしてるのかな?」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第15話。