大人に変身する魔法で、アークそっくりな青年になったルークは、図書館に雑誌を返しに来ました。受付にいた顔見知りの女性が焦っています。
「ああ、返しに来てくださって良かった…。あの後、館長に叱られたんです。勝手に持ち出させるな!って…」
「無理を言って、すみませんでした。とても参考になりました」
「こんな雑誌、そんなに大した事書いてないと思うんですけど、館長は大事な資料だと仰ってて」
「迷惑をおかけしたので、今度この埋め合わせに食事でも一緒にどうですか?」
「えっ!食事に誘っていただけるなんて…。もちろん行きます」
次の休日に恋人たちの待ち合わせ場所になっている噴水広場のベンチに、アークそっくりなルークが座って待っていました。女性はオシャレをして現れます。
「待たせてしまって、ごめんなさい」
「いえ、時間通りですね。僕が早く来過ぎたんですよ」
「私も少し早めに来たつもりだったので、ビックリしました…」
「ケーキの美味しいカフェがあるので、行きましょうか?」
「はい…。楽しみにし過ぎて昨日から何も食べてなくてランチもあるかしら?」
「ハハハ!確かカフェには軽食もあったと思います。他の店にしても良いですよ?」
「軽食で大丈夫です。緊張して喉を通るかもわからないし」
「そんなに緊張しないでください…」
「だって…、あなたはいつも図書館に現れる憧れの人だったんです」
「僕もあなたの事が気になってたんですよ?」
「本当に?夢みたい…」
カフェに入って軽食を注文しても女性は一口も手を付けません。
「やっぱりお腹が空いてるのに食べられない」
「僕と一緒にいても楽しくないですか?」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第13話。