ボラージ邸の中に入るとキッチンではルリの母親が自慢の腕をふるって、ルリの大好物をたくさんこしらえていました。ジンもルリと一緒に舌鼓を打ちます。
「ルリの母ちゃんは飯がうめぇなぁ。うちの母ちゃんと大違いだよ…」
「あんたでもまずいって思うことあるのね?」
「母ちゃんの料理は破滅的だったからなぁ…」
「なんでもうまい!って食べてる印象しかなかったわ」
「母ちゃんの料理に比べたら全部うまいよ?」
「ジン君のお母さんも一生懸命作ってくださってたんだと思うわ。お母さんが可哀想よ?そんな事言わないであげて」
「うちの母ちゃんはただ単にぐうたらで家事は一切やらない女だったんだよ。父ちゃんはイケメンだったらしいけど、母ちゃん置いて逃げちまった最低野郎だし…」
「そう言えばジンのお父さんって見た事なかったな…。あんたにそんな哀しい過去があったなんて知らなかったわ?」
「別に哀しくも何ともないけど?俺が父ちゃんに似てるって言われるのがちょっと嫌だったけど」
「と言う事はあんたのお父さんってかなりの色男だったのね?」
「それってもしかして俺が色男って意味か?」
「顔は悪くないって昔から思っていたのよ。性格が嫌いだっただけだから」
「ガキの頃に頭におしっこかけた事、根に持ってるのか?」
「それ以外にも色々とあるのよね…。覚えてないみたいだけど」
「多分、ガキの頃の俺は馬鹿だったから好きな子に意地悪して構って欲しかったんだろうな」
「それはクレス先生からも言われたけど、それであんたの事好きになるわけないじゃない?」
「確かに頭におしっこをかけるのはちょっとやり過ぎだと思う」
「お父さんもそれ以来あんたが来ると追っ払ってたみたいだし」
…つづく
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処女作の復刻版、第90話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。