ジンとルリはお互いに求め合って、激しく愛し合いました。
「こんな事をして試作品の義手に負荷がかかってなければ良いのだけど…」
「これくらいの負荷に耐えられないようでは実質上、私生活には支障をきたすだろう?」
「あんたってたまに論理的になるわよね」
「そうか?ルリに好かれたくて少し頭良く見えるように話そうと努力はしてたんだけど」
「頭良く見えるように話す事自体が頭良くないと出来ないでしょ?あんたってバカなのか賢いのか、本当にわからないわ」
「俺が勇者だからかもな?考えてる事がわからないのは敵の裏をかけるって事だからさ」
武術大会の開催日まで義手は特に不調はなく、ジンは万全のコンディションで試合に臨む事が出来ました。
「イノンドとは決勝戦まで当たらないな。それまでに負けなきゃ良いけどね。このトーナメント組み合わせは運が良いのか悪いのか…」
「私にとっては運が良いです。すぐに負けてしまっては姫さまに申し訳が立ちませんから…」
「いつ当たっても負ける時は負けるんだから、同じだろ?」
「同じではありませんよ?初戦敗退と決勝戦で敗北して準優勝に終わるのは全く違いますからね」
「確かにイノンドに初戦で当たると俺は負けてしまうかもしれないからな」
「いえいえ、私などジンジャー殿の足元にも及びませんよ」
「そんな事言ってる奴に限って勝つんだよな」
「本当に自信がないのです」
「まあウォーミングアップのつもりで初戦は頑張って来るよ?」
「私も決勝戦でジンジャー殿とお手合わせ出来るように頑張りますよ」
「それじゃお互いに決勝戦で会えるようにここに祈って…」
ジンが腰の剣を右腕の義手で引き抜いて天に向かって高く掲げました。イノンドも剣を右手で引き抜いて剣と剣をぶつかり合わせます。
「私もお互いの勝利をここに祈りを捧げます」
…つづく
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処女作の復刻版、第81話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。