ルリはジンの体調の変化を記録した折れ線グラフを作成していました。
「ボラージ君、ちょっと込み入った話があるんだが…」
「ジンの悪口なら後にしてくれる?今、忙しいの」
「彼の事を悪く言うつもりはなかったんだ。どうか誤解しないで欲しい。僕は色恋沙汰で誰かと争った経験も今まで一度もないんだよ」
「そんな事言われなくたってわかってます。むしろあなたがどうしてジンに対して好戦的な態度なのか不思議だったの。あなたは私情を挟むような人ではなかったし、パートナーとして信頼してたわ」
「正直に白状するよ。少し私情を挟んでしまって君を振り回してしまった事は反省している」
「別に振り回されるってほど酷くもなかったからなんとも思っていないけど?」
「僕とのパートナーを解消すると言うような真似だけはやめてくれたまえ」
「そんな事考えてもいなかったわ。今回の実験はあなた抜きでは考えられないもの。私にはない知識をあなたはたくさん持っているから、尊敬しているのよ」
「僕も君を尊敬している。初めてなんだ。女性に対して、こんな邪な気持ちになったのは…」
「ロイが私の事を女として見てくれるのは嬉しいけど、その気持ちに応える事は出来ないの」
「君に会うのがあと一年早ければ僕にも少しはチャンスがあったのだろうか…」
「あなたはとても素敵な人だから、他にいくらでも相手は見つかるわ」
「誰でも良いなら今すぐにでも付き合える相手はいるよ?」
「そうでしょうね。機械科で首席のあなたを他の女がほっておくわけがないわ」
「途中編入で魔法科の首席になってる君ほどではないよ?余程の才能がない限り、途中編入なんて認められるはずがないのだから」
「クレス先生の紹介状がなければ無理だったでしょうね。魔法指数が通常値を大幅に上回っていたみたい」
「歳上だからやめろって親友には言われたんだが、そんなものは気にならないほどに君は魅力的に見える」
「ふふ、ここは実力の世界だから年の差なんてほとんど関係ないわよね。あなたと話してる時は対等に話せるけど、他の人と話してるとそうは行かないから」
…つづく
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処女作の復刻版、第82話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。