セルフィーユのアカデミーのキャンパス内にある、魔法科の研究室にやって来ました。魔法科なのになぜか精密機器がたくさん置いてあります。
「今は機械科の生徒とも合同で研究を進めているの。私のやろうとしてるのは魔法と機械の融合だから、魔法科だけでは義手は作れないわ」
「ルリはこんなところで研究をしてるのか…」
「こっちよ?付いて来てちょうだい」
ルリはボラージのネームプレートのあるロッカーから白衣を取り出すと羽織ります。ロッカールームの前にジンが立っていると、他の研究員が話しかけて来ました。
「ボラージ君、部外者を入れるのは困るよ?」
「モニター志願者なの。彼の右腕に試作品を取り付けるから手伝って」
「なるほど、志願者の名前を伺っておいて良いかな?」
「ジンジャー・エール」
ジンが答えると、研究員の男は帳簿に記録を付けています。
「ジン、彼は機械科の首席の生徒なの。今回の実験の最高責任者に任命されてるわ」
「ルリが最高責任者じゃなかったのか?」
「私は発案者で彼は開発者って事になるわね」
「難しい事はよくわからないが、特許とか取る時はどうなるんだ?」
「それはアカデミーが取る事になるのかしら?私は特許取得する気はないのだけど」
「ボラージ君は甘いな。アカデミーに特許を取らせたら、僕らには壱ジェニーも支払われないよ?特許は僕と君の名前で出願中だ」
「あら?私の名前も入れてくれてたのね」
「発案者は君だからな。特許申請が通ったら仲良く山分けしようじゃないか?」
ルリはジンの包帯を解いて右腕の切り口をアルコールを垂らした綿で丁寧に拭き取ります。奥の部屋のベッドにベルトで両手両足と胴体を固定されて寝かされます。
「少し痛みがあるかもしれないけど、我慢してね」
ルリにそう言われてジンが頷くと研究員の男が乱暴に義手をジョイントしました。全身を激痛が駆け巡ります。
「いてぇなぁ!もっと優しくやれよ?わざと痛くしただろ」
「フン!ボラージ君の胸ばかり見てニヤニヤしていたからだよ?良い薬だろう」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
処女作の復刻版、第77話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。