ジンとルリが一緒に帰ろうとすると研究員の男が追いかけて来ました。
「こんな得体の知れない男と一緒に帰るなんて危険だ。僕がボラージ君を送って行くよ」
「得体の知れないって…。この勲章が目に入らないのか?俺は一応、セルフィーユでは有名人なんだが…」
「ジンジャー・エールという名前なら、セルフィーユ・タイムスで読んだよ?」
「紹介が遅れたわね。ジンは私の幼馴染で、今は結婚を前提にお付き合いしてるの」
「こんな奴と婚約してるのか?信じられない!君はもっと聡明な女性だと思っていたのに…」
「おい、お前!失礼な奴だなぁ。ルリと婚約してるのが、こんな奴で悪かったな?」
「いい加減な奴に見えるけど、これでも結構、中身は芯が通ってるのよ?」
「幼馴染だから情にほだされて、付き合ったと言うところか?」
「ロイ!それ以上、失礼な事言うと許さないわよ?ジンは私の大事な彼氏なんだからね」
「君は彼氏なんか作らない真面目な女性だと思っていたのに…」
「十八まではそうだったわ。十九になってから彼氏が出来たの。学業優先だからデートは滅多にしてないけど、彼も騎士団の仕事で忙しいのよ」
ロイを振り切ってジンはルリの部屋に帰りました。
「まさか休日までロイが研究室にいるとはね」
「あのロイって奴、ルリに気がありそうだったけど…」
「普段は真面目で良い人なんだけど、今日はちょっと様子がおかしかったわね」
「はぁ…ルリは美人だからアカデミーで他の男が手を出さないか心配になるよ」
「余計な心配はしなくて良いわ。私が浮気なんかするわけないでしょ」
「ロイには気を付けろ?ありゃ絶対にお前に惚れてる」
「ロイが何かしてくるとは思えないのだけど」
…つづく
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処女作の復刻版、第78話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。