旅の途中でルリがこんな事を言い出しました。
「ねぇ、今から妖精界に行ってみない?」
「妖精界?そんなもんどこにあるんだよ」
「えっとね、ゲートは色んなところにあるんだけど、ここから一番近いのは…」
「ところでその妖精界と言うのは、人間が行っても良い場所なのでしょうか?」
「本当はダメなんだけど、イノンドさんは良い人だし、ジンはメリッサを倒した勇者だから、多分、大丈夫だと思うよー」
ルリが見つけたゲートを通ると突然、目の前に大きな樹が現れました。
「こんなところになんでこんなでかい樹が…」
「異次元空間を通り抜けたからだよ?さっき通ったゲートは時空の歪みさ」
ゲートの番人がルリに話しかけてきます。
「お前はルリジサ・ボラージの魂を持った妖精だな?」
「うん、妖精界にいた頃の記憶はあるんだけどルリが生きてた頃の記憶はないんだよね」
「ルリジサ・ボラージは勇者の素質を持っていたのに、若くして亡くなってしまったから、妖精として転生させたのだ。妖精の王であるオベロン様のお計らいでね」
「ふーん、そうなんだ。ここにいるジンも勇者の素質があったんでしょ?」
「ジンジャー・エールには勇者の素質はなかったはずなのだが、ルリジサ・ボラージが死んだ後に突然、覚醒して勇者の素質が芽生えた。非常に珍しいケースなので、天界の者も気にかけていたよ?」
「イノンドさんは勇者の素質あるのかなぁ?」
「ディル・イノンドは勇者を助ける素質があった。だから勇者を見つけると、自分から仲間になりたがる」
「なるほど、それで私は窃盗の罪を犯してまでジンジャー殿と一緒に旅をする事を選んだわけですね」
「うーん、頭の悪い俺にはわからない事だらけだな…」
「ボクね、人間の女の子になりたいんだ。どうすればなれるのかな?」
「えっ、妖精って人間になれたりすんのか?」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
処女作の復刻版、第46話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。