ジンがいくら説得してもユーカリ姫は頑なに首を縦に振りませんでした。仕方なくセルフィーユ城を跡にすると、郊外にあるイノンドのテントで合流しました。テントの中は焚き火も出来る構造になっています。
「ジンジャー殿!無事で何よりです。しかし右腕の怪我はどうなさったのですか?」
「メリッサは倒せたが、メリッサの魔力でくっ付けた右腕を失ったようだ」
「ふむ、大変だったようですな」
「お前の元恋人のユーカリ姫に会ったぞ」
「な、なんと!ユーカリ姫は元気にしておられましたか?」
「まだお前を愛していると伝えてくれと頼まれた。一緒に逃げようといくら言っても聞いてくれなくてね」
「姫さまはルバーブ国民が圧政で苦しむのを見たくないのです」
「一般市民の俺には理解不能だが…」
「私も一般市民ですので、姫さまのお心は計り知れません」
「イノンドさんの元カノ?どんな人なんだろ!一度会ってみたいなぁ」
「お前はイノンドと婚約してるんだから、お姫様は恋敵だろ?」
「イノンドさんが好きになるって事はめちゃくちゃ良い人なんだと思うし、ボクとも仲良くしてくれそう」
「妖精の感覚も人間の俺にはよくわからんな」
「ボクは良い人が好きなだけだよー。クレス先生もイノンドさんも大好き」
「そう言うのを二股って言うんだぞ」
「人間の恋愛感情とは少し違うからなぁ。ただ純粋に好きなだけ。だから性別とかどっちでも良いし、妖精には性別はないからね」
「確かにお前は男だか女だかわからん奴だな」
「妖精は本気で誰かを好きになると性別が変わる生き物だから、イノンドさんを本気で好きになったらボクは女の子になると思う」
…つづく
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処女作の復刻版、第44話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。