ゲイザーは困ったような顔をして言いました。
「最後のお願い?何でしょうか。私に出来る事なら良いのですが…」
「最後に一度だけ私を抱いてください…」
「これから別れると言う男に抱かれたいのですか?理解できません」
「あなたはこれまで一度も私を抱こうとはなさらなかった」
「結婚するまでは女性に淫らな行為をしてはいけないと習っていたのです」
「そんな教えを守っている騎士なんて他に一人もいませんよ?」
「それだけは出来ません。他のお願いなら聞きます。欲しいものがあれば、貯金が少しあるので買ってきます」
「欲しいものなんてないわ!あなた以外に何もいらない…」
サラはゲイザーの胸にすがりつきました。
「いけません…。私から離れてください」
「ゲイザー様のここ、硬くなってる…。私に反応してくださってるなんて、嬉しい」
「そんなところを触らないでください…。理性で抑えられなくなる!」
「私、ずっとゲイザー様に抱かれたかったんです。最後に一度だけ…お願い…。一生の思い出にするから」
「ダメです!これ以上、私を誘惑すると怒りますよ?」
ゲイザーが本気で怒っているところを初めて見ました。サラはすぐにしおらしくなって謝ります。
「ごめんなさい…。でも…あなたが好きなの。今まで出会った誰よりも…愛してる」
サラの話を聞き終わって、執務室の自分の椅子に腰掛けたアークは頭を抱えました。
「ううっ…、ゲイザーはナタもサラも一度も抱かずに落としたのか?そんな話、聞いた事もない!一体、どんな手を使ったんだ?」
フォンはサラの化粧が涙で落ちかけてるのに気付きました。
「サラ、泣いていたのか?アークが何かしたなら、わしはあいつを許さんぞ!」
「いいえ、昔の事を思い出してしまって…。アークにはゲイザー様の事を聞かれただけです」
「ゲイザーか…。わしを倒した唯一の男だからな。まだあの男は死なせるべきではなかったのだ」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第105話。