ゲイザーがよくとっていた顎に手を当てるポーズをアークがとったので、フラウは一瞬ドキッとしてしまいました。顔をブンブン振ってそれを振り払います。
「なるほど、君はもう僕の事は愛してないと言うんだな?」
「いいえ。あなたの事は今でも愛してるわ…」
「だったらどうして?ゲイザーの幻影を追い続けるんだ!」
「私はあなたをゲイザー様の代わりではなく、アークと言う別の男として愛してるの。ゲイザー様とあなたは一切関係ないわ」
「君にとって僕は常に二番目の男だった、と言うわけか…」
「あなたにとっても私は二番目の女なのでしょう?私はそれを理解した上で愛していたわ。二番目で構わない…とね」
「あなたをコントロール出来るのは、ゲイザー様だけ…と言う事か?」
「私は誰にもコントロールされてないわ。ゲイザー様が私をコントロールしようとしていたならば愛してなどいないと断言します。それで今日は一体、何の用でここに来たの?」
「僕の頼みなど聞く気はないのだろう?」
「無理なお願いでなければ聞きます」
「サルバドールの事なのだが…」
「サルバドール?可愛い子よね。家事もお手伝いしてくれるし、助かってるわ」
「サルバドールをそちらで引き取って欲しい」
「私とサルバドールが養子縁組をするって事?ナターシャちゃんとは相談したの?」
「僕は反対だったんだ。ナタが引き取ると言うから断りきれなかった」
「夫婦間で相談が出来てない時点でダメね…」
「サルバドールがいると夫婦仲がどんどん冷めてしまうんだよ」
「私は新婚の頃から、ナターシャちゃんと一緒に暮らしていたけど、夫婦仲は冷めなかった。サルバドールも良い子だから大丈夫よ?」
「僕の心眼でわかっている。あの子供は大人になるとろくでなしになる…」
「ふふ、サルバドールはあなたに憧れてるみたいよ?ルシファーみたいになりたいって、いつも言ってるもの」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第92話。