数日後、闘技大会参加者募集と投票券の販売が終了して、アラヴェスタ・タイムスの臨時版でオッズが発表されました。一番人気はもちろんアークですが、オッズがとても低いようです。
「やっぱりアークが一番人気だねー。私ならおじさんの投票券買うんだけどなぁ…」
「私はオッズがかなり高いからね。ある意味、オススメと言えるな…」
「オッズが高い方がオススメなの?」
「ああ、この前も説明したけどトーナメントくじは一番割に合わないギャンブルなんだよ。アーク殿に賭けても儲けは少ない。それなら大穴狙いでオッズの高い投票券に賭ける方が夢があるだろう?」
「そう言えばおじさんと仲良しのベンおじさんって人は、いつも大穴狙いだよねー。あれって賢い買い方だったの?」
「そうだね。どうせ夢を買うなら大きい方が良いだろう?当たらないのがわかっていても、夢は大きい方が楽しみに出来る。そのワクワク感に金を払っていると思えば良いんだ」
「アークの投票券を買ってるのって多分ほとんどファンの女の子たちだと思う」
「彼女たちはアーク殿が勝てば喜ぶから配当金は目当てではないのかもしれないね。それはそれで夢があるから良いんじゃないかな?」
「ふーん、ギャンブルって悪い事だと思ってたんだけど、おじさんにそう言われると楽しい物なのかなぁって思えてきたよー」
「あまりナターシャにはギャンブルに手を出して欲しくはないのだけど…」
「大丈夫!夢を買うだけだから、おじさんの一枚買うだけにするー。今から二十歳になるのが楽しみ」
「ははは!ギャンブラーにだけはなってはいけないよ?元ギャンブラーの私に言える資格はないのかもしれないが…」
「ギャンブルでも何でも勝ち続けるなんて、おじさんにしか出来ないと思うよー?」
「私のはイカサマではなかったのだが…。アラヴェスタの酒場では要注意人物として、マークされてしまってるよ?」
「あんまり勝ちすぎても良い事ないんだね…」
「ああ、そうだよ。あぶく銭はすぐに消えてなくなる。汗水流して働いて稼いだ金だから大事に使おうとするからね」
「イカサマとかする人って何が楽しいんだろうね」
「私が一番心配しているのはアーク殿が八百長試合をする可能性だよ?普通に戦えばアーク殿が優勝するだろうね。しかしもし裏で金を渡されてわざと負けたとしたなら…」
「アークがそんなことするわけないよ!」
「私もそう思っているよ。だけどギャンブルは裏のある世界だからね」
ナタは胸の谷間に挟んであったアークのカードを取り出して、議員の黒服姿のアークを見つめていました。
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第148話です。