アラヴェスタの劇場で大人気の名犬ジャッキーにそっくりなモフモフの大型犬になったジョルジュを連れて、ゲイザーたちは休日に魔界までやって来ました。
「まさか人間になって、また魔界に来る事になるとはな…」
ナタに召喚されたアークも一緒に魔界へ来ていました。ジョルジュの進む方向へ、みんなで進みます。
「今日はラミアの鱗を探しに来たのです」
「ラ、ラミアの鱗だって!なぜ、今更そんなものを…。残念だが、ラミアはもうとっくの昔に死んでいるよ?」
「全滅してしまった…という事ですか?」
「ラミアは…。いや、なんでもない」
更に深い地下へと続く洞窟を見つけて、ジョルジュが入り口の前でワンワンと甲高く吠えました。
「どうやらラミアはこの中にいるようですね」
「そんな…!ラミアがこんなところにいるはずがない。この犬は本当に役に立つんですか?」
「ジョルジュは優秀で利口な犬ですよ?」
気の進まなそうなアークを尻目に、ゲイザー御一行は意気揚々と洞窟に入って行きます。洞窟の中はウネウネと畝る鱗が至る所から見えていました。
「ヘビがたくさん棲んでいるようですね…。気を付けないと毒を持った者もいるかもしれません」
「ヘビは僕と仲が良いから、我々を襲わないようにヘビ語で説得するよ?」
「アーク、ヘビ語もわかるんだ?すごーい!」
アークがシャーシャーとヘビ語を話して先導しています。難なく最奥の祭壇までやって来ました。祭壇の上には絶世の美女が横たわっています。
「あ、あの綺麗な女性は一体…」
「ゲイザー様…。鼻の下が伸びてます!」
「すみません…、フラウ。こんなところにあんな綺麗な女性がおられるとは…、思いもしませんでした。もしかしてあれがラミアなのでしょうか?」
「でもあの女性には鱗がありませんね。背中にコウモリの翼がありますが…。古文書の記述と大きく異なっています」
「あ、あれは…リリスに瓜二つだ!」
アークが驚いて叫んだので、祭壇の上で寝ている美女が目を覚ましました。
「うーん、よく寝た!あら?あなたたちは…」
「起こしてしまってすみません。ラミアの鱗を探しているのですが…ご存知ありませんか?」
「ちょっと待って!あなたの後ろに立ってる超絶イケメンって、死んだパパにそっくりなんですけど?パパみたいなイケメンが、他にもいるだなんて…」
「まさか…リリムなのか?大きくなったな…」
「えっ、アーク殿の娘と言うことは二千年前に産まれたと言っていたリリスさんの子供の?」
「オイラは子供に見えるけど中年オヤジだが、このねぇちゃんは若く見えても年増のババアなのか?」
「失礼ね!私、まだピッチピチの二千百三十歳よ?魔族では結婚適齢期なんだからね!」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第142話です。