ゲイザーとフラウの夫婦喧嘩は、ますますヒートアップしていました。
「嘘です!ゲイザー様は綺麗な女性がいるといつも鼻の下を伸ばしていらっしゃるし…」
「男とはそう言うものなんです。綺麗な女性がいると表情が緩んでしまうし、自分に好意があるとわかれば、素直に嬉しいと感じます」
「ゲイザー様は女性に興味がないと思っていたのに…」
「私は意外に惚れっぽいんです。好きだと言われたら、その女性をすぐ好きになってしまう事が多かった」
「サラさんの事もそうだったみたいですね。サラさんはゲイザー様がなぜプロポーズして来たのか、わからないと言っていました」
「私はモテないので女性から好きだと言ってもらえたら、このチャンスを逃してはならない!と思ってしまうのです。それがサラやフラウのような美人なら尚更。据え膳食わぬは男の恥と言う諺もありますから」
「ゲイザー様はモテますよ?なぜ気付かないんですか!グロリアだってゲイザー様に抱かれたいと思ってるんです…」
「グロリアさんは私に怯えてるように見えますけどね」
「グロリアは抱かれたい男ランキングでいつもゲイザー様に投票しているそうです。私もそうしてますが、いつもアークが一位ですね」
「そんなランキングがあった事すら、昨日まで知りませんでしたよ…」
「私は二十歳でマルヴェールを出てから、アラヴェスタで聖職に就きましたが、それはゲイザー様以外の男性から求婚されても、断る為の口実だったのです」
「フラウほどの女性ならば、いくらでも相手はいたでしょうね」
「ええ、でも私はゲイザー様以外の男性には全く興味はなかったのです。だから初めて結ばれたあの夜は…本当に幸せでした」
「フラウは他の男性を良いなと思う事はないのですか?例えばアーク殿に抱かれたいと思った事は…」
「あるわけないでしょう!馬鹿にしないでください。アークなんてちっとも興味ありません」
「不思議ですね…。私の経験では男の浮気を疑う女性ほど、自分は浮気願望が強いですので」
「ゲイザー様が浮気をしないのはわかっています。でも不安なんです…。あまりにも素敵な人だから」
「私はフラウが浮気などするわけがないと思っていますよ?なぜなら私自身が浮気をしないからです」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第129話です。