アークはゲイザーに疑問を投げかけることにしました。
「ゲイザー様は恋愛だけでなく、子育てもお上手だと思っております」
「子育てと言われても…。ユリアーノ様にもそう言われて、ユリアーノ様とミネルヴァさんの死後は、私にユリアーノ様の子供を預けると言う内容の遺言書を預かっております」
「ユリアーノ様もゲイザー様に預ければ、安心して天国へ旅立たれることでしょう」
「ナターシャは頭の良い子なので、私の言いつけはちゃんと守りますからね。そこら辺にいるワルガキは可愛がれる自信がありませんよ?」
「ナターシャ様をどのように躾けて、あのように素晴らしい女性に育て上げたのか、参考までにお尋ねしたいのです」
「私の母から私が幼少の頃に言われていた事なのですが、ナターシャにいつもこう言っていました。ありがとうとごめんなさいが言える子になりなさい」
「感謝と謝罪の気持ちを伝える言葉ですね…」
「ええ、感謝と謝罪ができれば、大抵のことは上手く行くものです。しかし、それが出来ない者がとても多いのが悲しい現実ですが…」
「そんな簡単なことが出来ない者が、どれだけ多いことか…。よくわかります」
「他のことは何も出来なくて良いです。ただ、ありがとうとごめんなさいが言えるようになれば、人から愛されるようになります。これが私の母のたった一つの教えでした」
「流石ロレイン様…。人間でありながら心眼の持ち主」
「まあ母の教えを実行して来て、私は人から愛されていると思えずに生きて来ましたけどね」
「ゲイザー様は愛されておいでですよ?」
「愛されているのは妻のフラウ限定ですが…。たった一人の女性から愛されていれば、私は満足ですけどね。母の教えは間違っていなかったと、今では思えるようになりました」
「私はたった一人の女性から愛されたいのに、どうでも良い相手からしか愛されなくて悩んでおりました」
「フラウはなぜか私がモテると勘違いをしていて、グロリアさんと話している時、私が楽しそうに話すので、本当はグロリアさんと付き合うべきだと言い出して、グロリアさんは既婚者なのに…」
「フラウ様は自己犠牲的な考え方ですね…。私はナターシャ様が他の男と仲良く話していたりしたら、嫉妬してナターシャ様から、その男を引き離そうと考えますが…」
「アーク殿もそんな考えをするのですか?意外ですね…。私はただ、フラウと仲良くしてくださる女性がいたのが嬉しくて、グロリアさんと仲良くしようと思っただけなんですよ?」
「確かにフラウ様は女性から嫌われているようでしたからね…」
「女性は自分よりも出来る者を嫌う傾向がありますね。男性は自分よりも出来る者を好む傾向がありますが…」
「女性はなぜか男が悪くても、女性の方を攻撃対象にしますね。男が浮気した場合、なぜか浮気相手の女性を罵ります。浮気をした男の方が悪いと私は思うのですが…」
「うーむ、女性は弱者だからこそ同じ弱者である女性を狙うのでしょうか…。私は自分より強いと思える男にしか勝負は挑みませんね」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第95話です。