ラストホープに戻ったスマブラ四天王、ウォッチ、リィン、ダックハントは、
アスティマに今回の事を報告した。
「そうですか……元は人間だったものを殺すのは、あなた達には抵抗がありましたね」
「ああ。物資は手に入ったが、俺達の心は晴れていない」
「怖かったよぉ……」
カービィはぎゅっとマリオの服の袖を握る。
「大丈夫ですよ、カービィさま。必ず、この世界から脱出する事はできますから……」
「ホント!? ありがとう!」
カービィさまは本当に素直ですね……とアスティマは微笑んだ。
「じゃあ、物資も十分集まったところだし、俺達はちょっと休んでるぜ」
「ええ、お気をつけて」
アスティマに見送られながら、スマブラ四天王が休憩しようとした時。
ピカチュウは、フォックスとファルコがいない事に気付いた。
「おい、フォックスとファルコがいないぞ」
「ん? 本当だ……どこに行っちまったんだ?」
その頃、フォックスとファルコは……。
「なんで、俺達がこんなところにいるんだよ」
「知らねぇよ、気が付いたらこんなところにいたんだよ」
気が付くと、アンノウンリージョンに飛ばされていた。
「あの女の目を見ちまったせいで、また彷徨い生活に逆戻りだぜ」
ファルコが言った「あの女」とは、人を操る力を持った女性、ハオスの事だ。
フォックスとファルコは彼女に操られて、ラストホープを出ていったらしい。
「あの女を絶対にぶっ潰してやる!」
「ファルコ、気持ちは分かるが彼女を倒すよりも先にラストホープに戻る方を優先させろ。
今、彼女に出会う事はほぼないだろうし、仮に出会っても返り討ちに遭うし」
「ちっ……しょうがねぇな」
ハオスに激しい敵意を抱くファルコを、フォックスはひとまず落ち着かせた。
フォックスとファルコがアンノウンリージョンを探索していると、巨大蜘蛛と蛆の塊が現れた。
「雑魚に用はねぇんだよ!」
ファルコはブラスターを連射し、羽で巨大蜘蛛を切り裂き撃破する。
蛆の塊は集団でフォックスとファルコに絡みつき、噛みついた。
「いててててて!」
「数の暴力か。ならば!」
フォックスは得意の足技で蛆の塊を薙ぎ払い、そこにファルコの連続攻撃が入って蛆の塊も弾け飛んだ。
「この辺の魔物は片付いたな」
「ファルコ、水が見つかったぞ」
「おお!」
フォックスが指差した先には、まだ飲めそうな水が20ミリリットルあった。
二人はすぐに袋の中にそれを入れる。
その物資を手に入れると同時にゾンビやゾンビ犬が襲い掛かってきたが、二人は軽々と蹴散らす。
「で、来た道は覚えてるのか?」
「それは……覚えていないな」
「俺もだ」
どうやら、フォックスとファルコは、ハオスに操られている間の記憶は消されていたようだ。
「ま、とにかく、手探りで探すしかないようだな」
「あぁ……」
その頃、アンノウンリージョンでは、黒い翼を生やした少年と太った男も彷徨っていた。
「おい、とっとと走らないと置いてくぞ、このブ男」
「ブ男じゃねぇ! オレ様にはワリオっていう立派な名前があるんだよ!」
少年の方はブラックピット、男の方はワリオだ。
この二人は全く息が合っておらず、口喧嘩ばかりしていた。
「じゃあ下品変態男」
「もっと酷くなってるじゃねぇか!!」
ブラックピットに悪口ばかり言われて、ワリオはかなり腹が立っていた。
「こうなったら……おい! そこの黒天使! オレ様のワリオバイクに乗って脱出するぞ!」
そう言って、ワリオは自慢のワリオバイクを出そうとするが、何故か出なかった。
ワリオは何度も試してみたが、呼び出す事はできなかった。
「お前、何もやってないのか!?」
「俺は一切関わってねぇよ! それどころか俺達は被害者なんだぜ!?」
「被害者面して本当は加害者の癖に!!」
「てめぇ、いっぺん死んでみろ!!」
ブラックピットがブラピの狙杖を構え、ワリオを撃ち抜こうとしたその時。
ブラピの狙杖目掛けて光線が飛び、命中するとブラピの狙杖が地面に落下した。
「誰だ!? 俺の狙杖を落としたのは!」
ブラックピットが攻撃が飛んできた方を向くと、何者かがザッ、ザッと音を立てて歩いてきた。
それは、ならず者部隊・スターウルフのリーダー、一匹狼の無頼漢、ウルフ・オドネルだった。
「……」
ブラックピットはすぐにブラピの狙杖を拾うと、ウルフにそれを向けた。
「俺とやる気か?」
「残念だけど、俺はちょっと怒ってるんでね」
「いいだろう」
「お~い、オレ様も忘れるなよ~!」
無視されたワリオも、ウルフに戦いを挑んだ。
まぁ、ワリオは無視されて当然かもしれないが。
「作者、オレ様の扱いが酷すぎる~!」
当たり前です、ワリオですから。
しかし、1分後。
「フン、所詮は口だけだったようだな」
ウルフがブラスターを構え、倒れているブラックピットとワリオを冷たい目で見降ろしていた。
そう、彼は一瞬で二人を倒したのだ。
「くそ……強ぇ……」
「このオレ……様が……負け……る、なんて……」
ブラックピットとワリオは、意識を失う直前に、ウルフの真紅に染まった右目を見ていた。
フォックスとファルコは、アンノウンリージョンを脱出するためにあちこちを歩いていた。
しかし、まだ帰るための道は見つかっていない。
「ったく、何もない。何もない。何もない」
理由は……目印が見つかっていないからだ。
「とりあえず、適当な方向に行ってみるか……」
「ああ……そうだな……」
フォックスとファルコは、何も考えずに適当な方向へある程度歩いてみた。
すると、運が良かったのか、なんとブラックピットとワリオが倒れていた。
「大丈夫か、ブラックピット!」
「ボロボロじゃねぇか!」
「……ぉ~ぃ、ォレ様を忘れるなぁ……」
フォックスとファルコは大急ぎで倒れているブラックピットに駆け寄る。
ワリオは無視されたため突っ込もうとするが、虫の息のためまともに突っ込めなかった。
「……」
「ダメだ、完全に意識を失ってやがる。とりあえず、こいつを安全な場所に運ぶぞ」
「……ワリオは?」
「あいつは不死身だからそのままでいいか」
「何気に酷い言い方だな……一応運んでおくぞ、ブラピとは別の場所に置くからな」
フォックスとファルコは、ブラックピットとワリオを安全な場所に避難させた。
そして、ブラックピットが意識を取り戻すまで、二人はずっと待ち続けていた。
「……ん?」
しばらくして、ブラックピットはゆっくりと目を開けた。
「おお、起きたかブラピ」
「ブラピじゃね……」
「おっと、あまり無理はするなよ。まだ病み上がりだからな」
突っ込みを入れようとするブラックピットを制止するフォックス。
「それじゃあ、話を聞かせてもらうぞ。お前は、一体誰に攻撃された?」
「左目に眼帯を付けて、ブラスターを持った奴だ」
加害者の特徴を聞いたフォックスとファルコは、ブラックピットを攻撃したのが誰なのか確信した。
「つまり、お前を攻撃したのはウルフか」
「そして俺は、意識がなくなる前にあいつの右目が紅く染まっているのを見た」
「紅く?」
ウルフの瞳の色は、そんな色ではないはずだ。
フォックスとファルコが首を傾げていると、彼らの背後から足音が聞こえてきた。
そして、フォックスの頭部目掛けて光線が飛んできた……瞬間、
フォックスがリフレクターで光線を跳ね返した。
「ウルフ……!」
フォックスはウルフをきっと睨みつける。
一方のウルフは、相変わらず紅く冷たい目でフォックス、ファルコ、ブラックピットを見ていた。
「まさか、お前もハオスに操られているのか……!」
「操られている……か。それは違うな。俺は、俺自身の意思で行動している」
「どういう事だよ!」
ファルコもフォックスに続いてウルフと対峙する。
「確かに俺は、ハオスと名乗る女から闇の力を授かった。
だが、俺はその力を制御する事ができる。ただそれだけだ」
「……」
「だが、ハオスが授けたって時点で怪しまないと思わないのか?
今は平気だと思うが、いずれお前は身も心も闇に支配されると思うぞ!」
「そうなる前に、闇の力を手放せ!」
「それは無理だな」
フォックスとファルコがウルフを説得しようとするが、ウルフは首を縦に振らなかった。
それどころか、ウルフはハオスから授かった闇の力に酔いしれるかのように口角を上げた。
「さぁ、闇よ! 俺に力を授けよ!!」
そして、ウルフが叫ぶと、彼の周囲を黒いオーラが纏っていった。
「あれが、ハオスから授かった闇の力か……!」
「フォックス! あいつを呪縛から救うぜ!」
「ああ!」
フォックスとファルコはブラスターを構え、ウルフとの戦闘に臨んだ。
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今回はスターフォックス組が全員登場します。