スマブラ四天王は、この世界を彷徨っているダックハント達を探しに向かった。
「いつ魔物が来てもいいように、構えは忘れるなよ」
「頑張る!」
道中で魔物と遭遇しながらも、四人は軽々と蹴散らしていく。
「ファイアボール乱れ撃ち!」
「回転斬り!」
「鬼殺し火炎ハンマー!」
「10まんボルト!」
ゾンビの大群が来ても彼らは物怖じしない。
マリオとリンクが先陣を切って戦い、カービィとピカチュウも二人に続いた。
スマブラ四天王と呼ばれるだけあって、彼らの実力は相当なものだ。
「よし、これでこの辺にいる魔物は全滅したな」
「うん、そうだと思うよ。じゃ、先に行こう!」
「ああ!」
カービィが歩いた瞬間、突然、何かに躓いて転んだ。
「あいたたたたた……」
「どうした、カービィ?」
「なんかに引っかかったみたい……」
「なんか? う~ん、一体何だ……うお!?」
マリオがカービィの足元を見てみると、彼の足に蔓が絡みついていた。
一体誰がやったんだ、とマリオが蔓を外そうとすると、
いきなり蔓がひとりでに伸びてピカチュウを打ち据えた。
「いてぇ!」
「ピカチュウ!?」
「いきなり何しやがるんだ!」
ピカチュウが蔓が伸びた方向をしっかり見ると、
そこには蔓が長く3つの赤い花が咲いた、異形の植物がいた。
「ちっ、植物の魔物か! 俺の電気技は効果が今一つみたいだ、炎や氷の攻撃で畳みかけろ!」
「ああ!」
マリオが魔物にファイア掌底を放つが、蔓が邪魔をして攻撃が通らない。
「この蔓が邪魔だ、斬ってやる!」
相手に攻撃を当てるには、まず蔓から片付けなければならない。
リンクはブーメランで魔物を気絶させ、その隙に剣を構え魔物に斬りかかる。
蔓がすぱすぱと切り刻まれるとリンクはカービィに合図を送った。
「カービィ!」
「いっくぞー、ファイア!」
カービィが口から火を吐いて魔物を攻撃する。
植物に炎属性攻撃は効果が抜群だ。
「結構効いてるぞ!」
「さらに熱いのお見舞いしてやるよ! ファイア掌底!」
そして、マリオが炎を纏った掌底をぶちかますと、魔物は焼き尽くされて灰になり消滅した。
「おっしゃ、勝った!」
「やったね!」
植物の魔物を倒して喜ぶスマブラ四天王。
「ん、この辺に魔物はもういないな?」
「そうみたいだね」
「んじゃあ、次の場所に行くか」
そう言って、マリオは先頭に立って先に進んだ。
「いないね……」
「この世界じゃ仲間はすぐには見つからないんだ」
マリオ達が今いる世界は非常に広大で、目的のものを探すには時間がかかる。
しかも、途中で魔物や飢えた人間に出会ってしまう事もある。
そうなれば、こちら側が不利になってしまう。
マリオ達は慎重に、辺りを見渡しながらできるだけ安全なルートを通っていった。
そして10分後、マリオ達は魔物やサバイバーに出会う事なく、
何とかダックハント達を見つける事ができた。
ダックハントの傍には、ウォッチとリィンもいた。
「「ウゥ……」」
「くぅーん……」
「どうした? ダックハント、ウォッチ、リィン」
だが、彼らはどこか辛そうな様子だったようで、心配になったリンクは声をかける。
「ハナシハ、ワタシカライイマス」
そう言うと、ウォッチは人間の姿に変化した。
「私達は、この世界にいる仲間を探していましたが、見つける事はできませんでした」
「それは俺達と同じだな」
「代わりに、これを見つけたのですが……」
ウォッチは袋を取り出し、その中を開けると、中にはたくさんの食糧や毛布が入っていた。
「うわぁ~、食べ物がいっぱ~い!」
「カービィは見ない」
リンクは食べ物に目を向けるカービィの目を逸らした。
「ほとんど何もないはずのこのエリアで、どうしてこんなに物資が見つかったのか分かりませんでした。
それでも、物資が見つかったのはありがたかったので持っていきましたが……」
「う~ん……謎が多いな」
一体、この物資はどこから来たのだろうか。
五人と二匹と一羽が悩んでいると、どこかから這いずる音が聞こえてきた。
「……!!」
それは、死斑が浮かんだ男性の動く死体だった。
口には鋭い歯が生え、くぼんだ眼窩の奥で、赤い目が燃えている。
「グールです! 皆、身構えてください!」
「ああ!」
マリオ達は急いで戦闘態勢を取り、ウォッチも元の平面姿に戻った。
(オカシイデスネ……ゾンビヤグールハ、ムレデコウドウスルハズ……。
ナノニ、ドウシテタンドクデ……?)
ウォッチがそう思っている時、グールがピカチュウに向かって噛みついてきた。
「ぐぁぁぁぁぁっ!」
「ピカチュウ!」
大ダメージを受けたピカチュウは蹲った。
「これくらいで挫けるかよ! エレキボール!」
ピカチュウが出した技は、相手より素早いと威力が上がる電気技、エレキボールだ。
電気の塊は動きが鈍いグールに諸に命中し、グールを大きく吹き飛ばす。
「そらよ!」
マリオはグールが飛ばしてきた毒液をアイスボールで凍らせ、それをグールに投げつける。
そこにリンクの斬撃が入り、グールの体力を削る。
「ジャイロ!」
「ばうばうばう!」
「ハンマー!」
リィンとダックハントが飛び道具でグールを牽制する。
その隙にカービィはハンマーを振り回してグールを殴りつけた。
グールはよろよろと動き、反撃でウォッチを引っ掻く。
「グゥゥ」
ウォッチはグールをグリーンハウスで攻撃し、松明でグールを焼き払う。
だがグールは怯まず、ウォッチに攻撃を仕掛ける。
(……? オカシイ……ワタシジシンハ、ネラッテイナイヨウデスネ……。
ネラッテイルノハ……フクロ?)
ウォッチは攻撃を回避している中で確信した。
このグールは自分ではなく袋を狙っているのだと。
「ミナサン! コノグールハ、ワタシタチデハナク、
ワタシガモッテイルフクロヲネラッテイルヨウデス!」
それに気づいたウォッチは、皆にそれを伝えた。
「なんだって!?」
「ナノデ、コウゲキニマキコマレナイヨウニシテクダサイ!」
「ああ!」
ウォッチのアドバイスを聞いたマリオは、相手の攻撃に当たらないように動き回り、
ファイアボールで攻撃する。
リンクも、マスターソードで連続斬りをし、カービィとピカチュウも彼らを援護した。
「……」
「マリオ?」
「袋を狙っている……って事は、このグールって元々……」
マリオは気付いていた。
このグールが、元は人間であった事を。
やはり、とウォッチはマリオに声をかけた。
「キヅイテイタンデスカ? マリオサン」
「ああ……このグールは、元々この世界で生きていた人間だったんだ」
「嘘……!?」
カービィは驚いたが、マリオの表情に嘘は感じられなかった。
通常、グールは群れるはずだが、何故か単独で行動していたため、マリオもおかしいと思ったのだ。
もうこの元人間のグールは二度と元に戻らない。
そのため、不本意ながらも生き残るには彼を倒さなければならない。
「なら、俺達にできる事は……これしかない」
マリオは、よろよろと近付くグールを見て、右手に炎を纏わせる。
「ファイア……掌底!」
そして、炎を纏った掌底がグールに命中し、グールは叫び声を上げて焼失した。
「……」
グールを撃破する事はできたものの、チームの顔に喜びはなかった。
魔物とはいえ、元は人間だったものを、自分達の手で殺してしまったからだ。
「……ソレモ、コノセカイデイキノコルタメニヒツヨウナコトナノデス」
「リィン……」
「クヤンデハイケマセン。イチド、ラストホープニモドリマショウ」
「……そう、だな」
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訳アリの敵と戦うのってちょっと気が引けますよね。
でも、この試練を彼らに乗り越えてほしかったんです。