No.969239

スマブラ Abandon World 36「食人鬼襲来!」

Nobuさん

訳アリの敵と戦うのってちょっと気が引けますよね。
でも、この試練を彼らに乗り越えてほしかったんです。

2018-10-04 08:55:19 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:735   閲覧ユーザー数:735

 スマブラ四天王は、この世界を彷徨っているダックハント達を探しに向かった。

「いつ魔物が来てもいいように、構えは忘れるなよ」

「頑張る!」

 道中で魔物と遭遇しながらも、四人は軽々と蹴散らしていく。

「ファイアボール乱れ撃ち!」

「回転斬り!」

「鬼殺し火炎ハンマー!」

「10まんボルト!」

 ゾンビの大群が来ても彼らは物怖じしない。

 マリオとリンクが先陣を切って戦い、カービィとピカチュウも二人に続いた。

 スマブラ四天王と呼ばれるだけあって、彼らの実力は相当なものだ。

 

「よし、これでこの辺にいる魔物は全滅したな」

「うん、そうだと思うよ。じゃ、先に行こう!」

「ああ!」

 カービィが歩いた瞬間、突然、何かに躓いて転んだ。

「あいたたたたた……」

「どうした、カービィ?」

「なんかに引っかかったみたい……」

「なんか? う~ん、一体何だ……うお!?」

 マリオがカービィの足元を見てみると、彼の足に蔓が絡みついていた。

 一体誰がやったんだ、とマリオが蔓を外そうとすると、

 いきなり蔓がひとりでに伸びてピカチュウを打ち据えた。

「いてぇ!」

「ピカチュウ!?」

「いきなり何しやがるんだ!」

 ピカチュウが蔓が伸びた方向をしっかり見ると、

 そこには蔓が長く3つの赤い花が咲いた、異形の植物がいた。

「ちっ、植物の魔物か! 俺の電気技は効果が今一つみたいだ、炎や氷の攻撃で畳みかけろ!」

「ああ!」

 マリオが魔物にファイア掌底を放つが、蔓が邪魔をして攻撃が通らない。

「この蔓が邪魔だ、斬ってやる!」

 相手に攻撃を当てるには、まず蔓から片付けなければならない。

 リンクはブーメランで魔物を気絶させ、その隙に剣を構え魔物に斬りかかる。

 蔓がすぱすぱと切り刻まれるとリンクはカービィに合図を送った。

「カービィ!」

「いっくぞー、ファイア!」

 カービィが口から火を吐いて魔物を攻撃する。

 植物に炎属性攻撃は効果が抜群だ。

「結構効いてるぞ!」

「さらに熱いのお見舞いしてやるよ! ファイア掌底!」

 そして、マリオが炎を纏った掌底をぶちかますと、魔物は焼き尽くされて灰になり消滅した。

 

「おっしゃ、勝った!」

「やったね!」

 植物の魔物を倒して喜ぶスマブラ四天王。

「ん、この辺に魔物はもういないな?」

「そうみたいだね」

「んじゃあ、次の場所に行くか」

 そう言って、マリオは先頭に立って先に進んだ。

「いないね……」

「この世界じゃ仲間はすぐには見つからないんだ」

 マリオ達が今いる世界は非常に広大で、目的のものを探すには時間がかかる。

 しかも、途中で魔物や飢えた人間に出会ってしまう事もある。

 そうなれば、こちら側が不利になってしまう。

 マリオ達は慎重に、辺りを見渡しながらできるだけ安全なルートを通っていった。

 

 そして10分後、マリオ達は魔物やサバイバーに出会う事なく、

 何とかダックハント達を見つける事ができた。

 ダックハントの傍には、ウォッチとリィンもいた。

「「ウゥ……」」

「くぅーん……」

「どうした? ダックハント、ウォッチ、リィン」

 だが、彼らはどこか辛そうな様子だったようで、心配になったリンクは声をかける。

「ハナシハ、ワタシカライイマス」

 そう言うと、ウォッチは人間の姿に変化した。

「私達は、この世界にいる仲間を探していましたが、見つける事はできませんでした」

「それは俺達と同じだな」

「代わりに、これを見つけたのですが……」

 ウォッチは袋を取り出し、その中を開けると、中にはたくさんの食糧や毛布が入っていた。

「うわぁ~、食べ物がいっぱ~い!」

「カービィは見ない」

 リンクは食べ物に目を向けるカービィの目を逸らした。

「ほとんど何もないはずのこのエリアで、どうしてこんなに物資が見つかったのか分かりませんでした。

 それでも、物資が見つかったのはありがたかったので持っていきましたが……」

「う~ん……謎が多いな」

 一体、この物資はどこから来たのだろうか。

 五人と二匹と一羽が悩んでいると、どこかから這いずる音が聞こえてきた。

 

「……!!」

 それは、死斑が浮かんだ男性の動く死体だった。

 口には鋭い歯が生え、くぼんだ眼窩の奥で、赤い目が燃えている。

「グールです! 皆、身構えてください!」

「ああ!」

 マリオ達は急いで戦闘態勢を取り、ウォッチも元の平面姿に戻った。

(オカシイデスネ……ゾンビヤグールハ、ムレデコウドウスルハズ……。

 ナノニ、ドウシテタンドクデ……?)

 ウォッチがそう思っている時、グールがピカチュウに向かって噛みついてきた。

「ぐぁぁぁぁぁっ!」

「ピカチュウ!」

 大ダメージを受けたピカチュウは蹲った。

「これくらいで挫けるかよ! エレキボール!」

 ピカチュウが出した技は、相手より素早いと威力が上がる電気技、エレキボールだ。

 電気の塊は動きが鈍いグールに諸に命中し、グールを大きく吹き飛ばす。

「そらよ!」

 マリオはグールが飛ばしてきた毒液をアイスボールで凍らせ、それをグールに投げつける。

 そこにリンクの斬撃が入り、グールの体力を削る。

「ジャイロ!」

「ばうばうばう!」

「ハンマー!」

 リィンとダックハントが飛び道具でグールを牽制する。

 その隙にカービィはハンマーを振り回してグールを殴りつけた。

 グールはよろよろと動き、反撃でウォッチを引っ掻く。

「グゥゥ」

 ウォッチはグールをグリーンハウスで攻撃し、松明でグールを焼き払う。

 だがグールは怯まず、ウォッチに攻撃を仕掛ける。

(……? オカシイ……ワタシジシンハ、ネラッテイナイヨウデスネ……。

 ネラッテイルノハ……フクロ?)

 ウォッチは攻撃を回避している中で確信した。

 このグールは自分ではなく袋を狙っているのだと。

「ミナサン! コノグールハ、ワタシタチデハナク、

 ワタシガモッテイルフクロヲネラッテイルヨウデス!」

 それに気づいたウォッチは、皆にそれを伝えた。

「なんだって!?」

「ナノデ、コウゲキニマキコマレナイヨウニシテクダサイ!」

「ああ!」

 ウォッチのアドバイスを聞いたマリオは、相手の攻撃に当たらないように動き回り、

 ファイアボールで攻撃する。

 リンクも、マスターソードで連続斬りをし、カービィとピカチュウも彼らを援護した。

「……」

「マリオ?」

「袋を狙っている……って事は、このグールって元々……」

 マリオは気付いていた。

 このグールが、元は人間であった事を。

 やはり、とウォッチはマリオに声をかけた。

「キヅイテイタンデスカ? マリオサン」

「ああ……このグールは、元々この世界で生きていた人間だったんだ」

「嘘……!?」

 カービィは驚いたが、マリオの表情に嘘は感じられなかった。

 通常、グールは群れるはずだが、何故か単独で行動していたため、マリオもおかしいと思ったのだ。

 もうこの元人間のグールは二度と元に戻らない。

 そのため、不本意ながらも生き残るには彼を倒さなければならない。

「なら、俺達にできる事は……これしかない」

 マリオは、よろよろと近付くグールを見て、右手に炎を纏わせる。

「ファイア……掌底!」

 そして、炎を纏った掌底がグールに命中し、グールは叫び声を上げて焼失した。

 

「……」

 グールを撃破する事はできたものの、チームの顔に喜びはなかった。

 魔物とはいえ、元は人間だったものを、自分達の手で殺してしまったからだ。

「……ソレモ、コノセカイデイキノコルタメニヒツヨウナコトナノデス」

「リィン……」

「クヤンデハイケマセン。イチド、ラストホープニモドリマショウ」

「……そう、だな」


 
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