No.969097

スマブラ Abandon World 34「悲劇がもたらした滅亡」

Nobuさん

この物語の舞台である世界が滅んだ理由が、少しだけ明かされます。

2018-10-02 17:39:33 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:574   閲覧ユーザー数:574

 スマブラ四天王は、この世界が滅びた理由を知るため、自分達を呼んだアスティマの元に来た。

「な、何でしょうか?」

「……なぁ、アスティマ。なんでこの世界が滅びたんだ?

 俺達に世界を救えって言われても、さっぱり分からないぞ」

 マリオは、自分達が今いる世界が滅びたのはどうしてなのかをアスティマに聞いた。

 アスティマはハオスに感付かれないためにしばらく黙ったが、リンクは彼女の様子を怪しんでいた。

「おい、アスティマ、なんで黙ってるんだよ。知られたくない事でもあるのか?」

「ハオスが聞いている可能性もありますので、話したくはないんです……」

 アスティマはハオスを恐れるあまり、重要な情報を話したがらないでいた。

 しかし、どうしても情報を聞きたいリンクは、アスティマに掴みかかった。

「何こそこそ隠し事してるんだよ!

 どうやって世界を救うか知りたいのに、何も話さないなんて不親切だぞ!

 せめてヒントくらい出せよ!」

「リ、リン兄、落ち着いて……」

「これが落ち着けるかよ!」

 感情的になるリンクを止めようとするカービィだが効果はなかった。

 すると、アスティマは真剣な表情で杖を構えた。

「……そんなに、この世界の真実を知りたいのですか?」

「……」

 彼女の表情を見たスマブラ四天王は一斉に足が竦み、そして固まった。

 普段のおっとりした表情とは似ても似つかない、ホンキ度“空前絶後!!!”の表情だ。

 リンクは慌ててアスティマから手を放す。

「いいでしょう。まずは、ハオスに聞かれないために結界を張ります」

 アスティマは杖から光を放ち、周りに結界を張って自分達の話が外部に聞こえないようにする。

「……単刀直入に言いましょう。この世界が滅びたきっかけは」

 アスティマが見るのはマリオ。

「マリオさま……あなたなのです」

「なっ……俺が……?」

 

 アスティマの話によるとこうだ。

 マリオ達が今いるこの世界は、実は「争いの世界」の未来世界の1つである。

 いつもと変わらない平穏な日々だったが、

 突然、謎の魔物の大群がこの世界に現れ、各地の戦える者達は総力を挙げて魔物と対峙した。

 魔物の尖兵は大きな犠牲を払いつつも辛うじて撃退できたが、

 魔物の一体が倒れる間際にマリオを殺害した。

 そのショックで双子の弟ルイージは発狂し、

 目の前にいるものを敵味方の区別なく殲滅する狂戦士へと変わり果てた。

 そして残りのスマブラメンバー(一部除く)も、

 マリオを失った悲しみと彼の敵を討つため魔物に全力で戦いを挑む。

 マスターハンドとクレイジーハンドも力を解放し、世界法則を超越した全面戦争が勃発したという。

 また、この世界が他の世界から切り離されたのは、

 その戦争の結果、全ての世界から見捨てられたからだとか。

 

「そして、その全面戦争でこの世界は滅びた……か」

「はい……」

 自分がこの世界では死んでいると知り、衝撃を受けたマリオ。

 だが、ここでマリオは1つ疑問を抱く。

「それじゃあ、この世界において、俺以外のスマブラメンバーはどうなったんだ?」

「私が覚えている限りでは……」

 リンク、カービィ、ピカチュウは行方不明。

 サムスは魔物との戦いでファルコンを庇って死に、残されたファルコンは一人で奮闘していた。

 他にも、マリオが知っている人物は行方が分からなくなったという。

「今回、私が話せる事は以上になります。後は、自分達で答えを探してください」

 アスティマは結界を解き、ふぅ、と一息ついた。

「答えを見つければ元の世界に帰してくれるよな?」

「保証はします」

「分かった」

 

 スマブラ四天王は、アスティマから得た情報を整理した。

「つまり、この世界のマリオが殺された後、神々も巻き込んだ戦争で世界が終わったのか」

「いや、まだ完全に終わってないぜ。まだ命の気配は残っているしな」

 とはいえ、この世界に取り残された仲間達はまだまだいる。

 彼らを助ける事がスマブラ四天王の第一の目的だ。

「よし、僕達もラストホープに食べ物を運んでこよう!」

 カービィが探索に行こうとした、その時だった。

―きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 向こうから、アスティマの悲鳴が聞こえてきた。

「その声は、アスティマか!?」

「行こう!」

「ああ!」

 スマブラ四天王は、大急ぎでアスティマのところに向かった。

 一方、ラストホープでは、ハオスがアスティマを追い詰めていた。

 

「キミ、本気でこの世界を救おうと思ってるのかい? これは、キミ自身も引き金になった事なんだよ?」

「それが私にできる、唯一の事ですから」

「だけどさ、世界を救う役割は他の人に押し付けて、自分はサポートしかしないなんて、

 そんなのずるいと思わない?」

「ずるくはありません、彼らにしか希望は存在しないと思いましたから!」

 アスティマはハオスを何とか杖で押し返そうとするが、

 ハオスはそれをものともせずにアスティマに近付く。

「来ないでください、ハオス……っ!」

「そんなにボクが嫌いなの?

 ボクを嫌ったら、手っ取り早く世界を救う方法を教えてあげなかったのになぁ」

 どういう事、とアスティマがハオスに聞くと、彼女は微笑みながらこう答えた。

「ボクは時空を超える力で過去に戻る事ができる。

 ボクの力を使えば、この悲劇をなかった事にでき、この世界は本当に救われるよ」

「……」

「さあ、ボクと一緒に過去を変えに行こうよ」

 そう言い、ハオスはアスティマに手を差し伸べた。

「……そうだ。こうすれば、世界は……」

 過去を変え、悲劇を取り消せば、この世界なんて滅びなかったかもしれない。

 アスティマがそんな淡い希望を抱き、ハオスの手を握ろうとした、その時。

 

「やめろ!!」

「……マリオ、さま……!?」

 マリオが、アスティマに向かってそう叫んだ。

 アスティマが思わず振り返ると、そこにはスマブラ四天王がいた。

「どうしてですか? ハオスは……この世界を救おうとしているのですよ……?」

「お前は、本当に過去を変えればこの世界を救えると思っているのか!?

 もしそうしたら、この世界は『存在しなかった』事になるんだぞ!

 仮に世界がそのまま残ったとしても、それはお前が救おうとした世界じゃねぇ!

 また1つ、パラレルワールドが生まれるだけだ!」

「……!!」

 数々の時を渡り歩いてきたリンクのその言葉で、アスティマは気付いた。

 過去に戻って悲劇を取り消しても、何の成果も得られない事を。

「俺達が変えていくのは過去じゃねぇ!」

「これから先にある、未来だ!」

「だからアスティマ、そんな奴の誘惑に乗るんじゃない!」

「アス姉が裏切ったら、僕、僕……!」

 スマブラ四天王が必死でアスティマに呼びかける。

 彼女がもしも自分達を裏切れば、この世界を救う事も、元の世界に帰る事もできなくなってしまう。

 アスティマもまた、希望を託した彼らを裏切りたくなかった。

 そして、アスティマは迷いを振り切り、ハオスに杖を向けてこう言った。

「私には、私を信じてくれる仲間達がいる。彼らも、私の願いを叶えるために奮闘している。

 もしも裏切ってしまえば、この世界に残された僅かな希望が消え、この世界は完全に滅亡してしまう。

 それは、私の望んだ事ではありません。……だから! 私はあなたに従いません!

 ハオス! 私の目の前から、今すぐ消え失せなさい! ディヴァイン・パニッシュメント!!!」

 そして、アスティマの杖が光り出すと、そこから真っ直ぐに光が伸び、ハオスに直撃すると破裂した。

 ハオスはバリアを張っていたため大したダメージにはならなかったが、

 それでも彼女に傷を与える事はできた。

「まったく、キミは頑固だねぇ。

 だけど、その選択が取り返しのつかない結果を招かない事もないんだよ……?」

 そう言うと、ハオスの姿は消えた。

 ハオスを追い返す事に成功したアスティマは、スマブラ四天王の方を向いて礼を言う。

 

「皆様のおかげで、私はハオスの誘惑を振り切る事ができました。ありがとうございます」

「いやいや、俺はあいつを許せなかっただけさ。ゼルダやガノンを洗脳したくらいだしな」

「だって、君を襲ったその女の人は、とっても悪い人なんだもん! 僕、悪い人は許さないよ!」

「俺達はお前から希望を貰ったんだ。その希望を捨てるのはもったいないぜ」

「アスティマ、よくあんな奴に惑わされなかったな。その調子で自分の信念を貫いていけよ!」

 リンクとカービィは純粋な正義感から、

 マリオとピカチュウはアスティマを守りたいという気持ちから彼女を助けた。

「……少なくとも、あなた達にとって、私の考えは間違っていなかったようですね」

「あったりまえだよ! だって、ハッピーエンドが一番だもん!」

「よかった……本当によかった……」

 スマブラ四天王の好感度が上がった事でほっとするアスティマ。

「それでは、これからも私を信頼してくれますね?」

「「「「ああ!(うん!)」」」」

 スマブラ四天王は、アスティマに対し、

 彼女と初めて出会った時のように、満面の笑みを浮かべてそう答えた。

「あなた達が世界を救ってくれる事を、私はずっと信じ続けます。本当に、ありがとうございました」

「どういたしまして!」

「じゃ、失礼させてもらうぜ」

 アスティマが手を振る中、スマブラ四天王は彼女の下を去っていった。

 

「ハオス……私はあなたを、許しません……! たとえ、残酷な真実が待ち受けようとも……!」


 
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