―――Side 狂骨―――
狂骨「・・・」
目を瞑り、腕を組み仁王立ちをしている狂骨 それに寄り添うのは、くじ引きで勝った雛里
雛里「・・・っ!ご主人様!張遼が出てきました!」
狂骨「・・・来たか 他の連中は」
雛里「魏から夏候惇・夏候淵の部隊が出撃しています」
右手から、春蘭・秋蘭が部隊を率いて突撃しているのが見える
狂骨「奴らに先を越させるわけには行かないな」
そう呟くと、一気に霞のところへ走る 狙うは一撃で霞を確保すること
狂骨「さて・・・」
―――Side 呂刀―――
その光景は一言で言うなら異様だった 「飛将軍呂布」「人中の呂布」「国士無双」などの呼び名を欲しいままにしていた恋が、文官と思っていた男に手玉に取られているのだ
呂刀「そこ、かな?」
恋「っ!・・・ハァ・・・ハァ」
呂刀は、恋が飛び込んでこようとするときには針で動きを制し、自分は地龍を抜き攻撃を仕掛ける 呂刀は「北郷一刀」であったころはタイ捨流を教わっていた タイ捨流は、跳び回って敵を撹乱したり、中国拳法を取り込んだことにより蹴り技も豊富な剣術 呂刀は、神仙となったときに、もう一度タイ捨流を習ってみようと太公望に頼んでいた その結果、ある程度の力を手に入れることが出来た ちなみに、狂骨たちも剣術を習得させてもらっていた いくら武器を選ばないからといっても、主に使うのは刀なので剣術を習っていたほうがいいと思ったからである ちなみに、狂骨と刑天は「薬丸示現流」を習得した
呂刀「・・・そら!」
呂刀は、自分から相手を斬ることはない 必ず避けられる軌跡を描く だが、避けてから攻撃をしようとすると、針やナイフが飛んでくるので攻撃に移る事ができない そして、また呂刀が必ず避けられる軌跡を描いて斬りかかる・・・という戦法の繰り返しをしている
恋「ハァ・・・ハァ・・・強い」
呂刀「あまり褒められたものじゃないけど、ね」
疲労が溜まってきて動きが散漫になってきた恋 しかし、呂刀は攻撃の手を緩める事はしない 緩めれば一気に劣勢になる可能性があるからである
呂刀「・・・取った!」
恋「あ・・・」
恋の疲労がピークに達したようで、動きが一瞬止まったのを見逃さずに鋼糸を恋の体に巻きつけ、動きを封じた
呂刀「・・・悪いけど、一緒に来てくれるかな?」
恋「・・・皆を助けてくれる?」
呂刀「うん」
どうやら、恋を仲間にする事に成功したようだった とりあえず、斗詩に恋を連れて行くように指示をし、愛紗たちに詫びを入れて、その場を後にした
呂刀「さて、狂骨のほうはどうなったかな?」
―――Side 狂骨―――
霞「アンタ・・・強いな!」
春蘭「貴様こそな!」
春蘭より先に霞を確保する事ができなかった狂骨は、仕方がないので周りの雑魚兵を攻撃していた とりあえずは、霞は魏のほうに行くのだろうと考えた狂骨は、ひとまず考えを「春蘭の右目を守る」に移行した 今は、そのような兆候はない
狂骨「だが、楽観しているわけにはいかんな」
秋蘭「狂骨殿・・・何故協力を?」
近寄ってきた秋蘭が弓を射ながら、狂骨がここに居る理由を聞く
狂骨「何・・・最初は、張遼でも捕獲しようと思ったが、取られてしまったのでね ま、せっかくなので君たちが張遼を捕らえるまでは、援護しようとね」
秋蘭「なるほど・・・」
狂骨「ま、張遼と戦いたかったのが本音なんだがな・・・」
秋蘭「その背中に背負っている武器を使うのか?」
今のところは危険がないようなので、敵を倒しながらいろいろ聞いてみようと思った秋蘭 それに、なぜかこいつは信用できると思ったから
狂骨「ま、兵器開発は俺の趣味だしな・・・いずれ使う」
狂骨も、敵を斬りながらだが、笑いながら返事をしてくる しかし―――
秋蘭「ん?・・・姉者!?」
春蘭「え?」
霞「何や!?」
どこからか飛んできた矢が春蘭の目に刺さろうとしていた
春蘭「(な・・・避けられない)」
自分の目に向かってくる矢を見て、どこか他人事のように考えてしまう春蘭 しかし、後ろから飛んできた刀が矢を弾き飛ばした
春蘭「・・・え?」
事態についていく事ができない春蘭 とりあえず、自分は助かったのか?と、その事実がゆっくりと分かってくる 駆け寄ってくるのは秋蘭だろうか・・・目の前の張遼も理解が追いついていないようだな・・・と他人ごとのように見ていた
秋蘭「無事か!姉者!?」
春蘭「ああ・・・大丈夫だ」
霞「・・・はっ!誰や・・・って・・・あり?」
決闘を邪魔した部下を、見つけようと振り返ると後ろに居たはずの味方は、狂骨の新兵器によって沈黙していた
狂骨「一対一の決闘を邪魔するとは・・・失望したぞ!董卓軍!」
狂骨が、開発した新兵器第2号『回転連弩』 早い話が、ガトリングガンの弾を矢に変えただけの物 でも、火薬で撃ちだしているので、普通の連弩より強力である しかも、マガジンシステムなので、弾切れの心配も少ない上に、取り回しも赤口砲よりいい
狂骨「そんな品が、今ならこのお値段!どうですかー?」
未だに向かって来る董卓軍の兵に向かい連射をしながらそんなことを叫ぶ狂骨 「ウチに売ってください!」と遠くから叫ぶ声が聞こえた気がした
霞「・・・わー・・・」
どんどん減っていく味方に、理解が追いつかない霞 しかし、このままほうっておくわけにも行かないので
霞「すまんけど、やめてくれんか!?」
その声が聞こえたのか、連射を止めた狂骨 そして、霞を見て
狂骨「心配するな、殺してはいない」
そして、霞を通り過ぎ、春蘭に刺さる直前だった矢をはじき落とした童子切を回収し
狂骨「怪我はないな?」
春蘭「あ、ああ」
狂骨「フッ ならいいさ 張遼の処遇はそちらに任せる おそらく、虎牢関もそろそろ落ちるだろう」
そういって、虎牢関の門を見ると劉備軍が取り付いていた もうしばらくすれば、虎牢関は落ちる ならば、急ぎ洛陽へ向かわなければならない とりあえずは、呂刀に報告しなければならないので本陣に向かった
―――Side 魏―――
魏の本陣に居た華琳は、狂骨の行動を見て素直に感謝した
華琳「春蘭を助けてくれた礼は、いずれしなければね」
そして、春蘭たちは霞を本陣につれていく途中
霞「あぁ・・・かっこええな~」
春蘭「そうか・・・(なんか、前にも助けられたような・・・?)」
狂骨の行動に、惚れたらしい霞の相手をしていた
―――Side 袁紹軍―――
狂骨「―――という訳で、張遼を確保する事はできなかった」
狂骨は、霞を確保する事が出来なかった事を報告した それに対し呂刀は「まあ、大丈夫だろう」と言って、洛陽へと思考を変えた
桂花「ところで、また新兵器使ったでしょう?」
狂骨「スミマセン」
そして、狂骨は桂花から許可なく新兵器を使った罰を受けていた 主にハリセンで
―――Side 洛陽―――
神流「月!詠!ねね!」
月「ふえ!?神流様!?」
月たちは、虎牢関が落とされたことが伝えられたので、どうするかを考えていた すると、神流が駆け込んできた
詠「ちょ、ちょっと!?何故ここに居るんですか!?」
神流「月たちをおいて逃げるわけには行かないよ!」
ねね「ですが!」
何進「まあ最悪、帝の口添えで何とかなるかもしれませんな」
詠「何進・・・」
何進に変装した刑天は、いろいろ調査をしていたと言い訳をして月たちの護衛に専念する事にした 十常侍がここにくるまでに連合が来ればよし 来ないうちに十常侍が来るなら
何進「さて、とりあえず[ザシュ]・・・」
突然首を斬りおとされた 目の前に居る月たちは理解が追いついていないようだった 刑天は、現状を確認すると後ろに居たのは十常侍たちだった
十常侍1「よしよし・・・よくやった」
刑天の首を斬りおとした兵に賛辞を述べた後、十常侍たちは月たちに刃を向け
十常侍1「さて、董卓殿・・・帝をこちらに渡してくださるかな?」
詠「くっ!」
神流「悪いが、私はこれ以上貴様らの保身の道具になるのはゴメンだ 月たちを殺すというなら、私ごと殺すがいい」
月「神流様・・・」
月たちを庇うように十常侍の前に立つ神流 その姿は、さすが帝というべき物だった
十常侍1「なら、仕方がない・・・帝は董卓に殺されたということするか・・・おい」
その声で、控えていた兵たちが四人に向かってくる だが―――
刑天「クックック」
全員「「「「!?」」」」」
突然、笑い声が聞こえた そして、笑い声が聞こえるほうを向くと
十常侍「な・・・ば、馬鹿な!?」
斬りおとされた首を右手に持ち、デュラハン状態で立ち上がった刑天だった
兵「そんな・・・何進!貴様、化け物か!?」
兵の一人が、刑天に向かいそう叫んだ 刑天は、首を着けながら返事をした
刑天「化け物は認めるが・・・一つ訂正だ 俺は何進ではない この名前は偽名だ 本名は刑天だ」
月「刑天・・・ご主人様・・・?」
詠「うっ!な、これは・・・」
ねね「刑天殿・・・?狂骨様・・・も・・・?」
月たちは、記憶が戻ったようで少し混乱しているようだった 神流は
神流「あの人は・・・」
少し前に、自分を助けてくれた男が何進だったことに衝撃を受けていた
十常侍「おのれ!「ああ、別に覚えなくてもいいぞ?」何?」
十常侍が、兵に刑天の排除を命じようとすると刑天がさえぎった
刑天「別に、今すぐ死ぬのだからなっ!」
餓虎は持っていないが、目の前の敵なら体術のみで圧倒できるので一気に懐に入り込み豪腕を振るう
刑天「・・・狂骨いわく・・・『白狼』だったか?」
狂骨に教えられた、腕を石にする事のできる教師の技をぶち込んでそう呟いた 刑天の場合、狂骨がネタの発信所である
十常侍「なあ!?「シッ!」ギャッ!」
刑天「子供に、なにしてくれとんじゃー!」
動揺している間に、残りの十常侍や兵を文字通り「殴り殺す」刑天 そして、敵を全て潰した後、こちらを見ている月たちのところへ歩き出す
刑天「さて、詳しい話は後でするから、手伝って欲しいんだが」
月「はあ・・・」
そして、刑天は呂刀から言われた策を実行に移すために行動を開始した
―――Side 連合―――
連合軍は、洛陽の手前で進軍を停止 最後の軍議を始めた その結果、各軍の主要な将のみを洛陽に入れることになった そして、いざ行動を開始しようとすると、袁紹軍兵士がある報告をしてきた
兵「洛陽にて、董卓が帝を殺害し逃亡を企てようとしているようです!」
その報告に、呂刀と狂骨を除く全員が驚く そして、董卓が居るという方向に向かうことになった そこに居たのは、また違う顔に変装した刑天が、村娘の格好をした月たち四人に剣を突き立てようとしていたところだった その様子を見た霞は疑問を覚えたが、いつの間にか近寄っていた華雄が「どうやら、月たちを助けるための策らしい」と言われたので、月たちが助かるならと見逃す事にした
呂刀「待て!(狂骨・・・頼む)」
アイコンタクトで、狂骨に合図を送る呂刀 そして、目で了解の意思を告げた狂骨は、刑天に走り出し斬りかかった
刑天「ぬう!?」
狂骨「董卓・・・その首、もらうぞ!」
狂骨が飛び出した事に気づいたほかの将が、刑天を包囲した 月たちは呂刀に保護された
春蘭「覚悟しろ!」
刑天「おのれぇ!」
わざと、大きく振りかぶって春蘭に斬りかかった刑天 そして、春蘭は軽く避け刑天の首を斬りおとした
春蘭「逆臣董卓!曹操軍が将、夏候元譲が討ち取ったぁ!」
春蘭が名乗りを上げると、連合兵は勝ち鬨を上げた ここに「董卓」が死んだ事が公式に認められたのだ
―――Side 袁紹軍―――
数時間後、董卓として処刑された刑天の体が燃やされ、埋められてから一応洛陽の区画ごとに、駐屯している連合軍 そして、袁紹軍の区画に主要な将が集まっていた
呂刀「さて、君が劉協だね?」
神流「ああ」
その言葉に、狂骨以外が驚いた 劉協は殺されたといわれていたから、だが呂刀から今回の策を教えてもらうことになった
呂刀「その前に、狂骨?」
狂骨「大丈夫だ すぐに来る」
そして、呂刀が「主賓が来てから」と言われたので待ちながら真名の交換などをしていると、先ほど死んだはずの董卓がやってきた
猪々子「ゆ、幽霊!?」
呂刀「違う違うw刑天だよ」
幽霊が出たのかと驚く面々 だが、変装を解くと刑天だったので落ち着いた
呂刀「刑天は、首を斬りおとされようが、体を焼かれようが死ぬ事はないから変装させて「董卓」として、処刑されることで月たちを守る役目もあったんだ」
呂刀は、刑天を洛陽に派遣したのは月たちを守るためもあるが、「董卓」を処刑することにより、董卓が生きているのではないかという疑惑を払拭させるためでもあった そのために、再生能力を持つ刑天が選ばれたのだ
斗詩「すごいですね・・・」
刑天「というか、俺 何回首落ちた?さすがに、しばらくデュラハンは出来ないな」
いつもより多く首が落ちた刑天 刑天の再生能力は、ほぼ無限といえる だが、今回は何進に変装もしていたので氣の消費が激しかった 実は、刑天は氣を体に纏いそれを変化させて何進に変装していたので、その状態で首を斬りおとされたり、体を焼かれたりしたせいで気脈が少し乱れたせいで再生力が落ちているのだ
麗羽「とりあえず・・・帝は、帝位を捨てるという事でよろしいのですか?」
神流は、もう漢室に権力がないことを今回の事で自覚した だから、自分はこのまま死んだことにして、月たちと一緒に過ごしたいと思っていたので、その提案を出した
神流「うむ・・・私は、麗羽の領地で静かに暮らすとするよ」
呂刀は、「君がそれでいいなら」という事で、神流を保護することに決定した
神流「それにしても、私は無力だな」
月「神流様・・・」
自嘲の笑みを浮かべ、呟いた神流 だが、刑天が近寄ってきて
刑天「そうでもあるまい?お前は、十常侍から月たちを守っただろう?」
詠「そうですよ!」
刑天の言葉に、詠も賛同して神流を励ました
神流「詠・・・」
刑天「お前は無力ではないよ」
頭を撫でながら、諭した刑天に神流は懐かしい感じを憶えた
神流「父上・・・」
刑天「ん?」
神流「い、いや!何でもない!」
呂刀「なあ・・・あれって(ヒソヒソ」
狂骨「いや・・・落としたな(ヒソヒソ)」
呂刀と狂骨は、刑天が神流を落としたと判断 落としていなくとも、刑天の父親オーラに当てられたのは事実と結論付けた
麗羽「?まあ、そこの二人が何を話しているのかは分かりませんが、これからよろしくお願いしますわ」
全員「「「「御意(はい)!」」」」
こうして、呂刀が仕組んだ反董卓連合はその役割を終え、解散へと向かうこととなった そして、麗羽たちは領地に戻る 新たな仲間を連れて しかし、これからは群雄割拠の時代に移り変わっていく 新たな戦いの産声は近づいてきている
「舞台裏」
呂刀「よっしゃー!前回に続き、活躍!」
狂骨「重傷は負わなかったけど、お仕置きは受けたな」
刑天「んで、神流の父親?になったのか?」
狂骨「そのまま、ハーレム入りしそうだな」
それは、需要があったらね~ とりあえず、そこら辺はまだ決めていないよ
呂刀「そして、閑話がくるわけか」
前回は拠点のみだったけど、今回人数が増えたから短編を書けるからね
刑天「やはり、ある程度人数いないと無理か?」
やっぱりね~^^;
狂骨「ま、とりあえず頑張れ」
頑張るよw
呂刀「拠点や、閑話のリクエスト待っています」
刑天「ついでに、IFストーリーも書いてみたいと思っているらしいので、それのリクエストも待っています」
狂骨「それでは、次回お会いしましょう」
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19話ですw
反董卓連合編終了です・・・早く、閑話かきたいな~