プロローグ
ここはどこかの人工の島。
中は人の手で作られた自然が存在、雑草が生え木が生え水が流れている空間が存在していた。
時刻は夜、そのために空は暗く星が輝き、月がでている。
「・・・」
そんな時刻に動く人影が一つ。
唾が大きい帽子に清楚で白いワンピースを身につけた・・・少女だった。
少女は大きなスポーツバッグを肩に掛けてその紐をしっかりと握りながら周囲を確認し人工島の中を、できるだけ音を立てないようにしつつ歩いていた。
「・・・誰も・・・いませんね・・・」
周囲に誰もいないことを確認しながら、少女は少しずつ歩みを進める。
スポーツバッグの僅かにあいた隙間から、なにかが少女の顔をのぞいていた。
「?」
「じっとしててくださいね・・・ここにいると・・・あなたは・・・ずっと苦しく痛い思いをしてしまうから・・・。
正直怖いけど・・・でも・・・これがきっと・・・!」
少女はバッグの中の存在にそう語りかけるが、バッグの中の存在は彼女のいう意味を理解していないのかきょとんとしていた。
再び周囲を警戒しつつ歩き出す少女だったが、その少女を見つけた者がいた。
「見つけたぞ!」
「追え!」
「・・・あっ!!」
白い帽子やスーツ、グローブにブーツを身につけた数人が一斉にそう叫び、少女をとらえるよう命じる。
自分の存在が見つかってしまったことに気づいた少女は、急いで走り出す。
必死に逃げる少女だったが、男女や年齢の関係で逃げきれるはずもなく、あっさり取り囲まれてしまった。
「っ・・・」
もし彼らに捕まってしまったら。
その先のことが予想できた少女は恐怖で瞳を動かす。
「もう・・・だめ・・・!」
少女がそう思ったとき、スポーツバッグの中から光が漏れだした。
「・・・えっ!?」
その光は星のように光る粒子をまき散らしながら少女を包み込み、そして、極光を放ちその場にいた全員の目を眩ました。
全員の目が眩んでいる間に、一条の光が天に延びていき、やがて星空の中に消えていった。
「・・・!」
「いない・・・!」
ようやく目が開けられるようになったとき。
少女は、その人工島から姿を消していた・・・。
そんな出来事があったことなど世間からは知られないまま、3ヶ月という月日が経った。
ここはカントー地方の港町、クチバシティ。
時刻は朝、空は晴れ渡っており、太陽がそれを実現させるほどに輝く。
「ヨウカ、そろそろ出発の時間よ!」
「はーいっ」
ヨウカ、と呼ばれた少女は母の返事に対して明るく返事を返すと外にでる準備をした。
茶色の髪を一つにまとめ、白いヘアバンドを付けて、黄色のノースリーブの上に赤い半袖の上着を着て、黄土色のズボンをベルトでしっかりととめ、赤いスニーカーの紐をしっかりとしめる。
「あとはこれ・・・っと!」
そう言ってヨウカは月と太陽をモチーフにしたペンダントを首にかけ、よしと頷くと家を飛び出した。
家を出たとこで彼女を待っていたのは、彼女の母親だった。
「おまたせ!」
「忘れ物はないわよね?」
「うん、問題ないよ!」
「そう、飛行機の時間もあるから、もう行くわよ」
「はーいっ!」
再び明るく元気のいい返事を返し、ヨウカは母に促され引っ越しようのトラックに乗り込む。
母と娘が乗ったことを確認した引っ越し業者の人達は、トラックを動かす。
「どんなところなのかな・・・?」
遠くなっていくクチバシティを見つめ、ヨウカはそうつぶやいた。
生まれ育った町を離れ、その町で一緒に遊んだりしてた友達と別れるのはやはり寂しい。
だが彼女はそれ以上に楽しみにしていた。
これから過ごす場所が、どんなところなのだろうと。
「待っててなぁアローラ、あたし・・・今から行くから!」
アローラ地方のことがかかれたパンフレットを握りしめて、少女はこれからの冒険に胸を躍らせた。
この少女の名前は、巽陽花。
これからアローラ地方に母とともに移り住むことになっている、明るく元気な女の子。
そして、アローラ地方でこの世界に住む不思議な生き物、ポケットモンスターと共に冒険に挑む運命を担った女の子。
ポケモンと人と、多くのものと関わりながら、少女は一人前になるために冒険をするのだ。
太陽と月が見守る世界で。
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今日からこれを連載していきたいと思います。
まずはプロローグをどうぞ。